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大成功した「年越し派遣村」と貧困問題

2009-01-04 22:46:12 | その他(国内)
生きる希望、派遣村がくれた…失業・自殺未遂から再起誓う(読売新聞)

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 職や住居を失った人たちが身を寄せる東京・日比谷公園の「年越し派遣村」には、3日も新たに入村する人たちが相次いだ。

 入村者の中に、生きることに絶望し、元日に自殺を図るまで追いつめられた男性(46)がいた。家庭崩壊、長年のネットカフェ生活、そして失職。男性は、偶然知った「派遣村」で励まされ、「もう一度生きてみよう」と自分に言い聞かせていた--。

 「もう仕事はない」。日雇い派遣労働者だった男性が派遣元の担当者から告げられたのは、昨年末のクリスマスイブだった。約7年間続けた製本の仕事は日当6840円。週5日働いてきたが、泊まり続けたネットカフェは1日1000円以上かかった。大みそかの朝、所持金は200円になっていた。「もう死ぬしかない」。あてもなく歩き始めた。

 男性は、北海道釧路市出身。19歳で上京し、不動産会社の従業員だった27歳の時に結婚した。その後、タクシー運転手に。待望の長男を授かってからは、率先して炊事や洗濯、子守を手伝う良き父だった。

 しかし、タクシーの仕事は減り、それに伴い夫婦仲も悪くなり、8年前に離婚した。空虚感から仕事が手につかなくなった。離婚から2年後、アパートを夜逃げ同然で飛び出し、ネットカフェなどで暮らしていた。

 今年元日。イヤホンでラジオを聞きながら歩き続けた男性は、午後5時ごろ、羽田空港近くの木の生い茂った歩道にたどりついた。上京後、初めてデートした公園のそばだった。高い木を選んで枝にベルトをくくりつけ、自分の首に巻き付けた。

 だが、ベルトのバックルが壊れ、一命を取り留めた。放心状態で聞いていたラジオから「派遣村」を紹介するリポーターの声が聞こえた。

 「派遣村にどんどん人が集まっています。今、さまよっている人でも、ここに来ればなんとかなるかもしれません」

 日比谷公園をめざして歩き始め、夜10時頃、公園に着いた。ボランティアの女性からおにぎりと温かいお茶を手渡されると、涙がこみ上げてきた。

 同村で弁護士に住民票を持っていないことを明かすと、「そういう人を守るのが法律です。ともにがんばりましょう」と励まされた。

 男性は派遣村が終了する5日、生活保護を申請する。「多くの人の温かさに触れた。もう一度、頑張ってみます」。そう誓った。
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米国発の金融危機によって、年の瀬の寒空に放り出された「雇い止め」派遣労働者たち。住み込みで働いていた派遣労働者たちは失業とともに住む場所も失った。

年を越すこともできない失業者たちを救済するため、労働組合・ボランティアが中心になって年末に急遽始まった「年越し派遣村」は、NHKでトップニュースに取り上げられるなど、大きな社会的注目を集めた。

このことだけは確認しておかなければならない。彼らは好きで派遣労働者になったのではないことだ。「働き方の多様化が進み、自由で制約を受けない短期労働を自分から求める若者たちだっている。派遣労働は彼らがみずから望んだものだ」という声が経済界の中にあるが、それは違うと私は思う。

好きなことをやりたいから短期労働? 好きなことをやりたくたって、自由に使えるお金がなければ好きなこともできないではないか。正社員になれば週末も休めないというのは一面において真理ではある。だが、正社員が過密過重労働になるからそれ以外の人が非正規労働化し、それがまた正社員の過密化重労働化に拍車をかけている。そこには「社会保険の負担など、コストがかかる正社員をできる限り少なくして利益を上げたい」という企業の身勝手な行動原理がある。両者はコインの表裏のような一体の関係にあるのだ。

身勝手な行動原理に基づいて企業が上げてきた収益は不当利得であり、しわ寄せを受けてきた人たちに還元されるべきだというのが当ブログの基本的立場である。儲けるなとは言わないが、せめて従業員・国民と共存できる程度の節度のある儲け方でなければ社会全体が維持できないと言っているのだ。経済の3要素は政府・企業・家計だが、今の日本社会は利潤が極端に企業だけに偏り、政府も家計も存立できないほどにやせ細っている。ここまで極端な経済的偏在は、政府による強制措置を使ってでも是正する必要があり、さしあたり、その是正の恩恵を、住む場所さえ奪われている失業者にまず分配しなければならないのは当然のことである。

年越し派遣村は、そうした実態を浮き彫りにし、社会的争点に押し上げただけでも大成功と言えるだろう。「派遣労働者を救うために、正社員の給与を引き下げよ」などと、問題を豊かな労働者対貧しい労働者の対立構図にすり替えたがる者が、特に経済界のお抱え学者などによくいるが、そのような言論に配慮する必要はない。肥え太って不健康になった豚の脂肪は少し落としてやるくらいがちょうどいいのであり、儲けすぎている者たちからの「再分配」を求めればすむ話なのだ。

当ブログは、あくまでも企業(特に大企業)からの再分配を求める。

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