西武鉄道 秩父鉄道御花畑駅発行乗車券

西武鉄道の西武秩父駅と秩父鉄道の御花畑駅は、西武秩父線の複雑な線路形態から西武線完結の運賃計算上同一の駅とみなされ、御花畑駅では長瀞方面より直通運転される列車に乗車して西武線方面へ行く旅客のために西武線の乗車券を発売しており、その発駅は西武秩父ではなく、御花畑となっています。


   


緑色西武鉄道自社地紋の千切り式軟券で、大人・小児用の金額式券です。140円区間のほかに390円区間・510円区間750円区間の3種類の計4種類のみとなっており、その他の駅までは着駅にて精算となります。これは飯能・所沢・池袋といった主要駅までのものに限定したことが理由であると思われます。
券は昭和30年代から40年代中頃までの同社の乗車券を思わせるようなもので、当初からさほどの需要を見込んではいない様式です。この券は硬券を下に合わせたうえでダッチングを通して日付を入れていただきましたが、係員によってはゴム印で捺印することもあるようです。


発行箇所名は「〇西 御花畑 駅発行」となっており、「〇西」の符号は「西武鉄道」を表すものであると思われます。


硬券時代の同駅乗車券です。


   

   


平成元年8月に発行されたもので、緑色西武鉄道自社地紋の金額式券です。当時はまだかなりの駅でこのような硬券乗車券が発売されており、同社の金額式硬券には大人・小児用は存在せず、大人用と小児用のそれぞれが設備されていました。

発駅である御花畑の前に「〇西」の符号があり、西武鉄道扱いであることがわかります。


この「〇西」符号ですが、かつては違う意味で使用されていました。


   


こちらは昭和59年4月に武蔵境駅で発行された、110円区間ゆきの金額式券です。当時の武蔵境駅は国鉄中央線と西武多摩川線が同じホームに発着しており、構内はひとつになっていました。そして、西武鉄道の出札業務は国鉄に委託されており、国鉄の券売機か、みどりの窓口で発売されていました。

この券も発駅名の武蔵境の前に「〇西」の符号があり、これは御花畑駅のそれと一致します。しかし、これは西武鉄道扱いというわけではなく、国鉄東京西鉄道管理局管内の駅で委託発行されたという意味であり、全く意味が違います。


これは、西武鉄道と秩父鉄道が直通運転を始めたのが国鉄民営化後の平成元年4月からであり、推測するに、既に国鉄民営化によって「御役御免」となった「〇西」符号の活字が、意味は違っていてもこれで充分に意味を為すとの判断によって、めでたく復活したものと思われます。


そのような御花畑駅発行の西武鉄道乗車券ですが、未確認ではあるものの、秩父鉄道での取扱いが3月31日いっぱいで廃止されたらしいとの情報も聞こえてきます。

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