沼尻鉄道 川桁駅発行沼尻ゆき乗車券

昭和37年11月に川桁駅で発行された、沼尻ゆきの硬券乗車券です。

 

   

 

桃色JPRしてつ地紋のB型券で、一般式券となっています。


沼尻鉄道は沼尻鉱山で産出される硫黄鉱石の輸送のため、鉱山の運営会社であった日本硫黄が大正初期に日本硫黄耶麻軌道部として開通させた全長16km弱の軽便鉄道です。当初は国道に沿った区間があったことから軌道法で建設されていましたが、戦時中に地方鉄道法による地方鉄道に変更され、日本硫黄沼尻鉄道部に名称が変更されています。

その後、沼尻鉱山の産出量が減少し、同社は観光輸送に力を入れるようになり、日本硫黄観光に社名が改称され、昭和40年代に入って磐梯急行電鉄という電車の走らない電鉄会社になります。しかし、昭和43年には沼尻鉱山が閉山されて会社は倒産し、翌3月に全線廃止となってしまっています。


御紹介の券は昭和34年のものですので、日本硫黄沼尻鉄道部時代の券ということになります。


ところで、同線を語る場合に一般には「沼尻鉄道」と表現され、実際に乗車券にも「沼尻鉄道」と表記されていますが、会社名の変遷を辿っていくと、正式には「沼尻鉄道」という名称は存在しなかったことに気づきます。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )