20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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「イカゲーム」

2021年11月11日 | Weblog
            

ハロウインでも、日本の若者たちが、写真の赤い洋服を着て、仮面をかぶって、仮装していました。
ユーキャンの流行語大賞にもノミネートされていました。
「イカゲーム」
(上は、ユーキャンのノミネートランキング)

「何かしら?」と、すぐさまネットフリックスを調べました。

韓国ドラマでした。
お夕食後、夫とフルーツを食べながら、ずっとそれを、見ていました。

格差社会は、日本でもひどいですが、韓国の格差社会もひどいです。
日本橋シネマで見た「パラサイト 半地下の家族」も、まさに、格差社会を描いた、すごい映画でした。

イカゲームは、罰ゲームで負けると、どんどん殺される。残酷さに、子どもには見せたくないドラマです。
でも見ているうちに、どんどんハマります。
この格差のひどさ。
ここから出て行っても、いいことなんか、何もない。住む家もない。ここで殺されても仕方ない。
そういう絶望感を抱いた人ばかり。

主人公は、離婚していますが、ひどい糖尿病で両足が壊死していて、切断しなくてはいけない母親がいます。
でもその母親は、暮らしのために路上で露天商をしています。
これまでの、主人公はお金が入ると、ギャンブルにハマり、借金は膨らむばかり。

そこで、この「イカゲーム」をして勝ち残れば大金が手に入る。それを母親の治療にと思っています。この主人公と、脳腫瘍でもう先がなく、身寄りもない老人とのつながりが、涙を誘います。
ディテールで、カチッカチッと人間を押さえています。
最初は目を覆いたくなるようなシーンが多く、「どうしてこんなのが、若者たちの心を揺さぶっているのかしら?」と思いつつ・・・。

途中から、すっかりハマりました。
脱北者で、脱北の途中で殺され川に流された父親。北へ連れ戻された母親。
弟と二人で、やっと韓国にやってきたものの、弟は施設。

様々な人生が、根深く描かれます。
ピストルで殺されるシーンには、いつもドキンとしますが、後は、人間のこれまで生きてきた姿。
ずるさ。そんなものが、くっきりと描かれて、どんどん引き込まれていきます。
連日、一回ずつ見ていましたが、昨夜、終わりました。

ラスト、まったくの消化不良です。
あの感動のおじいさんは、何だったわけ?
「なんだかな〜」という気分です。
本質的なところが曖昧なまま・・・。

貧困格差を描きたいだけではなく、幼い頃の遊びに郷愁を感じたわけではなく・・・。着地がすっきりしなくて、「イカゲーム」のどこが、若者たちの気持ちを鼓舞させたのか。わからないままです。

日本では18歳以下の子どもたちに一律、5万円配り、後日また配るという話が出ています。貧困の実情も考えず、ばらまきと言われても仕方ない政党の「やってます」アピール。

18歳以上の大学生でも、学費が払えず、止むを得ず大学をやめていく人。
東京外語大などは、一食百円のお弁当に、すごい行列ができています。
遅くに並ぶとありつけない学生も出てくるくらいだそうです。
「一食、抜くことも度々です」学生が、呟いていました。

先日、NHKテレビでやっていました。
副学長が「学生たちの実情を聞いて、黙ってはいられなくなりました」と、このお弁当を始める、経緯を話をしていました。

暮らしがままならず、死を選ぶ人たち。

この「イカゲーム」と、日本の状況もさほど変わりません。
いつから日本も、こんな国になってしまったのか。
イカゲームに出てくる人たちの、人間模様に涙しながら、ひどい現実を突きつけられる思いです。
コメント
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