先日、上野の西洋美術館に「北斎とジャポニスム」展を見に行ってきました。
「すみだ北斎美術館」に所蔵されている「北斎漫画」のお粗末さに、消化不良を起こしていたので、今回、「北斎漫画」がいかに偉大か、それを世界の画家たちの絵と見比べながら証明している展示に、胸を踊らせて出かけて行きました。
画家たちが人物を描くとき、どれほど北斎の手法に影響されていったのか、その実例を目の当たりにしてきました。
ドガは「踊り子」を描くとき、「北斎漫画」に描かれた、お行儀の悪い子をモデルにしています。
また、上のポスターのポーズは、北斎漫画のお相撲さんのシコ踏みのポーズに影響を受けています。
北斎が「北斎漫画」で行った人間を描くときの、人体を知り、それを観察しながら、クロッキーする姿勢。
まさに、その表現からドガもピカソも、ロートレックも、クリムトも(クリムトは北斎の春画から学んでいました)ロダンも学んでいました。
実は、雑誌『日本児童文学』の2014年、1~2月号[創作特集]に、私は「ざわめく日ざしの中で」という掌編を書きました。
その中でメアリー・カサットの絵について書いています。
カサットというアメリカ人の画家は、豊かな母と子の関係性を描いた作品を数多く残している画家です。まるで春の陽だまりのような・・・。
そのカサットも、実は、母と子の表現を、北斎の「北斎漫画」から影響を受けていたのです。
その絵を見た瞬間、思わず、にたりとしてしまいました。
また動物画や植物画は、様々な装飾品になっています。
ガレの「朝顔」のランプなど、まさに北斎です。
これらがすべてが、著作権フリーだというのですから、驚きです。
とても混雑していましたが、ポイントをきちんと押さえて見ていきさえすれば、すべての作品が見渡せます。
すてきな展覧会でした。