今夜は隔月の水曜日に行っている「be-子どもの本」という読書会です。
今月のテキストは、久々に児童書です。
『時速47メートルの疾走』(吉野万理子・講談社)。
『チーム』(学研)シリーズで爆発的な人気を博した、吉野さんのストーリーテラーぶりを、このところ注目していました。
この作品は、プロローグにはじまり、4つの短編連作で構成されています。
緊迫感のある人間同士の関係性が、とてもおもしろく捉えられています。
読みながら、かつて皿海達哉さんの書かれた『リレー選手木村利一』や『坂をのぼれば』が頭に浮かんできました。
スピード感のある、切れ味のいい短編です。
けれどなんといっても秀逸だったのが、ラストの短編「疾走する人」。
主人公と同じ痛み、同じ苦しさを感じながら、皮膚感覚で書き込んでいく。その徹底的に読ませる力には、感嘆します。
あとがきを読むと、どうやらこの短編が『小説新潮』に掲載されて、それをあとから、こうした短編連作としてまとめたようです。
それを知って、ラストの作品がいちばん良かったこともふくめ、いろいろが腑に落ちました。
さて、今夜はどんな意見が飛び交うでしょう。