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WTO決裂/自由化交渉に終止符を

2008-07-31 23:29:20 | その他(国内)
WTO決裂/自由化交渉に終止符を(日本農業新聞論説)

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 世界貿易機関(WTO)交渉の閣僚会合が土壇場で決裂し、日本は農産物の大幅市場開放という“最悪の合意”をのまずに済んだ。農業交渉で日本は輸出国の攻勢にたじろぐばかりだった。結果的に日本農業の窮地を救ったのは、自国農業を断固として守るため、米国と激突し合意を拒んだインドと中国だった。食料危機が世界を襲う今、穀物過剰を前提にした時代錯誤のWTO農業交渉に、終止符を打つべきだ。日本がその先頭に立とう。

 農業などのモダリティー(保護削減の基準)確立を目指した閣僚会合は、合意寸前までいった。そこで見えたのは、わが国農業が向かう“地獄のふち”だった。ラミーWTO事務局長が25日に示した調停案は、米国、ブラジルなど輸出国寄りで、輸入国、日本の主張を粉砕した。

 交渉のポイントは、高関税農産物の関税率を一律7割削減することを基本にした上で、日本の米のように各国にとって大切な品目を対象に、削減率を緩和できる「重要品目」を設ける点だった。問題はその数で、日本は当初「10%以上」を求めていた。「8%」に譲歩したものの、ラミー調停案は「最大6%」しか認めなかった。しかも重要品目は、低関税輸入枠を拡大しなければならないという大きな代償を迫った。

 これを受け入れてしまうと、前回のウルグアイ・ラウンドの受諾以上の輸入攻勢にさらされ、農業の大打撃は必至となる。それでも日本は米国に歯向かえず、交渉を自ら壊すこともできなかった。事実上の敗北といえよう。

 食料輸入国に転じたインドと中国の頑張りで交渉は決裂し、日本農業は“九死に一生”を得た。農業者は、今の政府にWTO交渉を任せられないと落胆したに違いない。

 世界の食料不足問題の対応策として、福田康夫首相は6月の食料サミットで、自国の自給率向上を国際公約した。しかし、今回のWTO交渉で、日本が世界的な食料危機を踏まえ、各国の食料安全保障を尊重した貿易ルールへの転換を主張したとはとても見えない。

 「われわれは農民の暮らしのために交渉している」。交渉のヤマ場で、インドのナート商工相は記者団に毅然(きぜん)として言い放った。欧州連合(EU)が農業交渉で大きく譲歩すると、フランスのサルコジ大統領は「(合意に)署名しない」と抗議した。各国とも自国農業の防衛に必死だったが、福田首相は沈黙したままだった。

 政府・与党が今交渉で失った信頼を取り戻すには、国内農業を守り、自給率向上を実現することだ。世界では自国内への供給を優先する食料ナショナリズムが台頭している。各国の食料主権を奪うWTO自由貿易体制のゆがみは大きくなるばかりだ。農産物の自由貿易交渉は時代遅れになった。
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一般マスコミがWTOの危険性を全く指摘しない中で、少なくとも日本農業新聞のスタンスははっきりしている。「食料危機が世界を襲う今、穀物過剰を前提にした時代錯誤のWTO農業交渉に、終止符を打つべき」「農産物の自由貿易交渉は時代遅れ」など、歯切れのいい主張が続く。

「われわれは農民の暮らしのために交渉している」というインドのナート商工相の発言を紹介しながら、依然として「世界の警察官」を自称していい気になっている米国と対抗する必要性を説いている。当然だと思う。世界でも有数の温暖・湿潤な気候を持ち、食料生産に最も適した日本が、戦後は一方的に米国から「収奪」されてきた。遅すぎの感はあるものの、今、多くの日本人がそのことに気付き始めている。

農産物の、ひたすら自由化を求めてきた時代は終わったと、今はっきり言えると思う。聖書の中の偉い神様は「人はパンのみにて生きるにあらず」と仰ったが、俗物である人間はパンがなければ生きられない。いかなる社会体制であれ、国民を食べさせられない政府に存在価値があるとは私は思わない。そして、国民を食わせることイコール自由化だなんて、それこそ夢にさえ思わない。

日本農業新聞の「論説」を全面的に支持する。

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