安政5年(1858)4月23日。
井伊直弼が大老に就任しました。
二日前に次女弥千代が高松藩に嫁いで行き、23日に彦根藩邸に挨拶に来る予定だったそうですが、22日深夜に江戸城に呼ばれた直弼はその場で大老就任の命を受けて、屋敷に戻らないまま夜が空けて、幕府より正式な発表が行われたのです。
このため、直弼は娘の幸福な顔を見る時間すらも潰されて大任を背負って行くのです。
これから二年も満たない人生の間に、直弼は娘と会う時間はあったのでしょうか?
令和最初の4月23日に、そんな疑問を持ちながら彦根城内の直弼公の銅像を観に行くと…
桜まつりも中止になった公園で、直弼公はまだ咲いている桜を静かに眺めているようにも見えました。