あおしろみどりくろ

楽園ニュージーランドで見た空の青、雪の白、森の緑、闇の黒の話である。

7月30日 Porters

2013-07-30 | 最新雪情報
レースチームの朝は早い。
スキー場のスタッフより一足先に着き滑り出す。
一般のお客さんが上がってくる頃には、トレーニング真っ只中、というわけだ。
朝一のゲレンデでパトロール業務を手伝う。
今日もいい1日になりそうだ。



こうごうしいとは神々しいと書く。山で朝日を見ると敬虔な気持ちになる。


オープン前にインストラクターを集めてリフト乗り場付近の石拾い。


その様子をスキー場のマネージャーが写真に撮る。


山頂に上がってみたら、スノーボードのチームがポールを張っていた。


日本人スタッフのトモ。スキー場の何でも屋。今日の仕事は倉庫の棚作り。


特に地震の後からの話だが、貨物船で使うコンテナを倉庫とか店舗に使うことが多くなった。
ここでも物置、そしてロッカーはコンテナを活用している。
雪崩の雪で押しつぶされることはないが、コンテナごと流されてしまうことはある。
前回の雪崩で流されたコンテナがマウンテンロードの近くに放置されている。


休憩所もコンテナ。


立派な棚ができました。


雪は固い。雲が出ているとと北向き斜面(日当たりの良い斜面)の雪も緩まない。
日当たりの悪い斜面は、固すぎてオープンできない。


そんな時は山頂で平野と彼方の海を見ながら、しばしくつろぐ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

7月27日 Broken River

2013-07-28 | 最新雪情報
雪の降らない日が続く。
雪質は春の雪。
朝は硬く、日中になると緩む。
雪の量としては例年並ぐらいなのだが、皆が求めているのはパウダーである。
ブロークンリバーでは最後の降雪から2週間。
そろそろ次の降雪が欲しい頃だ。


スキー場下部はだいぶ雪が少なくなってきた。


学校は冬休み。子供連れが目立つ。


アクセストーの乗り場。雪の量としてはまあまあだ。


アランズベイスンからのトラバース道もまだ大丈夫。


山頂付近は数cmの新雪もあった。


境界の立て看板。日本のように境界線にロープを張るなんて、ここでは考えられない。


顔なじみのメンバー達がキングスウッドを挟んで板の話をしていた。


雲が切れ晴れ間が出た。


今年のブロークンリバーには日本人ボランティアスタッフがいる。
アキラ19歳、ワーホリでNZに来て6ヶ月。タイの弟子志望で、ただ今BRで修行中。
ちなみにスキー経験は全く無く、日本も含めスキー場と呼べる場所はブロークンリバーしか知らない。
コロネットピークに連れて行ってあげたいね。


「パウダーは?」「ハミルトンピークのてっぺんへ登ればあるよ」


「じゃあ登るかね」


子供がこういう所で遊んでいるのを見ているだけで、心が満たされる。ありがたや。


帰りはグッズリフトが混んでいたので久しぶりに歩いて下った。ブナの森から気をいただく。ありがたや。


こんなところで地元、清水エスパルスのステッカーを見た。
マネージャーのサムの車だが、彼がエスパルスのファンというわけではない。


グッズ(荷物)リフトと呼ばれていたのは過去の話。今ではTyndall Trawayという、あまり使われていない正式名称がある。


リフトの中のお客さんが僕に手を振った。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

多数決

2013-07-26 | 日記
ある日、家族団らんのひと時の話。
僕は大きなおならをした。
女房「いやだー、誰?今のおなら」
僕「みーゆーきー!」
娘「お父さーん!」
女房「どっちがしたの?」
僕「深雪がした」
娘「お父さんがした」
女房「本当はどっちなの?」
僕「じゃあ多数決で決めよう。深雪がしたと思う人?」
僕は手を上げ、女房も手を上げた。
僕「ではお父さんがしたと思う人?」
娘が手を上げた。
僕「はい多数決の結果、さきほどのおならは深雪さんのものということになりました。おめでとうございます」
娘「ひどーい。みーちゃんじゃないのに」
僕「だって多数決で決まったんだからしょうがないだろ。な?多数決っていうのはこういうことだ。」
娘「うーん」
納得がいかない、という顔だ。そりゃそうだわな。
一応フォローもしておくか
僕「こうやって真実は覆い隠されてしまうが、お前が真実を知っている。お前が、おならをしたのが誰か知っている。それでいいんだよ」
と、まあこんな会話をしたのだが、今回は多数決について。

いろいろな物事を皆で決めるのに多数決というやり方がある。
多くの人の意見を取り入れるのだからこんないいやり方はない。
実に民主的でいいじゃないか。
と表面的なところだけ見れば、そう思うだろう。
だがそこに、大きな落とし穴がある。
このシステムは先の例の通り、真実を隠してしまう。
もっとひどい言い方をすれば意図的に操作できる。
おならをした人(僕)は、それを隠すために多数決で決めよう、と言い出す。
おならの犯人(僕)は自分ではない、と嘘をつく。
おならをしていない人(娘)も自分ではないと、こちらは本当の事を言う。
そしてどちらが本当かよく分からない第三者(女房)に、その決断を任せてしまう。
犯人(僕)は嘘を隠すため偽りの情報を次から次へと並べあげるだろう。
それに対し被害者(娘)は自分ではやっていないと正直に言う。
親子だったら子供を信じるというだろうが、ではどちらも知らない人が二つの意見だけを聞いたら?
どちらがインパクトが強い?
こういうことは世の中にいくらでもあると思う。

子供の頃、学校のクラスで多数決で物事を決めることがよくあった。
その時に感じた違和感が何だったのか、今になってよく分かる。
多数決では数が多い人達、言い方を変えたら大衆の意見が通る。
ではその大衆もしくは民衆が間違っていたら?
全体としては間違った方向に進むだろう。
間違った方向に進み、大きな失敗をするとしよう。
ではその責任は?
みんなが決めたことだから、みんなの責任?
「だってしょうがないじゃん、みんなでそうやって決めたことなんだから」
そうやって責任のありかというものが有耶無耶(うやむや)になってしまうこともある。
そして僕の好きな陰謀論だが、大衆というものは今も昔も洗脳されている。
大衆もしくは群衆というものをうまーく操作して多数決で自分の都合の良い方向にもっていく。
これが支配者のやり方である。
選挙などはいい例だ。

先日、参議院の議員選挙があった。
僕は三宅洋平という人を応援していたのだが落選してしまった。
この人は音楽家、という肩書きだと固くなるが要するにバンドマンである。
この人の街頭演説というかライブというか、youtubeで見たのだが胸が熱くなり涙がこみ上げた。
そしてこうも思った。
「こういう人が国会議員に立候補するのならば日本もまだ捨てたものではないぞ」
そして去年知り合ったプロスキーヤーの秋庭将之さんも応援していることをFBで知った。
人との繋がりを感じずにはいられない瞬間である。
思わずメッセージを送ってしまったよ。
引き寄せの法則の通り、人と人は繋がっていく。
さて、その気になる選挙の結果だが三宅洋平さんは堂々17万もの票を集め、落選。
個人得票数で三宅洋平さんは上位30位に入っていたそうな。
その人が48の議席に入れない。
そして三宅さんの4分の1の得票の人が当選してる。
これって・・・・・・。
多数決にもなってないじゃん。

こんなところで選挙のシステムが悪いとか、陰謀だとか書いても何も始まらない。
彼が落ちたのは残念だがそれはすでに過ぎ去った話。
僕にとって大切なのは、僕が選挙フェスの映像を見て(3回も見た)感動したこと。
そして同じように感動して、投票した人が17万人もいたこと。
そして人との繋がりを感じたことなのである。

おならの話から選挙の話へと話はぶっとんでしまったが、多数決というもの関する胡散臭さというものは簡単には消えないだろう。
「じゃあどうすればいいのさ?そんな事を言ってたら何も決まらないでしょ」
無責任だが僕もどうすればいいか分からない。
だが僕は他人に「どうすればいい?」とは聞かない。
答えは自分の中にあり、人が言ってくれるものではないからだ。
「自分では分からないから教えてくれ」という人はクレクレ君といって、そういう新しいキャラが生まれつつある。
そのうちにクレクレ君の話も書こうと思っているので、お楽しみに。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

7月25日 Porters

2013-07-25 | 最新雪情報
強風快晴、今日のポーターズである。
風で飛ばされた場所はガチガチのアイスバーン。
日当たりのいい斜面は緩んでくると春の雪だ。


スキー場下部は日当たりが悪いが、上部はこの天気。


平日は人が少なくていいなあ。


雪崩注意の看板もLOW。


クライストチャーチも晴れ。


去年はボランティアだったヤツが今年は正規スタッフになった。リフト係、駐車場係、パトロール、パークの整備と何でもやる。


青空がバックだと、どこでもサマになる。


強風快晴。写真で風の強さが写せないのが残念だ。


日当たりのいいところはスプリングコーン。


ここの景色が好きだ。


ビッグママはクローズだが、途中までの道が開いた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

7月22日 Porters

2013-07-23 | 最新雪情報
しばらく良い天気が続いた。
オフピステは日陰はガチガチ、日向は緩んで春の雪である。
ブラフフェイスも終日クローズ。ビッグママは雪が緩んでからオープン。
ゲレンデにも石が目立ち始めた。
そろそろ次の降雪が欲しいころである。


ビッグママも下部はブッシュが出始めた。


上空は青空だが西の空は雲が厚い。


東の空は高曇り。クライストチャーチもまずまずの天気だろう。


上空はかなり風が強いようだ。こういう雲が出ると天気は下り坂である。


ビッグママの上部は斜度がきつい。転んだら痛い目にあう。怪我がないのは幸いだ。さあ、がんばって登れ。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

7月21日 Birthday at Broken River

2013-07-21 | 最新雪情報
今日で僕は45歳になった。
40代も半ばを越えてしまったわけだ。
だからどうという事ではないが、今年の誕生日は全てがうまく回った。
最初の予定ではブロークンリバーまでお客さんを送って、そのまま別のお客さんを拾って帰ってくるはずだったのだが、山から下るお客さんはキャンセル。
しかも山へ上がるお客さんの飛行機が1時間半も早く着いた。
それならば、というわけで何本かお客さんと一緒に滑った。
クラブのメンバーは僕の誕生日だと知ると暖かく声をかけてくれるし、手作りのビールをご馳走してくれる。
家に帰れば女房がご馳走を作ってくれるし、バースデーケーキも焼いてくれた。
誕生日という区切りの日に一番好きな山へ行き、ご馳走を食べ、旨いワインを飲み、言う事なしである。
ブロークンリバーの山で僕は手を合わせ山の神に感謝の意を唱えた。
全ての事に『ありがたや』である。


今日のお客さんクリスはシドニー在住のお医者さん。バックカントリースキーが大好きという人とは人種、国籍、社会的地位を越え、すぐに意気投合できる。


誕生日にということでクリスが撮ってくれた。今日この場所に立てるとは思わなかった。


午後も遅い時間に山に上がったので、パーマーロッジは影の中だった。


この山が好き。この小屋が好き。そしてここの人が好きだ。


顔なじみのメンバー、ジムが誕生日のプレゼントに自家製ビールをご馳走してくれた。
ベルギースタイルのダークビールでさくらんぼが入っているという。
味はと言うと、バカうま(死語)である。


そのジムの子供達が夕暮れ迫るゲレンデで遊ぶ。


帰り道、月が出ていた。


家に帰ると娘がビールを開けてくれた。銘柄はMontieth Original。僕が一番好きなビールだ。
このビールの話だけで一つネタになるくらい好きなのだ。


そして2007年もののピノノアール。前菜はいただきものの羊の乳のチーズ。
友達曰く、このチーズが冷蔵庫にある時は冷蔵庫のそばにいるだけで幸せになれる、それくらい好きなんだそうな。
確かに旨い。そしてワインに合う。


今日のメインはコロッケ。たかがコロッケ、されどコロッケ。
コロッケは材料費は安いが手間がかかる。こういう物を本当のご馳走と言う。
家ではパン粉もその場で作る生パン粉。挽き肉は豚挽き。
油も新しいので油の切れ良く、カラッと揚がる。
写真で旨さが伝えられないのが残念だ。


デザートは自家製チョコレートケーキ。
甘さは控えめ、チョコレートは良質のやつをふんだんに使ったものだ。


プレゼントはTシャツ。
LIVE SIMPLY シンプルに生きよ。「ハイ、そうします」


山の神に、食べ物に、友達に、そして家族に「ありがとう」と言いたい。
たとえヒゲでジョリジョリでも。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

7月20日 Porters

2013-07-21 | 最新雪情報
クライストチャーチは曇り、街を出てしばらくは霧で視界は悪いがスプリングフィールドからは雲ひとつない快晴である。
冬休みの中の週末、天気は快晴、そしてイベントと重なり、この日のポーターズはとても賑わった。
駐車場は満杯で、かなり下の方に車を停め、シャトルバスで上がってくる人も多かった。
リフト待ちも普段よりは長く、特に初級者エリアは混雑していた。
Chillが主催するイベントGromfest、要するにちびっ子ジャンプ大会が行われた。


こういうイベントで一番気になるのは天気。この日は天気も味方してくれた。


カメラマンは旧友ブラウニー。おしゃべりしながらのんびりと写真を撮る。


ブラウニー曰く「大人の大会は真剣すぎて楽しそうじゃない。子供は皆、楽しそうだ」同感である。


おっと、ちびっ子だもの、こういうこともある。一番近くにいた僕がスキーを履かせてあげて、大会は続く。


場所はT3脇。日当たりも良く、リフト待ちの人からもよく見える場所だ。


お昼はみんなでバーベキュー。手助けをしたので僕も一つもらった。


わきあいあい、みんな仲良く。


T3の乗り場の列もいつもより長い。


無風快晴。山は平和だ。


西の方には雲があるが、この天気はまだ続きそうだ。


影に入ると寒いが日向はポカポカ陽気。雪質も完全に違う。


こんな時はビッグママ。


ブラウニーがママを滑る。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

7月19日 Porters

2013-07-20 | 最新雪情報
娘は冬休み真っ最中。
女房も休みだったのでポーターズへ家族スキーに出かけた。
街から1時間15分でゲレンデに着くというのは、やはり楽だ。
これがブロークンリバーだと1時間半のドライブにグッズリフトに乗ってそこからハイクアップして、ハーネスだグローブプロテクターだとなんだかんだで2時間ぐらいはかかってしまう。
それにここはお昼は車に戻って来れるので、バーベキュー用品を一式積んで、カーパークバーベキュー。
冬休みとあってスキー場は賑やかだった。
天気は高曇り。
オフピステは朝のうちは固かったが、日が差すと雪は緩みビッグママもお昼前に開いた。


女房と娘は初滑りだ。仲良くTバーに乗る。


山頂で雪合戦が始まった。


Tバーのスキー場用に新しいジャケットをおろした。
ロープトーのスキー場だと、すぐにボロボロになるので新品はもったいない。


オリンパスも調子良さそうだ。今年はまだ行ってない。


家族で一緒に滑れるっていいな。


お昼はバーベキュー。通る人が「この脚立はいいアイデアだ」と誉めてくれた。


焼く物は近所の肉屋のソーセージ。山で食うと旨いんだ、これが。ビールもお忘れなく。


パンにチーズを挟んで焼いてみました。


女房もスキーヤーである。クィーンズタウンのコロネットピークで一緒に滑ったのが初デートだった。


娘がビッグママを攻める。順調にオフピステスキーヤーになりつつある。親バカだな。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ダイエット

2013-07-18 | 日記
2年前、地震が起こるまで僕はハイキングのガイド、そしてドライバーガイドをしていた。
ハイキングの仕事はかなり頻繁にあり、元々太い方だがそれなりの体型だった。
地震があり、仕事が変わり、ドライバーガイドになってみるみる太った。
運動をしなくなり同じように飲み食いしていたら太るのは当たり前、自然の道理である。
ハイキングガイドの頃から最大で7キロ太った。
体が重たくなったと感じつつも、夏山をガシガシ歩き冬はガンガン滑っていたので、運動不足で病的に太っていたわけではない。
だが心の奥で「なんとかしなきゃあな」と思いつつ日々の生活を繰り返し、痩せるイメージは全く湧かなかった。

今年の夏が終わり、友達のマサさんから断食の話を聞いた。
彼は週2回ぐらい断食をして体調が良くなったと言う。
彼はシェフなのだが断食をすることによって味覚も新鮮なものになったと。
体重も減り、不思議と断食をする日は腹が減らないのだと。
又、『断捨離』という言葉もその時に聞いた。
要らないものを断つ、要らない物を捨てる、そして執着から離れる。
これが断捨離なのだと。
そういった話を、その日は断食の日だったので水を飲みながら話してくれた。
「調子良くなるから聖さんもやってみなよ」
という事を彼は言わない。
誰彼構わず勧められない、と言っていたが僕もその通りだと思う。
「これをやったほうがいいよ」と自分が信じることを人に勧める人がよくいるが、これはインチキ宗教にに騙される信者とたいして変わらない。
なのでぼくもEMのこととか石鹸の有効性とかをあまり強く人に勧めない。
自分がやる。そして興味のある人にだけその事を話すし、欲しい人にはあげる。
やるかどうかは全て本人が決める事だから。
他人の言葉というのはきっかけであり、きっかけだけにとどまるべきだ。
そこに依存してしまうと失敗した時に「あの人が言ったから」と人のせいにすることになる。

数日後、ふと思いついて断食をやってみた。
話を聞いてから自分でも調べてみた。
体の中にはいろいろなバクテリアがある
食べ物を取らなくても老廃物が出るのだが、ある境地に行くとバクテリアがその老廃物を食べて栄養にするんだと。
仙人が霞を食うというのはあながち嘘でもないみたいだ。
マサさんが「断食の日は腹が減らない」というのもそういう事なのかもしれない。
「そうかマサさんも仙人になっちまったのか」などと女房と話していたのだ。
そして思いついた第一回目の断食。
結果はさんざんたるものだった。
もう腹が減って腹が減って、そうしているうちに寒くなるし、元気がなくなって病気になるんじゃないかと思った。
普通の生活をしながらということなので、女房とショッピングモールを歩いていたが、どこの食べ物屋も旨そうに見え、なんとこの世には食べ物があふれていたんだろうと気づく始末である。
体から覇気がなくなり、もうガマンできんと、よく行く中華料理屋で小籠包を頼んだ。
断食開けの食事とかもあるようなのだが、そんなこと知るか。
今はもう腹が減ってしょうがない。
待つ事数分。腹が減りすぎてぐったりして会話も弾まないところに小籠包が来た。
それが旨いこと、旨いこと。
普段からそこは旨いと思っていたが、この日は格別。
味は醤油と酢でさっぱりと。
熱々なので口の中でほろほろとしながら、程よくさめたところで咀嚼する喜び。
肉と野菜の旨みが口の中に広がり、中のスープがこれに絡みまた旨い。
そこは皮も自家製の店で、この皮も程よく蒸しあがり、酢醤油と具の旨みとのコンビネーション。
あー、生きていて良かったあ。
と食べる事の喜びを再発見できた断食体験初日であった。

後日マサさんに電話で話すと、断食をして寒くなるのはよくあることだと、そして具合が悪そうになったらやめたほうがいい、そして時期も関係あるのではないかと。
そうだよな。
第一考えてみれば、体に入るのは水でこれは温度15度ぐらいの温度か。
それが出て行くときには36度ぐらいの温度に暖められて出て行く。
その分の熱が体から奪われるわけだから寒くなって当たり前。
まして時期は初冬、水も冷たいし気温も下がる。
仙人ならば体内のバクテリアがエネルギーをつくってくれるだろうが僕は仙人ではない。
なので断食というものからひとまず距離を置くことにした。

その後、僕がやったことと言えば、意識の変化と自分の体への徹底的な向き合いである。
まあ簡単に言うと『腹が減れば食うし腹が減らなかったら食わない』それだけのことだ。
言葉で言うとそれだけだが、それを徹底的にやる。
先ずは意識の改革。
それまでの自分は朝昼晩と大体決まった時間に飯を食うものだという固定観念があった。
それを外した。
朝、食べたくなかったら食べなくてもいいじゃん。
そしてお腹がすいて食べたくなった時に食べればいいと。
昼飯を12時に取らなくてもいいじゃん。
一人分を作るのが面倒だったり、庭仕事が乗ってきたならお茶だけ飲んでいてもいいじゃないか。
仕事をしているとそういうわけには行かないだろうが、夏と冬の間で家仕事をしていた時だ。
時間は自由に使えたのでそれができた。
決して空腹をガマンするのではない。
断食に失敗した時のように、腹が減って元気がなくなったり、もしくはイライラするのならばそれは方向が違うのだろう。
あくまで普通の生活をしながら、庭仕事をしたり、自転車で犬と一緒に走ったり、家事をしながら、明るく楽しくやりながら、である。
そして食べる時も体に聞く。
もともと間食はあまりしないほうだが、ちょっとお菓子をつまむ時でも自分自身に尋ねる。
お前は本当に今これを食べたいのか?自分に問いただす。
自信を持ってイエスと言う時は美味しくいただく。
どっちでもいい、ただなんとなく、ちょっと口が寂しいから、というのならば食べない。
お酒も同じ事。
本当に飲みたい時にだけ飲む。
どっちでもいいや、という時は飲まない。
とことんシンプルだ。

晩御飯は家族で揃って食べるが、昼を抜くことや、時には朝も昼も抜いてお茶だけガブガブ飲むこともあった。
そうやってると、胃袋が小さくなるのか、少しの量でお腹が一杯になるように体が変化した。
大体今までの三分の二か半分ぐらいの量である。
食べたい物を無理にガマンするのでなく、美味しく食べながらやせる。
まあ言葉で書くと理想的だな。
体重計も今までのものは調子が悪かったので新しくデジタルの物を買った。
正確に体重を計り始めると、見る見るうちに減っていく。
同時にイメージが湧いた。
3年前、山歩きのガイドをしていたぐらいの体重が頭に浮かんだ。
こうなったら、もうできたようなものだ。
お腹がすいたら美味しく食べ、汗をかいて仕事をした時にはビールを飲み、ワインの集まりの時にはワインをいただき、毎日の散歩をして、というような生活で7キロ痩せた。
これは自分がそうなる時だったのだと思う。
だからそうなった。
ただそれだけのこと。
痩せるために何かをするのではなく、無駄を省き健康でいようとする結果、体重が落ちるのだ。

こうやって何キロ痩せた、などというと「いいなあ」と言う人がいるが、そう思った時点ですでに方向がずれている。
人は人、自分は自分なのだ。
徹底的に自分と向き合うという所から外れてしまう。
僕は女房につきあって何回かズンバへ行ったのだが、そこではズンバをやって30キロ痩せたという人がいた。
その人はいまでもスリムとはいい難い体型だが、実に楽しそうにズンバをやっていた。
その人の場合、ズンバをやったから痩せたのではなく、痩せる時だったのだろう。
第一30キロも太っていたのなら、その時の状態に問題がある。
30キロ痩せた話を聞いても「いいなあ」と言うだろうか?
そういうところで人と比べることがそもそもの間違いなのである。
痩せなきゃ、という人は多いが、痩せない理由は二つ。
一つは痩せる時、タイミングではない。
もう一つは痩せる必要がない。
このうちのどちらかだ。
スキーパトロールをやっていて思ったが、細い女の子が簡単に骨を折る。
不健康に細いのにまだ「痩せなきゃ」と言っている。
これはもう脅迫観念を超え、洗脳されているのだがそれに気づかない。
マスコミもそれを煽っているし、それで金儲けをしている人がどれだけいるか。
断食もダイエットが目的でするのと、精神を高め感覚を研ぎ澄ますためにするのでは全く違う。
ついでに書くが断食なんてものは、他人と一緒にするものではない。
自分の体と向かい合って、体調を見ながら自分一人でやるものだ。
その時、タイミングというものは人によって違う。
そのタイミングであれば自然に痩せるし、タイミングでなかったら痩せない。

いずれにせよイメージが湧かなかったらそうはならない。
イメージが湧いたらそうなる。
気をつけないと逆もありえる。
友達は「これ食ったら太るだろうなあ」と思いつつ食べたらてきめんに太るそうだ。
心と体は一体なので、どこに意識を置くかで変わるのだと思う。
心を抜きにして外見だけの太いだ細いだと言っているのが今の風潮である。
だがここでもやっぱり内観、自分の内側を見つめる事抜きにして前進はない。
いいイメージ、やるべきタイミングをつかめば、自然に変わっていく。
痩せなきゃ、という想いは執着なので一度その執着を解き放ち、健康であるという事に意識を向ける。
良く僕は「こうなればいいなあという想いは実現する」と言っているがそれは執着を解き放した時に自然にそうなる。
逆に言えば執着に囚われているうちは何をやってもうまくいかないだろう。

僕の体重は元に戻り、さらに減り、ハイキングガイドをしていた頃よりも2~3キロ減った。
体が軽くなったのがはっきり分かり、山を歩くのもとても楽だ。
スキーでハイクアップをするのも楽だし、山を走るトレイルランニングもできそうだ。
体はすっきりしたので、スポンサーからもらっている服もそれなりにサマになった。
無駄な大食いをしなくなったので、食費も減った。
今までの調子で肉とかを買うと消費しきれずに傷んでしまい、その結果犬のごちそうになってしまう。
犬も大喜びだ。
徹底的に無駄を省き、健康な体というもの意識を向けた結果、全てがうまくいった。
断捨離 要らないもの断ち、要らないものを捨て、執着から離れる。
これも根底に愛があればこそ。
今回は自分の体に「ありがたや、ありがたや」なのである。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

7月14日 BrokenRiver

2013-07-15 | 最新雪情報
自然という物は常に変り続けるものである。
昨日のパウダーは今日のクラストになるし、無風快晴が1日後には暴風雨にもなる。
同じ場所が時間が変われば天国にも地獄にもなる。
そういうものなのだ。
無力な人間はそれに合わせて行動をする。
自然が自分に合わせてくれるのでなく、まず自然ありき。そして行動を決めるのである。
昨日の状況から一転したブロークンリバー。
稜線上は猛吹雪、ベイスンの中は風が遮られてはいるものの視界不良。
こういう時はパーマーロッジでお茶をするのだ。


下部は視界もクリアーで風もそこそこだが。


稜線に出ると風が強い。


どれぐらい強いかと言うと、飛んでくる雪が顔に当たって痛いので風上に向けないぐらい。


写真で伝わらないのが残念だ。


パーマーロッジまで下りてくると風も収まる。退散、退散。


そしてここでお茶をする。
まあこういう日もあるわな。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする