Dutch Life 備忘録

オランダのミュージアム、コンサート、レストランなどについて記録するノート。日常的な雑記も…。

本「ペルソナ 三島由紀夫伝」

2018-09-03 14:47:10 | Book
猪瀬直樹著「ペルソナ 三島由紀夫伝」を読了。
猪瀬直樹の著書は発売された当時から読みたかったものが多かったのですが、ハードカバーはかなり高くて、なかなか読む機会がありませんでした。
それから月日が流れ、最近は簡単に文庫で読めるので、たまに色々と読んでいますが、内容があり、とても興味深いです。
今回は、三島由紀夫についての本ですが、ただ彼の人生をたどるのではなくて、明治から昭和への歴史の流れ、政治と官僚、産業界の流れとともに語られています。体系的によく理解していない部分だったので、流れがわかり、勉強になりました。
また、三島由紀夫の本もいくつか読んだことはありますが、独特の優雅な文体が印象に残っているだけで、わたしは三島由紀夫を同時代的には知らないので、割腹自殺のイメージが強くあり、あまり深入りしていてはいけないというタブー的なヴェールに包まれていて、しっかりと読んだり、考えたりすることはありませんでした。
三島由紀夫の父、祖父が官僚であったこと、祖母の特殊な影響下にある幼年、少年時代を送ったこと、著作と彼がどんな人間でどう歩んでいったかなど、細かに書かれていました。彼がすごく意志の人なんだなということは心に残りました。
また、三島由紀夫の関連書や猪瀬直樹の著書を折りを見て読んでみるつもりです。



本「すべてがFになる」

2018-08-29 12:41:31 | Book
森博嗣著「すべてがFになる」を読了。
二十年以上も前の作品ですが、どうしてもっと早く手に取らなかったのだろうと思うほど、わたし好みのミステリーでした。
理系のミステリーで、新鮮でとてもよかったです。密室もので、主人公は工学博士の犀川、大学生のお嬢様萌絵です。天才の真賀田博士(天才少女として名を馳せ、今は研究所の一室に閉じこもって外部とは生では接触しない生活を15年近く送っている。自分より頭の良い人に会ったことがないとのこと)というキャラが特殊です。
いろいろ、ちょっと立ち止まって考えたくなるフレーズがいくつも出てきます。
例えば、
日本では一緒に遊ぶとき、混ぜてくれって言いますよね」「外国、特に欧米では、人間は仲間にいれてほしいとき、ジョインするんです。混ざるのではなくて、つながるだけ……。つまり、日本は液体の社会で、欧米は固体の社会なんですよ」
このシリーズは10作あるそうなので、おいおい読んでいきたいです。

本「輝天炎上」

2018-08-24 13:32:08 | Book
海堂尊著「輝天炎上」を読了。
最近は読んでいなかったけれど、この著者の本はだいたい読んでいます。
今回も面白かったけれど、この本を単体で読んだら、わかりにくかったかもしれないと思います。この著者の本は搭乗人物が重複して出て来て、ひとつの大きな物語世界を構成しているので、本を読めば読むほど、その世界が奥深くなっていきます。
「輝天炎上」も「螺鈿迷宮」の続編と考えられるし、「ケルべロスの肖像」を別角度から見た話だし、「極北クレイマー」「ブラックベアン1988」ともつながっています。
エンターテインメントとして気楽に読んで楽しんでいます。

本「ゲンロン8 ゲームの時代特集」

2018-08-06 10:25:14 | Book
東浩紀編集「ゲンロン8 ゲームの時代特集」を読了。
前号の「ロシア」の特集より、理解しやすかったです。ゲームは以前はときどきやっていて、今はスマホのゲームぐらいで、本格的なのはやっていないのですが、またやってみたいなあと思いました。
「批評的な言語がゲームを苦手とするのは、映画における監督のような、なにを撮り、なにを撮らないかを決める主体が存在しないからです。」という発言がすごく腑に落ちました。
また「ノットゲーム」というジャンルの存在が面白いと思いました。
Kero Blaster、Life is strangeというゲームをやってみたいなあとメモしました。
読んでいて難しいのは、「中国における技術への問い」、「ゲーム的行為四つのモメント」」などでした。
随筆「新しい目の旅立ち」、「独立国家論」、「ディスクロニアの鳩時計」といった連載ものはいつも楽しく読みます。
今回もEbookで読みました。
こういう雑誌は、普段なら手を出さないことについて深く考える機会を与えてくれて、とても貴重です。刊行の頻度も私にはちょうどよいです。
次号を楽しみにしています。

本「ゲンロン7 特集ロシア現代思想II」

2018-05-20 20:14:33 | Book
東浩紀編「ゲンロン7 特集ロシア現代思想II」を読了。
電子書籍版ができるのを待って、IPADで読みました。
特集のロシア現代思想のところは難しくて、一応読みましたが、よくは理解できませんでした。
いつものことですが、この本(雑誌)の最初のほうが難解であとのほうになるほど読みやすい内容になります。
プラープダー・ユンの随筆「新しい目の旅立ち」が面白かったです。また最後の「ディスクロニアの鳩時計」を読んで締めくくる感じが好きです。
ロシアのこともまったく知らなかったので、わからないなりに少しひっかかったところがあったので、よかったです。
来月には「ゲンロン8」が出るそうです。こういう本(雑誌)を継続的に読んで、いろいろな新しい知識、見方に触れられることは、とても刺激的です。



本「月の満ち欠け」

2018-02-13 09:07:59 | Book
佐藤正午著「月の満ち欠け」を読了。
第157回直木賞受賞作です。
主人公は50歳代の男性です。最近は若者の恋愛小説にはのめりこめなくなって、やはり中年以降の人が主人公の小説のほうが心に響くようになりました。
少しSFぽいというか、ファンタジー的要素があり、不思議な感じの小説でした。
おもしろく読め、最後まで一気に読めます。
愛する人の突然の死に遭遇した人はどういう風にそれを受けとめ、その後を生きていくのか。死んだ人はどうなるのだろうか。などのテーマが描かれています。
人の心の中と、死後のことなど、現実にはわかりえないことを表現するのが小説という手法のだいご味で、それがうまく活かされているなあと思いました。
わたしは現実にはこういう世界を信じてはいないけれど、そういうこともありうるのかと想像を膨らませました。
賛否あるかもしれないテーマ内容ですが、変わったものをさらりと読みたい人にはおすすめです。

本「流」

2017-11-22 10:20:51 | Book
東山彰良著「流」を読了。
第153回直木賞受賞作です。台湾が舞台で、主人公も台湾人(外省人)です。台湾の歴史に少し興味があったのでずっと読みたいと思っていました。
主人公は最初は高校生で、最後は二十代です。成長の物語と、祖父の殺人の謎、家族の物語、中国と台湾の歴史などなど、多くのことが詰め込まれた、とても読み応えのある小説でした。
独特のリズムの文体で、こんなのを読んだのははじめてでした。
お行儀のよい話ではなくて、もっとドロドロとして血と汗を感じる小説です。台湾の町のアツさを感じます。
外国の話だけれど、日本になじみの小道具も出てきて、近さというか親しみを覚えます。なんか懐かしい感じ。
著者の自伝的な小説なのかなと思ったのですが、著者は5歳から日本に住んでいるとのことで、架空の主人公のようです。
久しぶりに没頭して読みました。
この著者の他の作品も読んでみようかなあ。と思ったのですが、他の本のテーマがアウトローとかドラッグとか、あまり興味をひかないので、どうしようか迷い中です。

本「ゲンロン6」

2017-11-07 08:53:25 | Book
東浩紀編「ゲンロン6」を読了。雑誌です。
今回は、ロシア現代思想Iの特集です。わたしにはまあいつものことですが、難しかった。でもまあ一応読んだので少しは頭の中に何かが残っていくといいなあと思います。
巻頭言の「ネットでは、人々は無限の情報を集めることができる。けれどもなにも受信しない。人々はかつて自分が読んだものと同じものしか読まないし、かつて自分が聴いたものと似たものしか聴かない。そして呟きを一方的に垂れ流し、世界中が注目することを夢見る」って、ほんとうにそうだなあ。
ふつうなら読まないタイプのSF小説がこの「ゲンロン6」に載っていたので読んでみました。第一回ゲンロンSF新人賞受賞作「ガルシア・デ・マローネスによって救済された大地」(高木刑)です。見たこともないような世界に連れていってくれる楽しさは感じましたが、最後のほうは面倒くさくて飛ばし読みしてしまいました。
今回、雑誌は手元にありましたが、Ebook版をダウンロードして読みました。
次の「ゲンロン7」もロシア現代思想の特集。難しいけれど、読むつもりです。

本「ゲンロン5」

2017-08-23 11:25:54 | Book
本「ゲンロン5 幽霊的身体」を読了。東浩紀編集の雑誌です。
ずっとゲンロンを読んでいるので、この特集も手に入れましたが、幽霊とか、演劇とかダンスとか、あまりテーマには興味が沸きませんでした。でも読んでみると、面白かったです。
まあ私が興味をもったのは、利賀セミナーのところではなくて、「幽霊としての歌舞伎(木ノ下裕一)」、「悪霊・崇高・身体 上田秋成と十八世紀のパラダイム(福嶋亮太)」など論考の部分です。
「ユートピアと弁証法」は難しくてよくわからなかったです。
タイの作家のプラープダー・ユンの随筆作品を読めるのも、ゲンロンの楽しみです。連載は現在第二回目です。
他の連載、「独立国家論(速水健朗)」や「ダークツーリズム入門(井出明)」も毎号興味深く読んでいます。
特集にいまひとつ興味が沸かなくても、連載を読む動機だけで買ってしまう雑誌です。
読んでいると、じっくりと脳を動かしている気分になります。
「ゲンロン6」は来月に発売されるとのこと。雑誌といっても、月間ではなくて年に3回くらいの発行です。

本「モネのあしあと 私の印象派鑑賞術」

2017-07-08 14:25:54 | Book
原田マハ著「モネのあしあと 私の印象派鑑賞術」を読了。
「ジヴェルニーの食卓」の中のモネを扱った短編がとても良かったので、続いてこの本を読みました。モネのことについて書いてあります。短編のほうで知った事柄と重複する部分があり、いっそうモネについての知識が深まり良かったです。
モネの作品が日本にもいくつもあり、それがどうしてであるかという話も興味深かったです。
モネが最後に描いた睡蓮をいつかパリへ行ってじっくりと見てみたいです。
新書なので簡単に読めます。講演をまとめた本なので、語っているような文章です。
印象派っていってもいろいろ画家によって違いがあり、それぞれがそれぞれの魅力的な人生を送っています。モネは、父性的愛情に溢れた、自然を愛するアウトドア派の人だったんだろうなと思いました。