鳴くよウグイス・・・といえば、794年の平安遷都。
日本史の年号記憶法で、誰もが通った道である。
以来、明治時代まで、平安京は都であり続けた。
と、多くの人は思いがちである。
しかし、違う。
時は平安末期、治承四年、西暦にして1180年に、都は平安京から別の場所に移された。
移された先は福原、今の神戸の辺りである。
その遷都を主導したのが、平清盛。
そう、来年の大河ドラマの主役である。
とはいえ、わずかな期間のことであり、都はすぐに平安京に戻された。
平清盛、あるいは彼を中心に展開する『平家物語』の主舞台は、京都である。
来年の大河の舞台となった場所が、京都には多く存在する。
中に、嵯峨野の祇王寺というのがある。
平清盛に可愛がられた白拍子=当時の踊り子、であった祇王という女性所縁の寺である。
清盛ははじめ祇王を愛したが、やがて別の白拍子、仏御前に気が移ってしまった。
要するに祇王は捨てられてしまったわけである。
そうして祇王は隠棲することになったのが、今の祇王寺の辺りだという。
悲恋の舞台というわけで、拝観者に女性が多い。
この祇王寺は、紅葉の名所。
庭一面にモミジが植えてあるので、見ごろになると大変美しい。
この時季に行っておきたい場所である。
ちなみに、この祇王寺と隣り合うように、滝口寺というのがある。
こちらも『平家物語』に所縁のお寺である。
しかも、ここも悲恋の舞台である。
滝口入道という出家した武家と横笛という女性のお話。
嵯峨野には、その他にも悲恋の舞台が多い。
いいや、嵯峨野だけでなく、大原や宇治にも多い。
都からそう離れていないひなびた土地という位置関係が、そうさせるのだろうか。
”あいらんど”