日本児童文学者協会と童心社は、昨年に引き続き「第10回絵本テキスト大賞」の作品募集をいたしました。
応募総数は昨年に続き1000編の大台を超え1073編(Aグレード461編・Bグレード612編)でした。
たくさんのご応募をありがとうございました。
応募作品は7月から8月末にかけて1次選考を行い、1次選考通過作品として、Aグレード19編。Bグレード29編を選びました。
9月26日、童心社にて2次通過作品を選び、そこから最終選考に向けて議論いたしました。
最終選考に残ったのは、Aグレードは「海をさがしに」(張山秀一)、「ミンジュンジャンおじさんとシャップンヨーヤーウンおばさん」(柏木志津子)、「おきにいりのしろいドレスをきてレストランにいきました」(渡辺朋)、「それでもパパはおきません」(渡辺朋)の4編。
Bグレードは「サバンナタクシー」(NOBU)、「ひみつったらひみつ!」(あべしまこ)、「イカあさん」(おおたけなおこ)、「ゆきのなか」(井上昌幸)、「森のせんたくやさん」(おち・亜衣)の5編でした。
議論の結果、下記の3作品を入選といたしました。大賞は童心社より出版されます。
Aグレード
大賞 「おきにいりのしろいドレスをきてレストランにいきました」 渡辺 朋
Bグレード
優秀作 「イカあさん」 おおたけなおこ
優秀作 「ひみつったらひみつ!」 あべしまこ
Aグレードの大賞を受賞した「おきにいりのしろいドレスをきてレストランにいきました」は、登場人物の連鎖する驚きの感情を擬音だけで描写した実験作。うまくいくと画期的な絵本になりそう。実験作ではあるが、この作者の作品が2次選考も含めるとA・B2つのグレードに3編も残ったということから絵本的発想のできる人なのではと大賞に決まった。
Bグレードで優秀作に選ばれた「イカあさん」は、忙しいお母さんをイカに変身させるという発想がおもしろかった。
「ひみつったらひみつ」は、絵本としては難しいが、幼年童話の可能性を感じさせる作品であった。
今回、Aグレードは、グレードを間違えて応募したのではと思わせるような作品が多かった。内容的な魅力から1次選考をくぐり抜けてはいるが、グレードにあった作品の応募を次回からは期待したい。
また、Bグレードにはとても評価の高かった作品があったのだが、以前新聞に掲載され、それを改稿したものという記述があり、賞という性格を考えると、すでに発表したことのある作品を入賞させるのは難しいという結論に至った。今後はこの点にご留意いただきたい。
来年も、第11回「絵本テキスト大賞」を行います。(詳細は、雑誌『日本児童文学』2018年1〜2月号をご覧ください)
どうぞ今からご準備ください。
主催 日本児童文学者協会/童心社
第10回「絵本テキスト大賞」選考委員
内田麟太郎、加藤純子、浜田桂子、大熊悟(童心社編集長)
(写真は、過去の入賞作品の絵本。
『マスク』(福井智作・林なつこ絵)と、『バスていよいしょ』(重松彌佐作・西村繁男絵))