「第5章 再発と転移」の内容を目次で見ますと、がん幹細胞という細胞の名前が目に付きます。
「がん」ー61ー での引用文のはじめの部分です、
〝がん〟が怖い病気とされる理由のひとつに、治療後かなりの確率で、再発と転移が起こることがあげられます。
この「再発と転移」とがん幹細胞とは深い関係にあります、それはこの見出しに示されています。
転移や再発の原因は「がん幹細胞」?
こういうことです、
再発の原因は残ってしまったがん細胞ですが、最近、これが普通のがん細胞とは異なる「がん幹細胞」である可能性が高いことがわかり(ました)。がんがほかの臓器へと移動する転移も、がん幹細胞があると仮定すると説明しやすくなります。
こう説明されると「幹細胞とはどういう細胞なのか?」と聞きたくなります。答えは
「幹細胞とは、自らと同じ細胞を増やす能力(自己複製能)と、さまざまな細胞に分化する能力(多分化能)をもつ細胞です」
それを初期胚という受精卵が数回分裂した細胞を例にとって図解したのがこれです。
がん治療とがん幹細胞。(p174)
ひとつのがんからいくつかの細胞を採取すると、そのなかには、性質の異なるがん細胞が幾種類も存在しています。これを「がんの不均一性」と呼びます。さまざまな性質のがん細胞があるので、がん細胞の特定の性質をターゲットに治療すると、その性質を備えていないがん細胞が残ってしまい、再発すると考えられます。不均一ながん細胞のなかに、がん幹細胞は含まれています。がん幹細胞とは、さきほどの幹細胞の定義から「がん細胞を無限につくり出せる細胞」ということになるので、どのような治療をしても、がん幹細胞が残っていたら再発は避けられません。(アンダーラインはkaeru)