今年度、第62回の、野間児童文芸賞受賞者は長谷川まりるさんの『杉森くんを殺すには』(くもん出版)に決まりました。
まりるさん、おめでとう!!
でも彼女の作品などを読むと、この若い感性と、この切り取り方。
ああ、もうこんな技は、持てないなと、昨年の協会賞選考委員会で読んだ時も思いました。
新聞を見ると、令和型不登校児の数が、増えているそうです。
令和型とは、学校でいじめに遭って、登校できなくなったとか、これまでの不登校の形とは違っています。
夜遅くまで、スマホ三昧。朝、起きられなくて不登校が始まる・・・。
こうした現象は、単に、スマホが悪いとか、そんな単純なことではなく、裏返せば、それだけたくさんの「生きづらさ」苦悩を子どもたちが背負っているということでもあります。
外見的な悩み、勉強の遅れ、親子関係のギスギスした感じ、友人が持てない。
そうした苦悩を、子どもたちは、令和型不登校と言われる形で、表現し始めているということです。
そのため、私立の通信制中学、私立の通信性高校。私立の通信性大学まで、どんどん生まれていると、新聞やネットで流れてきます。
少子化で、多くの大学が定員割れ。中には、閉校になった大学もあります。
その中で、通信制大学が、どんどん生まれています。
通信がダメというわけではなく、不登校の子どもが、本当にこれで、ちゃんと大人になっていけるのか。通信で1人で、ちゃんと勉強ができるのか。
やりたい仕事につけられるのか。
不登校で友だちもいない子どもたちが、通信制の大学を卒業するまで、友だちも少ない。だから、人間を見る目も育たない。社会性も育たない。
それは大きなマイナス面だなと、流れてくるネットなどを見ると思います。
人間は、人間関係の中で、他者を知り、自分を知っていきます。
近頃、簡単に、友人を殺したり、闇バイトで、知らない人を殺したり、親が子どもを殺したり、そんな事件ばかりが、目立ちます。
短絡的思考の若者たちの姿が見えてきます。
根っこは、社会から振り落とされた、貧困格差の闇が、横たわっているわけですが。
子どもの本を書いている私たちは、いつも子どもたちの状況や、生きる姿が気になります。
だから、社会的な発言も多くなります。
だから、子どもたち。
絶望しないで。
自分をきちんと見据えて、自分がどう生きていったらいいかを、考えてほしいです。
それと、大切なのは、1日に、数時間は、ちゃんと、スマホ・デトックスをしてほしい。
特に、中・高校生。
スマホを手放す習慣を、自分を律して、つけてほしいです。
そうすれば、自分を見つめる時間が持てます。本を読んで、自分を高める時間ができますから。
そこへの作品として、深い切り込みをしていく。
やはり、YAの世界です。
でもこういう作品を書ける、若さのセンスというのものがあります。
この辺りは、若い作家へお任せという気分です。