一夜明け、再び僕は旅の空。
8時ちょうどのあずさ5号(2号ではない)で新宿を発つ。
駅のホームで列車を待っていたら白人の旅行者が荷物をガサガサやっていた。
彼のバックパックには見慣れたMacpacのロゴ。
「おはよう。ひょっとしてニュージーランドから?」
「やあ、そうだけど何でわかった?」
「いや、そのバックパック見たら分かるよ。ひょっとして白馬まで?」
「そうそう、スノーボードしに来たんだけど、まだ雪はあるかな」
「多分大丈夫なはずだよ」
彼は今はカナダでボード関係の仕事をしているが今回は旅行で日本へ。
しばし日本やニュージーランドやカナダのスキー事情の話で盛り上がる。
袖すり合うのも多少の縁、こういうちょっとしたのもご縁というものだ。
甲府までは満席の車内もその先はガラガラ、左手に南アルプスが出てきたら次は右手に八ヶ岳と存分に外の景色を眺めて旅をする。
松本から大糸線になり、田園風景から山あいの村落という具合に変化し、列車もスピードを落として走るのかレールのカタンカタンという音が心地良い。
これこれ、こういうのを求めていたのだよな。
鉄道オタクというわけではないが基本的に鉄道は好きで、子供時代は蒸気機関車の運転士に憧れたものだった。
あの2本のレールに感じる慕情は何なんだろうか。
ただ新幹線には何のロマンも感じられない。
前々回のジャパンライブツアーの時には東北新幹線、北陸新幹線、東海道山陽新幹線と乗ったが共通して言えることは、まるでチューブの中を移動するだけだ。
新幹線には一切の踏切はなく、高架やトンネルで一般の人間の暮らしとは切り離されている。
高速で走るという特性上仕方がないことかもしれない。
平面上の種類の違う交通機関を交差させるのは踏切か信号か、もしくは高架や下をくぐらせるトンネル(この時点ですでに平面上ではないが)となるのは理解できる。
そういった効率重視の交通機関と僕が求めている旅のロマンとは合致しない。
僕の望む鉄道の旅とは、民家の軒先をかすめたり、列車の窓から人様の庭が見えたり、田んぼの中の踏切で軽自動車に乗っているおじいちゃんおばあちゃんが見えたりとか、そういう暮らしの中に存在するものだ。
さらに追い求めるならば、客車の座席は進行方向に向かって座るもので通勤通学に使う車両の両側に一列で座るタイプでないもの。
線路は複線より単線、できることならば電車ではなく機関車が引っ張るタイプならば言うことない。
これで蒸気機関車なんてことになれば、それこそ興奮してしまう。
なんてことはない、これじゃあただの鉄道オタクじゃないか。
そんな僕の旅情を満たしながら白馬駅に降り立つとオトシが出迎えてくれた。
オトシとの付き合いは20年近くになるか、ニュージーランドで出会い、今では僕のことを人生の師匠と仰いでいる。
若い時はちゃらんぽらんでこいつは大丈夫かと思ったが、スノーボード好きな夢を追い続け、今ではスノーボードやスキー用品などの買取会社を運営して、自前のスノーボード製作販売も行う立派なシャッチョサーンとなった。
僕の師匠ごっこに付き合ってくれる一番弟子である。
今回の白馬滞在は基本的に奴の家がベースだ。
写真のブランコは奥さんのヤヨイで、本気で遊ぶ家を作っている感がすごい。
この写真はリアルハイジという名前でバズったらしい。
午後も早い時間に日帰り温泉で旅の疲れを癒す。
平日の昼間とあって客はまばらだが、シーズン中はこの温泉も満杯で行列を作って待つこともあると言う。
ええ〜、温泉に行列?と思ったがよくよく話を聞くと、ここもオーバーツーリズムの波はすさまじく、レストランが予約で一杯になると飯を求めてコンビニやスーパーへ行きその結果コンビニスーパーから食べ物が消えるということが起こる。
ランチ難民なんて言葉もあるし、お客さんが食うものがない夕食難民なんて言葉も初めて聞いた。
たまに日本に帰ってくると知らない言葉が生まれているものだ。
夕方、仕事を終えた娘と合流してお隣小谷村にあるオトシ宅へ。
そこには仕事を終えたシナとカオルがすでに来ていた。
この二人のことも紹介しよう。
二人は千葉で長いこと美容師として働いていたが一念発起して白馬で自分のお店を開いた。
二人ともオトシの古くからの友人で、ニュージーランドに何回も滑りに来て、その都度僕がガイドをした。
千葉ではそれなりに売れっ子の美容師で固定客もついていたようだが、そのお客さん達に別れを告げ自分の夢を追い求め白馬にやって来た。
こういう行動力がある人は好きだなぁ。
今では美容室は大人気で、先の先まで予約がびっしり埋まる。
僕は坊主頭で床屋とか美容室は何十年も行っていないが、もし自分の髪がフサフサで自由に髪型を選べるならば彼らにやってもらいたいと思う。
白馬界隈で髪を切りたい人は是非とも行って欲しい。
Hair Studio Senses
この晩はシナ夫妻、オトシ一家、娘の深雪と楽しい時を過ごした。
昨晩はネオンギラギラ日本最大の歓楽街でオカマとオナベと一緒に遊んでいたのだが、それとは程遠い山の中の一軒家で昔からの仲間と飲むという対比が面白い。
特にシナが持ってきた大吟醸が美味くてついつい飲みすぎてしまい、前日は新宿で遅くまで飲んだというのもあり、早々とつぶれてしまった。
みごと撃沈。
8時ちょうどのあずさ5号(2号ではない)で新宿を発つ。
駅のホームで列車を待っていたら白人の旅行者が荷物をガサガサやっていた。
彼のバックパックには見慣れたMacpacのロゴ。
「おはよう。ひょっとしてニュージーランドから?」
「やあ、そうだけど何でわかった?」
「いや、そのバックパック見たら分かるよ。ひょっとして白馬まで?」
「そうそう、スノーボードしに来たんだけど、まだ雪はあるかな」
「多分大丈夫なはずだよ」
彼は今はカナダでボード関係の仕事をしているが今回は旅行で日本へ。
しばし日本やニュージーランドやカナダのスキー事情の話で盛り上がる。
袖すり合うのも多少の縁、こういうちょっとしたのもご縁というものだ。
甲府までは満席の車内もその先はガラガラ、左手に南アルプスが出てきたら次は右手に八ヶ岳と存分に外の景色を眺めて旅をする。
松本から大糸線になり、田園風景から山あいの村落という具合に変化し、列車もスピードを落として走るのかレールのカタンカタンという音が心地良い。
これこれ、こういうのを求めていたのだよな。
鉄道オタクというわけではないが基本的に鉄道は好きで、子供時代は蒸気機関車の運転士に憧れたものだった。
あの2本のレールに感じる慕情は何なんだろうか。
ただ新幹線には何のロマンも感じられない。
前々回のジャパンライブツアーの時には東北新幹線、北陸新幹線、東海道山陽新幹線と乗ったが共通して言えることは、まるでチューブの中を移動するだけだ。
新幹線には一切の踏切はなく、高架やトンネルで一般の人間の暮らしとは切り離されている。
高速で走るという特性上仕方がないことかもしれない。
平面上の種類の違う交通機関を交差させるのは踏切か信号か、もしくは高架や下をくぐらせるトンネル(この時点ですでに平面上ではないが)となるのは理解できる。
そういった効率重視の交通機関と僕が求めている旅のロマンとは合致しない。
僕の望む鉄道の旅とは、民家の軒先をかすめたり、列車の窓から人様の庭が見えたり、田んぼの中の踏切で軽自動車に乗っているおじいちゃんおばあちゃんが見えたりとか、そういう暮らしの中に存在するものだ。
さらに追い求めるならば、客車の座席は進行方向に向かって座るもので通勤通学に使う車両の両側に一列で座るタイプでないもの。
線路は複線より単線、できることならば電車ではなく機関車が引っ張るタイプならば言うことない。
これで蒸気機関車なんてことになれば、それこそ興奮してしまう。
なんてことはない、これじゃあただの鉄道オタクじゃないか。
そんな僕の旅情を満たしながら白馬駅に降り立つとオトシが出迎えてくれた。
オトシとの付き合いは20年近くになるか、ニュージーランドで出会い、今では僕のことを人生の師匠と仰いでいる。
若い時はちゃらんぽらんでこいつは大丈夫かと思ったが、スノーボード好きな夢を追い続け、今ではスノーボードやスキー用品などの買取会社を運営して、自前のスノーボード製作販売も行う立派なシャッチョサーンとなった。
僕の師匠ごっこに付き合ってくれる一番弟子である。
今回の白馬滞在は基本的に奴の家がベースだ。
写真のブランコは奥さんのヤヨイで、本気で遊ぶ家を作っている感がすごい。
この写真はリアルハイジという名前でバズったらしい。
午後も早い時間に日帰り温泉で旅の疲れを癒す。
平日の昼間とあって客はまばらだが、シーズン中はこの温泉も満杯で行列を作って待つこともあると言う。
ええ〜、温泉に行列?と思ったがよくよく話を聞くと、ここもオーバーツーリズムの波はすさまじく、レストランが予約で一杯になると飯を求めてコンビニやスーパーへ行きその結果コンビニスーパーから食べ物が消えるということが起こる。
ランチ難民なんて言葉もあるし、お客さんが食うものがない夕食難民なんて言葉も初めて聞いた。
たまに日本に帰ってくると知らない言葉が生まれているものだ。
夕方、仕事を終えた娘と合流してお隣小谷村にあるオトシ宅へ。
そこには仕事を終えたシナとカオルがすでに来ていた。
この二人のことも紹介しよう。
二人は千葉で長いこと美容師として働いていたが一念発起して白馬で自分のお店を開いた。
二人ともオトシの古くからの友人で、ニュージーランドに何回も滑りに来て、その都度僕がガイドをした。
千葉ではそれなりに売れっ子の美容師で固定客もついていたようだが、そのお客さん達に別れを告げ自分の夢を追い求め白馬にやって来た。
こういう行動力がある人は好きだなぁ。
今では美容室は大人気で、先の先まで予約がびっしり埋まる。
僕は坊主頭で床屋とか美容室は何十年も行っていないが、もし自分の髪がフサフサで自由に髪型を選べるならば彼らにやってもらいたいと思う。
白馬界隈で髪を切りたい人は是非とも行って欲しい。
Hair Studio Senses
この晩はシナ夫妻、オトシ一家、娘の深雪と楽しい時を過ごした。
昨晩はネオンギラギラ日本最大の歓楽街でオカマとオナベと一緒に遊んでいたのだが、それとは程遠い山の中の一軒家で昔からの仲間と飲むという対比が面白い。
特にシナが持ってきた大吟醸が美味くてついつい飲みすぎてしまい、前日は新宿で遅くまで飲んだというのもあり、早々とつぶれてしまった。
みごと撃沈。