20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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正倉院展

2013年11月06日 | Weblog

          

 奈良に何度か行って、いつも見そびれていた正倉院展。

 待ち時間2~3時間は当たり前です。

 毎年、なぜのそのように人びとの胸をゆさぶるのか・・・。

 

 先日の日曜美術館で、その謎を知る事ができました。

 奈良・天平時代は、いまから1250年昔です。

 その時代、シルクロードから世界の工芸品が日本にやってきました。

 そんなシルクロードゆかりの、華麗な宝物が正倉院展で公開されています。

 

 その天平文化の代表的な宝物が、写真↑の漆金薄絵盤。

 鮮やかな仏の世界です。

 奈良国立博物館の学芸部長の西山さんは、こういいます。

「奈良時代は、国として、うつくしいものに価値をおく時代だった」

 そしてさらにこう付け加えます。

「天平のあの時代は、災害が頻発し、人間がどれほどがんばっても、かなわないことがあるということを、知らしめられた時代。それが切実な祈りへとつながっていった・・・。

 すべての生あるものへのしあわせ、祈りの心。

 正倉院宝物は、苦しみや悲しみから生まれたもの。その思いが成熟していった文化・・・」だと。

 

 そんな、奈良・天平の時代の人たちを感動させ、励まそうと言う思いから生まれた文化に、いまを生きる私たちも、その技術の高さ、繊細さ、思いの強さ。そういったもののすごさに励まされているのです。

 西山さんはさらに、こんな風に説明し、日曜美術館の「正倉院展」を結びました。

「その文化がいま目の前にあるだけで、それは物語だ!」

 

 正倉院の息をのむようなすばらしい宝物の数々は、まるでファンタジーのように、天平から時空を越え、今につながっています。

 それを知っただけで、長編小説を一冊、読み切ったような、正倉院展を目の前で見ているような、そんな満足感を覚えました。

コメント (2)
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