趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
京王帝都電鉄 新宿から河口湖ゆき 高速バス乗車券
昭和52年2月に新宿高速バスセンター(現・新宿高速バスターミナル)で発行された、河口湖ゆきの京王中央高速バスの乗車券です。
青色けいおうていと自社地紋のA型券で、矢印式となっています。
この路線は「新宿~富士五湖線」という路線で、新宿駅バスターミナルから富士急ハイランドを経由し、富士吉田(現・富士山)・河口湖・本栖湖や忍野八海・山中湖・平野に行く路線です。
当時の京王バスは京王帝都電鉄直営のバス部門でありましたが、現在はバス部門は鉄道部門から分離独立し、京王バス東という会社が運行しているようです。
御紹介の券はハイランド(現・富士急ハイランド)までの券として発券されており、着停留所であるハイランドに〇印を入れてあります。
裏面です。
当時は京王帝都電鉄直営であったため、発行会社名として「(京王帝都電鉄)」の記載があります。
中央高速バスでは昭和55年頃から座席予約システムが導入され、硬券での発売はそれ以降行われていません。
上田交通 代用乗車券
平成15年3月に上田交通上田駅で発行された、塩田町から上田までの乗車券です。
桃色TTDてつどう地紋の半硬券で、千切り式の駅名および金額の記入式券です。
同社の前身である上田丸子電鉄時代には出札補充券が存在していましたが、上田交通時代には車内補充券以外の補充券類は未見であり、駅の出札窓口で訊いても補充券類はないとのことでしたので、恐らく存在しなかったのでしょう。その代わり、「代用券」という手書きの乗車券であればあるということでしたので発行していただきました。
代用券は発駅が発行駅と異なる乗車券を発行する際に用いられるもので、発駅および着駅・運賃のすべてが記入式のものでした。そして、ヘッダーの「乗車券」の文字の前に事由を付け足して記載できるような空間が用意されています。
当時の上田駅出札氏によれば、「他社の出札補充券的なもの」なのだそうで、復路用の片道乗車券など、社線完結の乗車券として発行する際に使用されるとのことでしたが、すでに列車がワンマン化されていた当時、特に乗車券を発行しなくとも車内の運賃箱で対応できるので通常はあまり発行しないとのことでした。
塩田町の「塩」という字の字体が大変特徴的なゴム印が使用されています。
上田電鉄となった現在でも代用券の制度はあるようで、普通回数券を使用して1枚づつ千切って発行しているようです。
函館駅発行 五稜郭ゆき復路専用乗車券
昭和61年9月に函館駅精算所で発行された、五稜郭ゆきの復路専用乗車券です。
札幌印刷場で調製された、青色国鉄地紋のB型券となります。発行箇所名は「〇改 函館駅」となっており、精算所(改札窓口)で発行されたということが分かります。
札幌印刷場調製の復路専用券は他の印刷場が矢印式を採用しているのに対し、なぜか相互式となっています。復路専用であるのですから復路分の片道についてを表現すれば良いと思われるのですが、敢えて相互式にしている理由は不明です。
裏面です。
同区間は昭和61年9月1日の運賃改定によって片道160円(往復320円)から170円(同340円)に改定されており、0004という券番から改定当日より設備された新券と思われます。
運賃改定に伴う印刷場の繁忙期に印刷されたことによるのでしょうか、復路専用乗車券に記載される「往路分の170円もいただいています。」の文言が抜けてしまったミス券となってしまっています。
富士急行 連絡用車内補充券
前回エントリーで富士急行線の社線用車内補充券を御紹介いたしましたが、同線には連絡用の車内補充券もあります。
前回の社線用車内補充券と同じ車掌氏から買い求めたもので、JR東日本の大月から猿橋までの小児用として発券して戴きました。これは、乗車駅からのJR新宿駅までの連絡乗車券を提示して購入しましたが、コレクション用であっても、最低でも大月駅までの乗車券を所持していなければ「JR区間だけ」といった発行は出来ないとのことでした。
この券も青色PJRてつだう地紋となっており、社線用同様に概算鋏で穴を開ける様式です。やはり、鉄道乗務員区乗務員発行となっています。
このような車内補充券は首都圏では殆ど見かけなくなりましたので、首都圏のJR駅の区間補充式の車内補充券に慣れていない駅現場の若い係員さんが、あまりに複雑な地図に面喰らいそうです。
現在でも富士急行線からの連絡運輸範囲は、赤坂、十日市場、寿、葭池温泉前の各駅を除いた駅から東京(都区内)-(横浜市内)-平塚間、新川崎、 南武線、北府中-西浦和間、横浜線、中央本線、広丘-松本間、川口-大宮間、戸田公園-北与野間と広範囲に亘っており、結果としてこのような複雑な地図の券面になってしまったのでしょう。
裏面です。
こちらのご案内文にも急行券に関する記載がありますが、この券についてはJRとの連絡運輸の関係から残されている可能性があります。しかし、表面の事由欄には、社線用同様に急行券の記載はありません。
この券も富士山駅改称に対応しており、一番下にある社線部分が改版されています。ただし、社線用券のように「富士山」部分の活字に違和感はありません。
富士急行 社線用車内補充券
先月22日、プノンペン(カンボジア王国)で開催された第37回世界遺産委員会において、日本が世界文化遺産として推薦していた「富士山」の審議が行われ、世界遺産一覧表へ記載することが決定されました。そして、同時に推薦されていました三保松原については世界遺産委員会の諮問機関から除外することが適当と勧告されていましたが、審議の結果、三保松原も含めて記載することが決定されました。
さて、富士山に限りなく近い鉄道として富士急行線が挙げられますが、同線は東京近郊から至近の距離にあるにも拘わらず、未だに車掌が車内補充券を携帯して車内精算が行われています。
平成25年1月に発行された、一番最新の様式と思われる、社線内専用の車内補充券です。青色PJRてつだう地紋の券で、発行箇所名は鉄道乗務員区となっています。
従来からある入鋏式の軟券で、発駅は駅名の真ん中に、着駅は地図の〇印の中に概算鋏を入れて区別します。
この券は車内で有効な原券を提示して記念に発行して戴きましたので、「区間は問いませんので、審査に提出しやすい区間で結構です」と申し上げたところ、車掌氏「では、発駅は駅名の真ん中にパンチを入れなければならないので、文字が見えなくならない赤坂にしましょう」と言いながら発行してくださいました。
裏面のご案内文です。現在、同線には急行列車の運転はありませんが、なぜか急行券として発行する際の記載もあります。しかし、表面には急行券として発行する際の事由欄はありませんので、かつて急行列車が運転されていた時から版を変えていないのか、将来急行列車を運転する可能性を否定せずに敢えて文言を残してあるのか不明です。
最新の版では富士吉田駅の富士山駅への改称に対応したものとなっていますが、当時、車掌さんによってはまだ富士吉田時代の旧版の券を持っている方も居られるとのことでしたので、旧版をすべて使い切ってからの切り替えとしていた過渡期であったようです。
改定された部分を拡大して見てみますと、月江寺と富士急ハイランドの活字に比べ、富士山の活字のフォントは若干細く、明らかに版を差し替えた感があるものとなっています。
ジェイアールバス関東 草津温泉駅発行 東京山手線内ゆき乗車券
平成2年10月にジェイアールバスバス関東の草津温泉駅で発行された、東京山手線内ゆきのJR東日本連絡乗車券です。
青色JRE地紋のA型券で、東京印刷場にて調製された様式です。乗車経路は草津温泉~(バス)~長野原(現・長野原草津口)~(吾妻線)~渋川~(上越線)~高崎~(高崎線・東北線)~東京山手線内という経路になっています。
裏面です。自動車線内は途中下車ができないことと、東京山手線内各駅で下車した際には前途無効である旨および、発行箇所名が記載されています。
本来であれば一般式券として設備されるべき区間でしたが、草津温泉~長野原間は国鉄バス時代から他社バス路線との共通取扱が行われており、運賃精算のために「乗継券」の券片の付いた特殊な相互式となっています。
この様式は大変特殊ですが、国鉄時代から継続されていました。
国鉄時代の同区間の乗車券です。
国鉄時代は発駅の「草津温泉」の文字が2段組みとなっていましたが、JR民営化の際に「☐東」の符号を付けることとなり、スペースの関係で特活に変更されたようです。
しかし、民営バスの撤退に伴って乗継券を付ける必要はなくなり、この券が発行されてから半年の間に一般式券に様式が改められています。
平成3年3月に発行された、同区間の乗車券です。青色JRE地紋のA型一般式券となっています。
裏面です。
発行箇所名は表面に移動しましたが、自動車線内は途中下車ができないことと、東京山手線内各駅で下車した際には前途無効である旨は同じように裏面に記載されています。
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