今夜は神楽坂の出版クラブで、評論家の野上暁さんの出版をお祝いする会です。
このたび、日本ペンクラブ常務理事の野上暁さんが『子ども文化の現代史 遊び・メディア・サブカルチャーの奔流』(大月書店)をご上梓なさいました。
このご本のおもしろさは、戦後70年におけるサブカルチャーの歴史の系譜の魅力と、野上さんご自身の少年時代から、小学館の編集者となり、直接こうしたサブカルチャーと向き合って生きてこられた、そのご体験が折り折りに挟まれているところです。
野上さんと言えば、業界屈指の博学な方で、なにかお尋ねすると必ずきちっと論理的な返答をいただくといった、学問的知識の幅広さに、いつも驚嘆しておりました。
この作品では、紙芝居、漫画、アニメ、特撮モノ、妖怪・・さらには学習塾やディズニーなどなど、多様な子ども文化のサブカルチャーを系統的に解説しながら、細部で語られるご自身の体験・・・。
博学さと、人脈のひろさで知られる野上さんの、それらを細部で語りながら、社会学や民俗学への系譜としてひろがっていく世界。
わくわくするくらい、おもしろいです。
また、おまけの楽しみ方は、上野少年(野上さん)の子ども時代の、大きなつぶらなお目々の写真が出て来たり、カメラ小僧だった少年時代のこと。小学館編集者時代のお髭すがたの、野上さんのお写真。
長野・飯山での少年のころのこともはじめて知りました。
とにかく、型どおりのサブカルチャー論ではなく、そこに「人間」が描かれ、それらは戦後70年に、どう変遷していったか。
そのことを、しっかり学ぶことができます。
必読の一冊です。
どうぞ皆さま、お読みになってください。