先日行った、川村美術館の企画展は、「静寂の響き」でした。
モダンアートというような作品群に、平日なのに、若い人たちが、たくさん訪れていました。
その企画展は、ドイツを拠点に活動する西川勝人(1949–)という作家です。
光と闇、その間の漠とした陰影に心を配り、多様な技法を用いた作品を、40年以上にわたり手がけてきたということです。
抽象的なフォルムをもつ彼の白い彫刻は、木や石膏を用いた簡素な構造ながら、表面に淡い陰影を宿し、周囲の光や音さえもそっと吸い込んでしまうように、ただ静かにあります。
存在を声高に主張することも、個性を高らかに示すこともしません。写真や絵画など、彫刻以外の制作においても、これは変わることがない最大の魅力です。
東京駅前からの、直通バス。
レンブラントの絵が、ペインティングしてあります。
雨が降りそうな曇り空。
晴れていたら、美しい美術館と庭園です。
この美術館の設計は、モダニズム建築の建築家 、海老原一郎氏。
川村美術館は、売却され、閉館になるというニュースを聞いて、慌てて、閉館前に行っておきたいと行きました。
けれど、キュレーターの方に、お話を伺ってみると、まだ「閉館という結論は出ておず、休館です」と。
DIC、大日本インキは、深刻な負債を抱えているようです。
そして、取締役会では、今年4月に設立された「価値共創委員会」の「現在の体制で美術館を運営し続けることは現実的ではない」という勧告に基づき、DIC川村記念美術館の運営戦略について協議し、同館を2025年1月下旬で休館する方針であると発表したらしいです。
DICは、「当館を単に所有資産として捉えた場合、特に資本効率の観点から、必ずしも有効に活用されていないことは明らか」であると述べ、資本効率の向上が喫緊の経営課題である今、社会的価値と経済的価値の両面から美術館事業の位置づけを再考する時期に来ている」としています。
そして、12月に美術館の将来について決定する予定だといっています。
US版ARTnewsでもこのニュースを報じており、同館を所有するDIC株式会社の経営悪化による美術館の休館について、754点の所蔵作品の未来を案じる記事を公開しました。
大日本インキ化学工業(DICの旧社名)創業家の2代目社長を務めた川村勝巳(1905-1999)によって1990年に千葉県佐倉市に開館した川村記念美術館は、「ひとり絵と語らう時間を大切にしていた」という、川村勝巳が1960年代後半から始めたアートコレクションや、3代目の川村茂邦が購入したマーク・ロスコの「シーグラム壁画」7点をはじめ、ジャクソン・ポロック、サイ・トゥオンブリー、フランク・ステラ、アンディ・ウォーホルなど、世界的に重要なアーティストの作品を多数含む20世紀美術の国内屈指のコレクションを所蔵する美術館として、多くのアートファンを惹きつけてきました。
DICの総合研究所と合わせて約9万坪という広大な敷地内には、清水久兵衛《朱甲面》、フランク・ステラ《リュネヴィル》、そして芝生広場のヘンリー・ムーア《ブロンズの形態》など、野外彫刻作品も点在しています。
754点の所蔵作品のうち約半数にあたる384点はDICが所有しており、同社が8月27日に発表した声明によれば、2024年6月30日現在で、これら全作品の資産価値は112億円にのぼるといわれています。
今後、このままの形では川村美術館存続は、DICの経営状態からも困難とされていて、東京に所蔵作品を写し、小規模に運営するか。
まだ決まっていないようです。
とにかく、東京から遠い。
美術館も庭園もとても魅力的です。
でもうちも夫と
「小旅行をしてきた気分」と、話していたくらいです。
「たまには、いいね。こんな小旅行」なんて夫も同感していました。
でもロスコにしても、バスにペインティングしてあったレンブラントにしても素晴らしい絵画や彫刻などを所有しています。
レストランも、あのお庭を見ながらというのが、都会の殺風景な壁を見ながらのお食事とは違った魅力があります。
こうしてみると、日本経済の、衰退具合がとてもよくわかります。
どうしたら、再び復活できるか・・・。
経済学者の主張も様々。
夫も経済学部出身で近代経済を学びました。けれど今、そのことへの疑問から今の日本の経済状況について、我流に勉強しているようです。
先日の総選挙においても、日本経済の衰退という本当に重要な経済問題は、論議の対象になりませんでした。103万円の壁とか、そんな小さなことでは日本経済を立て直すことなどできないと思います。
小技をちょこちょこ振り回すばかり。根本策が出てきていません。
日本経済の現状の、背後にある政策の貧困(アベノミクス)こそが、日本の経済を30年間にわたって弱めてきた基本的な原因です。
アベノミクス(竹中平蔵の唱えたグローバリズムに流され)が、派遣労働者として働ける職種を大幅に増やし、日本の労働市場に柔軟性をもたらそうという名目で、賃金格差や、様々な人々の暮らしを奪っていきました。
これが、この不況への根源になっていったのではという学者もいます。
それには、大きく頷きたくなります。
日本人ならではの、繊細で理知的な思考で、いずれは立て直してはいくと思いますが、私など、銀行に勧められてやり始めた、新NISAの損益を見ると実感します。
ドルは円安がどんどん進んでいるので、ドル定期はそこそこの金額にはなっていますが・・。
息子がスマホで見れるようにしてくれたので、夜になると、ヨギボーに寝転んでは顔認証して、見て、一喜一憂。
まあ、こんなもの。と思ってはいますが。
長い時間をかけて動向を観察する覚悟を決めないと、NISAなんてやっていられませんから。
生きている間に、どこかで、このアベノミクスを断ち切り、日本経済が低迷から抜け出してほしいと願うばかりです。