2011年8月30日、放射性物質汚染対策特別措置法が公布され、除染に関する緊急実施基本方針も発表された。推定20mSv超の地域は環境省主体で除染し、1~20mSvの地域は地方自治体などが当たることになった。
そして、2011年9月22日付けの内閣府公示により、「除染モデル実施事業」を発注する事業者が定められた。
公示にいわく、このモデル事業は「独立行政法人日本原子力研究開発機構を相手方とする契約手続きを行う予定としているが」「日本原子力研究開発機構以外のもので、下記の応募要件を満たし、本業務の実施を希望する者の有無を確認する目的で、参加意思表明書の(略)公募を実施する(略)。(略)応募要件を満たすと認められる者がいない場合(略)日本原子力研究開発機構との契約手続きに移行する(略)」。
要するに、公募の体裁をとるが、事実上、公募前にすでに日本原子力研究開発機構(JAEA)に決定していた。
JAEAは、原発推進を担う文部科学省の外郭団体で、「原子力ムラ」の象徴的機関だ。特殊法人「動力炉・核燃料開発事業団」が組織替えした「核燃料サイクル開発機構」と、同「日本原子力研究所」が統合され、2005年に新設された。
主たる業務は「もんじゅ」開発だが、深刻な事故を続発させてきた。のみならず、事故の隠蔽、虚偽の説明が次々と発覚している。JAEAの前身の事業団発足以来45年経つが、「もんじゅ」運転が軌道にのる見とおしは立っていない。
2012年度予算案では、「もんじゅ」を含む高速増殖炉の研究費は大幅に削減された。2011年11月の行政刷新会議の「提言型仕分け」では、猛批判にさらされ、組織存続の危機を迎えた。
ここで、前記の内閣府公示を再び引く。「産官学の原子力の専門家が結集し、公平かつ中立的な立場を有し且つこの分野【除染のこと】における我が国で最高の知見を有する団体である日本原子力研究開発機構」うんぬん。
ところが、ホームページでJAEAがうたう除染の実験研究結果は、専門家らによれば、除染試験は規模が小さいし、総量の減少率も大きくなく、セシウムの分布と空間線量の変化の研究も、風雨などの影響すら考慮されていない。
では、なぜ政府はJAEAへ事業を発注したのか。政府といっても、公示の中身を書いたのは、原子力災害対策本部の下部機構、内閣府原子力被災者生活支援チームの放射線班だ。この班は、経済産業省原子力安全・保安院、文部科学省などからの要員で構成される。
要するに、「もんじゅ」も進まず、存在理由が乏しくて困っているので、そこに除染のカネを回す、ということだ。原子力ムラは、こういう不透明さの中であの事故を起こしたが、その反省もなく、何も変わっていない。【河野太郎・衆議院議員】
JAEAは、取材をすべて拒否している。
JAEAは、実際に現地で除染を行う業者として、大成建設、鹿島、大林組の3大ゼネコンに再発注した。いずれも原子力ムラに深く「貢献」している業者だ。「貢献」度が前記3業者より低い清水建設も竹中工務店も、選定から漏れた。
いま政府は、発注事業の入札内容の評価をすべて公表しているが、JAEAはこの件では一切伏せている。
前記業者とその協同企業体(JV)も、取材を拒否している(大成とそのJVを除く)。
モデル事業は、対象地域も期間も限られ、予算は119億円だが、本格除染事業は国・自治体を合わせ総額は兆円単位にのぼる、と目される。復興需要に除染特需が加わり、3大大手ゼネコンなどの収益は急膨張する見込みだ。
除染が公共事業化しつつある。【河野議員】
日本を破滅させかけた原子力ムラは、除染事業を通して、従来の不透明性とともに、ひそかに息を吹き返しつつある。
以上、長谷川煕(ライター)「「もんじゅ」の次は除染」(「AERA」2012年1月30日号)に拠る。
*
日本列島を広範囲に覆う大雪と厳しい冷え込みは、オホーツク海付近に発生した「ブロッキング高気圧」の影響で偏西風が蛇行し、上空に寒気が居座ったためらしい。この冬型気圧配置は2月上旬まで続き、過去の記録的豪雪に匹敵する大量の雪を降らせる可能性もあるよし【注】。
太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ 次郎の屋根に雪ふりつむ。
人口に膾炙する三好達治「雪」だ。雪は勝手に降り続けるから、こちらも勝手に寝入る。古来、雪国の人々は、そう生きてきた。
【注】記事「2月上旬まで続く? ブロッキング高気圧で寒気居座り 豪雪を警戒」 【msn産経ニュース 2012.1.25 20:45 】
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そして、2011年9月22日付けの内閣府公示により、「除染モデル実施事業」を発注する事業者が定められた。
公示にいわく、このモデル事業は「独立行政法人日本原子力研究開発機構を相手方とする契約手続きを行う予定としているが」「日本原子力研究開発機構以外のもので、下記の応募要件を満たし、本業務の実施を希望する者の有無を確認する目的で、参加意思表明書の(略)公募を実施する(略)。(略)応募要件を満たすと認められる者がいない場合(略)日本原子力研究開発機構との契約手続きに移行する(略)」。
要するに、公募の体裁をとるが、事実上、公募前にすでに日本原子力研究開発機構(JAEA)に決定していた。
JAEAは、原発推進を担う文部科学省の外郭団体で、「原子力ムラ」の象徴的機関だ。特殊法人「動力炉・核燃料開発事業団」が組織替えした「核燃料サイクル開発機構」と、同「日本原子力研究所」が統合され、2005年に新設された。
主たる業務は「もんじゅ」開発だが、深刻な事故を続発させてきた。のみならず、事故の隠蔽、虚偽の説明が次々と発覚している。JAEAの前身の事業団発足以来45年経つが、「もんじゅ」運転が軌道にのる見とおしは立っていない。
2012年度予算案では、「もんじゅ」を含む高速増殖炉の研究費は大幅に削減された。2011年11月の行政刷新会議の「提言型仕分け」では、猛批判にさらされ、組織存続の危機を迎えた。
ここで、前記の内閣府公示を再び引く。「産官学の原子力の専門家が結集し、公平かつ中立的な立場を有し且つこの分野【除染のこと】における我が国で最高の知見を有する団体である日本原子力研究開発機構」うんぬん。
ところが、ホームページでJAEAがうたう除染の実験研究結果は、専門家らによれば、除染試験は規模が小さいし、総量の減少率も大きくなく、セシウムの分布と空間線量の変化の研究も、風雨などの影響すら考慮されていない。
では、なぜ政府はJAEAへ事業を発注したのか。政府といっても、公示の中身を書いたのは、原子力災害対策本部の下部機構、内閣府原子力被災者生活支援チームの放射線班だ。この班は、経済産業省原子力安全・保安院、文部科学省などからの要員で構成される。
要するに、「もんじゅ」も進まず、存在理由が乏しくて困っているので、そこに除染のカネを回す、ということだ。原子力ムラは、こういう不透明さの中であの事故を起こしたが、その反省もなく、何も変わっていない。【河野太郎・衆議院議員】
JAEAは、取材をすべて拒否している。
JAEAは、実際に現地で除染を行う業者として、大成建設、鹿島、大林組の3大ゼネコンに再発注した。いずれも原子力ムラに深く「貢献」している業者だ。「貢献」度が前記3業者より低い清水建設も竹中工務店も、選定から漏れた。
いま政府は、発注事業の入札内容の評価をすべて公表しているが、JAEAはこの件では一切伏せている。
前記業者とその協同企業体(JV)も、取材を拒否している(大成とそのJVを除く)。
モデル事業は、対象地域も期間も限られ、予算は119億円だが、本格除染事業は国・自治体を合わせ総額は兆円単位にのぼる、と目される。復興需要に除染特需が加わり、3大大手ゼネコンなどの収益は急膨張する見込みだ。
除染が公共事業化しつつある。【河野議員】
日本を破滅させかけた原子力ムラは、除染事業を通して、従来の不透明性とともに、ひそかに息を吹き返しつつある。
以上、長谷川煕(ライター)「「もんじゅ」の次は除染」(「AERA」2012年1月30日号)に拠る。
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日本列島を広範囲に覆う大雪と厳しい冷え込みは、オホーツク海付近に発生した「ブロッキング高気圧」の影響で偏西風が蛇行し、上空に寒気が居座ったためらしい。この冬型気圧配置は2月上旬まで続き、過去の記録的豪雪に匹敵する大量の雪を降らせる可能性もあるよし【注】。
太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ 次郎の屋根に雪ふりつむ。
人口に膾炙する三好達治「雪」だ。雪は勝手に降り続けるから、こちらも勝手に寝入る。古来、雪国の人々は、そう生きてきた。
【注】記事「2月上旬まで続く? ブロッキング高気圧で寒気居座り 豪雪を警戒」 【msn産経ニュース 2012.1.25 20:45 】
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