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石破農相「減反政策見直し」、総選挙前に自民離れ加速も

2009-01-15 23:49:41 | 農業・農政
石破農相「減反政策見直し」、総選挙前に自民離れ加速も(読売新聞)

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 石破農相が昨年末に打ち出した、コメの生産調整(減反政策)の制度廃止を含めた見直し発言が波紋を呼んでいる。

 約40年間にわたって国内のコメの価格を維持するために続けられてきた減反政策は、制度内容が頻繁に変わり、農家の生産性向上といった構造的な問題の解決に役立っていないとの指摘が多い。総選挙を前に農家を支持基盤に抱える自民党が、減反の抜本見直しに踏み切れるのか注目される。

 ◆石破発言

 石破農相は昨年12月28日に今後の農政について記者団に「いろいろな角度から減反政策について見直す。タブーを設けず、あらゆることが可能性として排除されない」と述べ、廃止も検討対象になることを示唆した。農水省は今月末から農政の基本計画の改定作業に着手し、今夏にも結論をまとめる意向だ。

 減反は国民がコメを食べる量が減り、コメが余ってきたため、農家の収入が減ることに歯止めをかけるため、1971年度から始まった。作付面積を減らしてコメの価格を維持しようとした。現在、約270万ヘクタールの水田のうち、減反政策によって、コメの代わりに約4割で麦や野菜などが作られたり、休耕田となったりしている。

 しかし、減反政策の中身は様変わりしてきた。最近でも、06年度から政府は、翌年のコメの目標生産量を提示し、都道府県に配分したが、実際にコメ農家がどれだけ生産するかは、農協や農家が独自に決める仕組みに変えた。この結果、コメの過剰作付けで、コメの生産量が増え、価格が最大10%程度も下落してしまった。

 07年度は、割り当てた目標を達成するために、地方自治体や農協への締め付けを厳しくしたが、効果が上がらず、生産量が増え、価格低迷が続き、農家の不満は募るばかりだ。

 ◆廃止?

 減反政策の問題点について、石破農相は、「『正直者がばかを見る』といった形が払拭(ふっしょく)できない」と語っている。減反でコメの作付面積を減らした結果、価格が維持されたとしても、協力せずに、自由に作る農家が価格維持の恩恵を受けるからだ。石破発言の背景には、選挙をにらんで、問題を放置すれば農家票の自民離れを助長しかねないとの懸念があるが、同時に減反政策の制度疲労を浮き彫りにする狙いがある。

 専門家も、コメ価格維持の効果について、東京大学の生源寺真一教授は「コメは多様な銘柄と産地によって価格が異なる。コメの生産量の総量(を制限する)目標を達成しても価格を維持できる保証はない」と指摘する。九州大学の伊東正一教授も「減反で(コメの生産量が減るため)農家が生産性を高めることが難しい」と指摘する。

 経済産業研究所の山下一仁上席研究員は、廃止した場合、1万4000円(60キロ・グラム当たり)が9500円に低下すると試算する。価格下落で、国内の需要が増え、さらに価格低下分の8割を農家に補填(ほてん)するとしても、現在の転作補助金と同程度の1600億円で済むと主張している。

 世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)が再開し、仮に大枠合意すれば、コメの輸入枠が拡大し、安い輸入米が国内に多く入ってくる。株式会社が参入しやすくするなど農業の担い手を増やす抜本策が必要だ。

 ただ、農家には減反を支持する声も根強く、自民党農林族議員なども減反の抜本見直しに反発する可能性が高く、見直しを巡る議論は難航しそうだ。(幸内康)
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石破農相の減反見直し発言を、当ブログは歓迎する。石破氏のことを単なる軍オタと思っていた認識は、改めなければならないかもしれない。

コメ余りの原因は、食生活の多様化に伴うコメ需要の減退にあるのであり、決して農家のせいではない。加えて、現在の家族的自作農制度の下では、コメ価格がそのまま農家収入となるから、食生活の多様化に伴うコメ余りで価格が低下し、それによって農家収入が減ったとしても、それも農家の責任ではない。農政を論じるに当たっては、この点を押さえておかなければならない。

食糧自給率を上げようというスローガンを掲げながら、コメを作りたい者に自由に作らせない減反制度は明らかにおかしい。「現実にコメが余っているじゃないか」という反論はあるかもしれないが、それはコメ以外の食料で国民がカロリーを摂取できるから「今は」そうだというだけのことである。将来、食料輸入が途絶し、日本国民が国内自給できるコメと芋しか食べられなくなったとき、当ブログのおおざっぱな試算では年間2400万トン程度のコメが必要になる。それは、現在の国内年間コメ生産量の3倍にも相当する。

その程度の知識もないのに、したり顔で「コメ余り」などとのんきなことを言っている評論家は、私が説教してやるから出てこいとすら思う。連作障害もなく、日本の気候風土にもっとも適したコメを作っておけば、加工用(煎餅など)、備蓄用、飼料用、緊急支援的輸出用などいろいろな用途に使える。

その上で、価格が暴落して農家が食えないという事態にならないよう、当ブログはコメの価格下支え政策の導入を提言する。コメの最低基準価格(例えば1俵1万5000円)を決めておき、市場価格がそれを下回った場合には、差額を農家に補填するようなシステムを導入するのである。そうすれば、農家は安心して生産に励むだろう。

ただ、現在のコメ余りが需要の減退から起きていることを踏まえるならば、ただ作れ作れと奨励するだけではいけない。消費刺激策を考えないと、増産したコメがそっくりそのまま備蓄用倉庫行きという事態になりかねないからだ。「朝は和食」キャンペーンとか、学校給食はコメを原則、パンを例外に改めるとか、とにかくいろいろなアイデアを出して消費刺激策を考える必要があると思う。

大阪の大衆食堂には、「お好み焼き定食」(お好み焼きをおかずにしてご飯を食べる)という信じがたいメニューがあるが、お好み焼きとご飯なんてとてもじゃないけど食べきれないという人々のために、お好み焼き定食を「半ライス、半お好み焼きセット」にアレンジして全国普及をはかるなどというのも、コメ消費の拡大のためには面白いかもしれない。

そうして消費拡大を図り、同時に価格を下支えしながら、増産体制を確立していくことが食糧自給への最短経路である。消費が拡大すれば、価格は必然的に上昇するから、価格下支えのための補助金支出も徐々に必要がなくなり、コストも下がる。この段階にくればあらゆる政策が軌道に乗るだろう。

今回の減反見直しが正式に国の政策となるかどうかは、夏にとりまとめられる提言をみなければわからないが、せっかく農水相からこのような思い切った発言が出たのだから、これを機に食糧自給を達成していくための方法について、あらゆる角度から議論が広がっていけばよいと思っている。

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