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児童文学作家 加藤純子のblog
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『時速47メートルの疾走』(吉野万理子・講談社)

2015年05月20日 | Weblog

           

 今夜は隔月の水曜日に行っている「be-子どもの本」という読書会です。

 今月のテキストは、久々に児童書です。

『時速47メートルの疾走』(吉野万理子・講談社)。

 『チーム』(学研)シリーズで爆発的な人気を博した、吉野さんのストーリーテラーぶりを、このところ注目していました。

 

 この作品は、プロローグにはじまり、4つの短編連作で構成されています。

 緊迫感のある人間同士の関係性が、とてもおもしろく捉えられています。

 

 読みながら、かつて皿海達哉さんの書かれた『リレー選手木村利一』や『坂をのぼれば』が頭に浮かんできました。

 スピード感のある、切れ味のいい短編です。

 

 けれどなんといっても秀逸だったのが、ラストの短編「疾走する人」。

 主人公と同じ痛み、同じ苦しさを感じながら、皮膚感覚で書き込んでいく。その徹底的に読ませる力には、感嘆します。

 あとがきを読むと、どうやらこの短編が『小説新潮』に掲載されて、それをあとから、こうした短編連作としてまとめたようです。

 それを知って、ラストの作品がいちばん良かったこともふくめ、いろいろが腑に落ちました。

 

 さて、今夜はどんな意見が飛び交うでしょう。

コメント
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