夏は忙しい。
サービス業の性なのだが、人が遊ぶ時に働く。
一年で一番いい時は一番忙しい時であり、時間を取るのが難しい。
それでも以前は一夏に何回かは自分の為の山歩きができたのだが、最近はそれもままならぬようになってきた。
忙しい夏もピークを過ぎたころ連休が取れ、しかも高気圧に覆われて天気も安定した。
この機会を逃してはいけない。
姪の瑞穂を連れて一泊二日の山旅に出かけた。
行く先はガートルートサドル。
片道2~3時間ぐらいで充分日帰りでもできるのだが、そこはそれ、あえてテント泊でじっくりと山を味わうことにした。
このコースは以前一人で行った場所で、手軽に行ける場所だがフィヨルドランドのU字谷を満喫できる。
山歩き初心者の姪っ子を連れて行くには最適だろう。
手軽に行けるといっても山をなめてはいけない。
今年はここで死亡事故も起こっているようだ。
確かに一歩間違えば簡単に人が死ぬような場所ではある。
事故が起これば行政は何かしらの行動を起こさなくてはならない。
そして以前より注意を促す看板が増えたというわけだ。
しかし、ここに来る人達の軽装振りを見てると、また事故は起こるだろうという気になる。
「山をなめるな」などとお説教をする気は毛頭ない。
だが装備も心身も計画も万端でも、事故が起こるのが山だと思う。
それの内どれか一つでもおろそかにすれば事故の確率は跳ね上がる。
そういうものだろう。
そして人間は痛い思いをして初めて気がつくものなのだ。
この場所に来たのは数年ぶりか、その時は一人ですべて背負ってきたわけだが、気のせいかその時よりもきつい。
年を重ねたせいか、体力が落ちているのか。
軽装の若者達がヒョイヒョイ登っていくのに道を譲り、のっしのっしと歩を重ねる。
山は競争ではないぞと自分に言い聞かせ、ペースを崩さずに登る。
それでもしばらく登れば景色も変わってくる。
U字谷の奥まった所を登ると遠くにミルフォードロードが見えてきた。
あの道を何回ドライブしたことか。
車の中で見るものと、自分の身を自然の中にさらけ出すものとでは、物事の捉え方や自然観などが全く違う。
汗をかけばそこに流れる水も最上のご馳走となる。
水場を超え、さらに登ると足元は土の道から岩へ変わる。
登りには違いなにのだが、こういう変化があると気分も変わる。
大きな一枚岩の上を歩くわけだが、こんな所は雨でぬれた時には歩きたくないなあ。
急な鎖場を登り切るとブラックレイクという湖がある。
確かに黒っぽい湖だが、水は透き通っている。
さらに岩場を登っていくとお花畑もあった。
こういう変化もうれしい。
そのお花畑を過ぎると鞍部に出た。
U字谷の先にミルフォードサウンドが見える。
目を凝らせば観光の遊覧船が滝の真下に舳先を突っ込んでいるのも見える。
いつもはあの船からこっちを見上げるのだが、たまには視点を変えるのもいいな。
荷物を置き、今晩の食事の為に水を汲みに行く。
歩いて10分ぐらいの所に小さい湖があるのだ。
水はとことん透き通っていて、氷河を載せた岩山を鏡のように映し出す。
ただただ、ひたすらに、美しい。
キャンプ地のそばにニュージーランドエーデルワイズが咲いていた。
そういえば今年はこの花を見るのが初めてだな。
普段ガイドをしているコースには咲いていない。
ニュージーランドのものは、ヨーロッパのものとも日本のものとも違うと人は言う。
僕はこのエーデルワイズしか知らない。
いつか向こうのエーデルワイズを見る日が来るのだろうか。
水を確保し、テントを張り寝る準備を整えれば、後はやることはない。
ここからはお楽しみの時間である。
今回はワインを2本、白を1本、赤を1本持ってきた。
肴は鹿肉のサラミ、ブルーチーズ、これがまたワインに合うのである。
景色をつまみに瑞穂と乾杯。
瑞穂がこの国に来て早7ヶ月。
若い時の経験は財産になる。
今まで何もしてこなかった叔父さんが、ガイドになりこういう経験をさせてあげるのも、まあよかろう。
白ワインが赤ワインに変わり、酔っ払いながら晩飯に突入。
日が落ちて暗くなると空には満点の星。
星がきれいなのはテカポだけではない。
確かにテカポの星もきれいなのだが、暗い所、人が住んでいない所に行けばどこだってきれいなのだ。
最近はテカポの星空が人気だが、そこでなくてはいけない、と思うところがマスコミに踊らされている証拠だ。
なんてことはお客さんの前では言わない。
無数の星が黙って僕達を見下ろしていた。
サービス業の性なのだが、人が遊ぶ時に働く。
一年で一番いい時は一番忙しい時であり、時間を取るのが難しい。
それでも以前は一夏に何回かは自分の為の山歩きができたのだが、最近はそれもままならぬようになってきた。
忙しい夏もピークを過ぎたころ連休が取れ、しかも高気圧に覆われて天気も安定した。
この機会を逃してはいけない。
姪の瑞穂を連れて一泊二日の山旅に出かけた。
行く先はガートルートサドル。
片道2~3時間ぐらいで充分日帰りでもできるのだが、そこはそれ、あえてテント泊でじっくりと山を味わうことにした。
このコースは以前一人で行った場所で、手軽に行ける場所だがフィヨルドランドのU字谷を満喫できる。
山歩き初心者の姪っ子を連れて行くには最適だろう。
手軽に行けるといっても山をなめてはいけない。
今年はここで死亡事故も起こっているようだ。
確かに一歩間違えば簡単に人が死ぬような場所ではある。
事故が起これば行政は何かしらの行動を起こさなくてはならない。
そして以前より注意を促す看板が増えたというわけだ。
しかし、ここに来る人達の軽装振りを見てると、また事故は起こるだろうという気になる。
「山をなめるな」などとお説教をする気は毛頭ない。
だが装備も心身も計画も万端でも、事故が起こるのが山だと思う。
それの内どれか一つでもおろそかにすれば事故の確率は跳ね上がる。
そういうものだろう。
そして人間は痛い思いをして初めて気がつくものなのだ。
この場所に来たのは数年ぶりか、その時は一人ですべて背負ってきたわけだが、気のせいかその時よりもきつい。
年を重ねたせいか、体力が落ちているのか。
軽装の若者達がヒョイヒョイ登っていくのに道を譲り、のっしのっしと歩を重ねる。
山は競争ではないぞと自分に言い聞かせ、ペースを崩さずに登る。
それでもしばらく登れば景色も変わってくる。
U字谷の奥まった所を登ると遠くにミルフォードロードが見えてきた。
あの道を何回ドライブしたことか。
車の中で見るものと、自分の身を自然の中にさらけ出すものとでは、物事の捉え方や自然観などが全く違う。
汗をかけばそこに流れる水も最上のご馳走となる。
水場を超え、さらに登ると足元は土の道から岩へ変わる。
登りには違いなにのだが、こういう変化があると気分も変わる。
大きな一枚岩の上を歩くわけだが、こんな所は雨でぬれた時には歩きたくないなあ。
急な鎖場を登り切るとブラックレイクという湖がある。
確かに黒っぽい湖だが、水は透き通っている。
さらに岩場を登っていくとお花畑もあった。
こういう変化もうれしい。
そのお花畑を過ぎると鞍部に出た。
U字谷の先にミルフォードサウンドが見える。
目を凝らせば観光の遊覧船が滝の真下に舳先を突っ込んでいるのも見える。
いつもはあの船からこっちを見上げるのだが、たまには視点を変えるのもいいな。
荷物を置き、今晩の食事の為に水を汲みに行く。
歩いて10分ぐらいの所に小さい湖があるのだ。
水はとことん透き通っていて、氷河を載せた岩山を鏡のように映し出す。
ただただ、ひたすらに、美しい。
キャンプ地のそばにニュージーランドエーデルワイズが咲いていた。
そういえば今年はこの花を見るのが初めてだな。
普段ガイドをしているコースには咲いていない。
ニュージーランドのものは、ヨーロッパのものとも日本のものとも違うと人は言う。
僕はこのエーデルワイズしか知らない。
いつか向こうのエーデルワイズを見る日が来るのだろうか。
水を確保し、テントを張り寝る準備を整えれば、後はやることはない。
ここからはお楽しみの時間である。
今回はワインを2本、白を1本、赤を1本持ってきた。
肴は鹿肉のサラミ、ブルーチーズ、これがまたワインに合うのである。
景色をつまみに瑞穂と乾杯。
瑞穂がこの国に来て早7ヶ月。
若い時の経験は財産になる。
今まで何もしてこなかった叔父さんが、ガイドになりこういう経験をさせてあげるのも、まあよかろう。
白ワインが赤ワインに変わり、酔っ払いながら晩飯に突入。
日が落ちて暗くなると空には満点の星。
星がきれいなのはテカポだけではない。
確かにテカポの星もきれいなのだが、暗い所、人が住んでいない所に行けばどこだってきれいなのだ。
最近はテカポの星空が人気だが、そこでなくてはいけない、と思うところがマスコミに踊らされている証拠だ。
なんてことはお客さんの前では言わない。
無数の星が黙って僕達を見下ろしていた。