人生チャレンジ20000km~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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核のない未来を願って 松井英介遺稿・追悼集(緑風出版)

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こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

南会津~すぐそこにある「夢の世界」へ

2011-06-12 22:38:10 | 原発問題/一般
3.11以降、私たちは人類史上類例のない異常事態の中を生きている。雨が降るたびに怯えなければならない。子どもは外で遊ぶことさえできない。それ以前に外で思いっきり深呼吸することさえ死の覚悟なしにはできない。映画「風の谷のナウシカ」の中だけだと思っていた異常な世界が現実になってしまったのだ。

こんなとき、既存のマニュアルなど何の役にも立たないし、歴史上の偉人たちがどのように生きたかもエピソード的な意味しか持たない。ましてや、政府が私たちのために何かしてくれるなどと思ってはならないし、「自称専門家」が私たちのために有益な情報を提供してくれるなどと考えてはならない。

この異常事態を引き起こしたのは他でもない彼らなのだから、その彼らが私たちを助けてくれる可能性は、ミミズが2本足で歩くよりも低いだろう。今、この状態で彼らを信じるというのは、みずから泥棒を家に招き入れておいて「この人ならきっと盗まないに違いない」と信じるようなものだ。

このような異常事態に私たちは何をすべきか。みずからの頭で考え、みずからが正しいと信じた道を歩むしかない。厳しい言い方かもしれないが、この期に及んで無邪気に政府や「自称専門家」を信じている人、みずからの頭で考える訓練をしていない人、それ故に何もできず、信じられず、途方に暮れている人たちは、間違いなく彼らによって殺されるだろう。何も信じられなければ自分を信じればいい。自分は決して裏切ることはないからだ。

低線量被曝はかえって身体にいいなどという「自称専門家」の寝言、戯言など受け流しておけばいい。被曝は低線量でもするよりしない方がいいに決まっている。地球上の生命体は、人工放射線のような未知の存在に対していきなり防護力を発揮できるほど完全に造られていないからだ。もし地球上の生命体にそんな能力が備わっているなら、今頃人類からあらゆる病気は消滅し、医師は失業し、人間の死因は老衰だけになっているだろう。

それに、もし核物質が「直ちに健康に影響がなく」、年100ミリシーベルト(それは被爆量10シーベルトといわれる広島原爆の100分の1にも当たる)もの放射線を浴びせられて平気でいられるなら、そもそもなぜ各国は競って核を兵器にしようとしてきたのだろうか。人体に悪影響がないのなら、それは兵器としてなんの役にも立たないではないか。

御用学者のいうことを信じると、その程度のことさえわからなくなる。当然だろう。彼らは意図的に善良な市民を混乱させようとしているのだから。

福島に生活するようになって4年が過ぎ、5回目の初夏を迎えた。望みをかけていたこの春の人事異動もなく、数ヶ月のうちにここから転居できる可能性も遠のいた。場合によっては管理区域レベルの放射線との付き合いがあと数年、続くことになるかもしれない。

そのような生活が続く以上、無用な外出は避け、仕事のない週末は少しでも空間線量の少ない地域に行く方が身体にいい。そのように考えた私は、気分転換も兼ねて南会津(下郷町、田島町)に出向いた。ここは空間線量が0.08~0.12μSv/h。県が実施した小中学校の土壌調査で、基準値を上回る放射性物質が検出された場所がひとつもなかった唯一の地域である。福島県ということで危険地帯のように扱われているが、放射線量だけで見れば首都圏よりむしろ安全といえる。

国道289号線を走り、久しぶりに甲子峠を越えた。念のため持参した線量計で放射線量を測定すると、軒並みどこも0.1μSv/hを下回る水準だ。危険のない水準だと判断したので、車の窓を開け、車内の淀んだ空気を新鮮な外気と入れ替える。マスクをせずに外で深呼吸したのはいつ以来だろうか。

南会津に来ると、会いたくなる人…ではなく、猫がいる。会津鉄道、芦ノ牧温泉駅の「駅長」を務める「ばす」である。政府や専門家どころか、今や人間そのものが信じられない私にとって、動物こそ気の置けない友達だ。実際、GWは南紀白浜アドベンチャーワールドにパンダを見に行ったし、原発事故以来、動物にばかり会いに行っているような気がする。自分の行動を振り返ってみると、自分の人間不信が救いがたいレベルになっているのがよくわかる。

久しぶりに会った「ばす」は、人間に餌を与えられすぎているのか、前回よりさらに太っていた。このままでは成人病、いや成「猫」病で死んでしまいかねない。そして、今日はご機嫌斜めらしく、駅の隅に隠れて来客にそっぽを向いたまま「ばす~」という駅員の呼びかけにも答えない。

「少しの時間でいいのでしたら、まもなくトロッコ列車が来ますよ。湯野上温泉で折り返せば30分後の15時01分には戻ってこれるので、乗りませんか?」と駅員に誘われ、誘惑に負けてしまう。

トロッコ列車はゆっくり走り出した。その瞬間、涙が出そうな不思議な感覚に襲われた。言葉でうまく表現できないが、壊れた幸せを修理しているような感覚、とでも表現すればわかってもらえるだろうか。3.11以来、久しく忘れていた感覚だ。このことだけでも来て良かったと思える。

空腹を覚えた私たちは、国道121号線沿いにある食堂でこれも3.11以来初めての外食をした。何しろここの汚染度は首都圏以下なのだ。毎日外食することはお勧めできないとしても、大人がたまにする程度であれば問題ないといっていい。

食事を終えると夕方になった。残念ながら「腐海」(「風の谷のナウシカ」で、ナウシカが自分たちの住む世界をこう呼んだ)へと戻らなければならない。夜0時を過ぎたら馬車に乗れなくなってしまうシンデレラのように、私たちは、マスクなしで深呼吸ができる「夢の世界」を後にした。

このような残酷な世界が一体いつまで続くのか考えただけで気が滅入りそうになる。しかし、「腐海」のすぐそばに夢の世界は確かに存在していた。この2つの運命を分けたものがなんだったのか今さら考えても始まらない。確実に言えることは、予定のない週末だけでもここに来る方が身体にいいということだ。

福島原発にさらなる爆発、倒壊などの破局的事態が起こらない限り、南会津地方は「夢の世界」であり続けるだろう。少し気が早いが、原発事故をきっかけに実家とも関係が断絶してしまった私にとって、南会津は年末年始の滞在先の最有力候補地でもある。この夢の世界へ来ることができる機会を可能な限り増やしたいと思っている。

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本日の放射能測定値

2011-06-12 18:33:33 | 福島原発事故に伴う放射能測定値
<本日の計測結果>

・計測年月日、時間
 2011年6月12日 午後5時20分
・計測場所
 計測場所 福島県西白河郡西郷村 八雲神社(地図

・計測時の気象条件(晴/曇/雨/雪の別及び風向、風速)
 天気:曇
 風向・風速:南南西 5.8m

・計測結果(単位:マイクロシーベルト/時)
 ・神社境内
  大気中(高さ100cm)   0.61
  土壌(高さ10cm)    0.84

 ・神社脇の公園遊具前
  大気中(高さ100cm)   0.29
  土壌(高さ10cm)    0.30

<測定結果についてのコメント>
昨日からほとんど変更がなかった。

久しぶりに放射線のない地域でゆっくり保養したいと思い、福島原発事故以来、初めて行楽らしい行楽に出かけた。南会津地域の各地で放射線量を測定してきたので、併せて結果をお知らせする。

 ・会津鉄道 芦ノ牧温泉駅前駐車場
  大気中(高さ100cm)   0.08
  土壌(高さ10cm)    0.12

 ・塔のへつり付近
  大気中(高さ100cm)   0.08
  土壌(高さ10cm)    0.08

 ・下郷町役場駐車場
  大気中(高さ100cm)   0.12
  土壌(高さ10cm)    0.12

 ・道の駅しもごう駐車場
  大気中(高さ100cm)   0.12
  土壌(高さ10cm)    0.12

予想通り、南会津地域は放射線量が低い、というよりほぼ平常値に近い。3月15日の4号機の爆発直後はこの地域でもさすがに放射線量は上昇したようだが、飛来した放射性物質の量が微量だった上、雨や雪にも見舞われなかったことが幸いしたと思う。県が調査した小中学校の土壌調査でも、放射性物質の検出量が基準値を上回った学校が全くなかった。福島県内各地域でも、このような地域は南会津だけである。

ある意味、この地域は首都圏よりも安全と言っていいし、この数値なら子どもを泥遊びさせても問題ないだろう。

下郷町役場や芦ノ牧温泉駅と比べて標高が高い「道の駅しもごう」では少し高い数値が出るかと思ったが結果は誤差の範囲と呼ぶべきものだった。西郷村と下郷町の境界に位置する国道289号線甲子トンネルを抜けると、放射能汚染度は天と地ほどの違いがある。事実上、このトンネルが汚染の境界線になっている。

甲子トンネルは、標高1500メートルの山を貫いている長さ4700メートルの長大トンネルで、1970年代に着工しながら2008年の開通まで30年もかかる「難産」だった。だが、この高い山が南会津地域を放射能汚染から守ってくれたのだから不思議なものだ。
1年の半分が雪に覆われるこの寒村は、山に恨み言ひとつ言わず、厳しい自然と共存してきた。改めて、自然を支配する生活から自然と共存する生活へ転換しなければならないと思う。

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