あおしろみどりくろ

楽園ニュージーランドで見た空の青、雪の白、森の緑、闇の黒の話である。

体にいいから

2015-09-02 | 日記
昨今の流れで「体にいい」というのがキーワードになっているような気がする。
特に高齢者はこの言葉に弱い。
日本人の性質で、権威に弱いというものがある。
偉い学者先生が「これは体にいいから」などとテレビで言えば盲目的に信じてしまう。
ついでに言えばみのもんたにも弱い。
みのもんたが「赤ワインが体にいい」とテレビで言えば、翌日こぞって赤ワインを買いに行く。
赤ワインを売りたい人が番組のプロデューサーとかにお金を渡して、それをみのもんたに喋らせるという事は当然あるだろうが、テレビ信者はそんな事を考えない。
「赤ワインを飲みたいから」「赤ワインが今日の料理に合うから」という理由でなく「テレビで赤ワインが体にいいと言っていたから」という理由で赤ワインを買う。
この「体にいい」という言葉を僕はなんとなくしっくりしない気持ちで見ていたのだが、その裏側にあるのは病への恐れとか怯えなんだろうと思う。
特に高齢者はその傾向が強い。
だからなんでもかんでも体にいいものを取りたがる。
ある意味洗脳だ。
ある知り合いは体に良いといわれたからコリアンダー、パクチーを育ててみたがどうやって食べればいいか分からないと言った。
コリアンダーはうちの庭にも雑草のごとく生えているが、あくまでハーブであってメインの野菜ではない。
タイ料理に入れたり生春巻きに入れたりというぐらいか。
和食には使わない素材だ。
タイ料理やベトナム料理や中華を作らない人がコリアンダーを育ててもあまり使えないだろう。
そこでは他の青野菜と一緒にジュースにして飲んでいるそうだが、コリアンダーのジュースはあまり飲みたくないな。
だいいち体にいいというのは、時代によっても変わる。
僕らが子供の頃には「牛乳は体にいいからたくさん飲め」と言われたが、今は「ちょっと待て、どうやらそうではないらしいぞ」という意見から「牛乳や乳製品は毒だ。今すぐやめなさい。」という話まである。
本でこう書かれていたから好きな乳製品もがまんして取らない、という人もいるがそれもどうかと思う。
我が家では普通に牛乳を買い、コーヒーや紅茶に入れるし、チーズやバターもよく使う。
それは体に良いとか悪いとかではなく、美味しいから、好きだから食べるのだ。
これは前から言われているのだが、玄米は良いいから白米より玄米を食べた方がいい。
確かにそうかも知れないけど・・・白米美味しいじゃん?
白くふっくらと炊き上がったご飯は、それだけでも旨い。
そこに新鮮な生卵なんかかけちゃったら、それだけでこの世の至福だ。
玄米食べたい人はどうぞ食べてください。
自分もいつか玄米を食べるかもしれないけど、今は白米を美味しい美味しいと言いながら食べる。

話を戻すと「体にいいから」を盲信する人は、自分自身の体と向き合っていないような気がする。
みのもんたが「水を飲め」と言ったから水を飲みすぎて具合が悪くなった老人がみのもんたを訴えた、というニュースがあったがバカな話だ。
自分自身と向き合っていない人、芯をつかんでいない人は、他人の言葉を信じる。
その他人とは医者であったり、学者であったり、テレビに出る偉い人だったり。
それで具合が悪くなれば、人のせいにする。
自分の行動を、自分の判断と責任においてやらなかったことなぞ棚の上だ。
そして健康を損なう事への怖れという感情は「体にいい」というキーワードで権力者に利用されることもよくある。
こういった問題は、食と健康だけでなく医療、産業、政治、教育、環境、全てが複雑に絡み合っているので狭い視点だけ見ても何も解決しない。
病気やけがという一見自分にとって悪いように見えることでも、それは何かしらの意味がある。
それは自分の心の問題かもしれないし、生活習慣かもしれないし、病気になることで健康のありがたさを知る事かもしれない。
問題の解決をする糸口があるとすれば、それは僕ら一人一人の心の中にある。
心の中の感情をとことんつきつめていくと、愛か怖れに別れる。
自分のその行動の原点にあるものは愛なのか怖れなのか。
そこをきっちりと見つめれば答は見えてくる。

人間は自分の体を自分で治す力がある。
とは百レボと愉快な仲間達で友達になった星子の言葉だ。
彼の言葉をもう一つ借りるのならば「たまに食うコンビニ弁当ぐらい体が健康ならば解毒してくれる」
もっともだと思う。
あれは体に悪いこれは体に悪いといってそれらを全否定して拒絶すれば、この世は毒だらけで何も食べられなくなってしまう。
食に気を使っている我が家でもたまに大手チェーンのファーストフードを食べることもある。
ダメ!絶対!ではなく、たまにはいいじゃん、という緩いノリだ。
食べてから毎回、我が家の食い物はやっぱり美味いんだなあと気付くのだが。
そのバランス感覚、さじ加減というのが、自分の心の芯ではないかと思うのだ。
まずいと顔をしかめて食べる健康食より、笑顔で食べるジャンクフード。
でもジャンクフードもほどほどにね。

コメント
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