kaeruのつぶやき

日々のつぶやきにお付き合い下さい

「がん」を読む ー16ー 人の変身、遺伝子の変異

2019-02-28 23:26:31 | 「がん」を読む

「あの人変わったね」などという変身はスタイルとか風貌など表面的なもの、あるいは性格とか趣向なども含まれるでしょう。しかし本質的な変身はその人が依存している生計の在りように基を置いていると思います。

 

新宿四谷でデザイン関係の会社の社長としての三浦さんと民商を通じて知り合いました。会社といってもささやかなもので、マンションの一室で何人かの仲間と一緒に働いていました。その頃の三浦さんしか知りませんので、現在劇作家としての生活は想像も出来ません。小なりといっても会社でしたから中小業者の一人だったのが、自由業というのでしょうか、脚本料という形での収入でしょう。

 

デザイン関係の仕事を通じて自分の能力と経験を事業に活かす、それを生計の元にする、そこから自ずから中小業者としての生活のありようが出来てくるでしょう。劇作家の生活像は分かりませんが、生計の基を演劇活動に置いている事業者です。私が三浦さんの変身に刺激を受けるのは、中小業者から自由業へ飛躍したことです。そこには自分の才能と経験への愛着と自信があったことでしょうし、何よりも息子さんの存在があっての飛躍だったと思います。

 


 

さて、このブログで「つぶやき」たいことは「がんがなぜできるか」ということです。正常な細胞がなぜがん細胞に「変身」するのか、細胞のなかの遺伝子になぜ変異という「変身」が起きるのか、三浦さんの変身に刺激された頭で、我が娘に起きた細胞段階の「変身」について考えていかねばならないようです。

 

次の本の文字だけを見ているといかに細胞のこと遺伝子のことを知らずにいるか、いやはやとても「がん」には太刀打ちできない、と思ってしまいます、しかしそこが「変身」の出番です。「知らない」から「知りはじめた」に、「知りはじめた」から「ここは分かった人」に変身していけばいいのです。あとは「分かりかけた此処」を手掛かりに此処から其処へ、其処から此処へとがん語で言えば「浸潤」で広げ、知識の浸潤は理解の「転移」となるでしょう。

 

まず第2章の1ページ目です、

 

 

内容に入る前にひと言、この本を読みだす前と比べると「がん」がかなり身近になり読み続けることができている、と思います、変身がはじまっているのかも……。


見事な変身に、驚いています!

2019-02-27 19:57:56 | どこまで続くかこのブログ

今日は「がん」の話は無しでタイトルの話です。

昨年のブログに三浦実夫(ツカオ)さんのことを「つぶやき」ました。

その三浦さんからこの便りです、

元「四谷アート」社長・三浦実夫さんが劇作家に変身していたのでした。

三浦さんが仲間と共に活躍しているのが「劇団劇作家」という世界でも珍しいという劇作家による劇団です。

 詳しくは、http://www.gekisakka.net/

三浦さんの長男にして演出家の三浦剛さんの書かれたものによると、父親にして劇作家の三浦実夫さんは65歳で劇作をはじめたそうです。三浦さんは1939年生まれ、今年で80歳私と同年代といえます。

kaeru の変身は? オタマジャクシは変身して蛙になるが、蛙は何に変身するのだろう。

人生という舞台の終幕近くに「50歳代の娘ががんを患いいきなり親元を治療の場としたその父親」という役を演ずることになって戸惑いと心身の疲れに降参しかけている時に、三浦さんの変身事例です。

タイトルに「驚いています」と!マークをつけていますが、驚いているだけではなく、蛙らしく変身を試み飛躍の舞台ではないのか、まずは気分の転換を試みなければと思った次第です。


「がん」を読む ー15ー 第2章「がん発生のメカニズム」

2019-02-26 18:07:52 | 「がん」を読む

第2章は「どうして生じるのか?」と題されていますが、第1章の最後に「次の章では、細胞が異常増殖し、悪性化していく過程を、もっと詳しくみていきましょう」と書かれています。

一言で言えば「がん発生のメカニズム」ですね。

ですから第2章は、「がんは、がん遺伝子やがん抑制遺伝子に異変が起こることで発生することを少し詳しくみてい(く)」ことになります。

内容に入る前に第1章と第2章の目次を載せておきます。

小見出しに番号を付けておきます、例えば第2章の3番目の「もっと大きな変化:染色体異常」に「2-03」というふうに。さらにその小見出しのこの本

での該当ページをp○○○と入れておきます、先ほどの例で言えば「2-03p073」、お手元にこの本があれば参照にして下さい。

●「0-01p003」はじめに

第1章   がんとは何か?

●「1-01p018」細胞の増殖が腫瘍をつくる 

●「1-02p020」悪性腫瘍の3つの特徴ーーがんの定義に代えて

●「1-03p022」癌と肉腫は何が違うのか?

●「1-04p026」さまざまな種類がある血液のがん

●「1-05p028」浸潤と転移

●「1-06p031」医師はどのようにしてがんを診断するのか?

●「1-07p033」がん細胞と正常細胞の違い

●「1-08p035」骨に残る最古のがん

●「1-09p038」がんはいつから記録されているか

●「1-10p040」がん遺伝子の発見

●「1-11p043」リン酸化で情報を伝達するがん細胞

●「1-12p045」精鋭部隊のなかのうそつき

●「1-13p046」小児の眼のがんから発見されたがん抑制遺伝子

●「1-14p050」発見当時はがん遺伝子だと思われたp53

●「1-15p053」多彩な顔をもつP53タンパク質

●「1-16p057」がんは遺伝するのか?

●「1-17p058」浸潤と転移にかかわる遺伝子

●「1-18p059」なぜがんで死ぬのか

●「1-19p060」がんのメカニズムの解明で治療が進歩した

第2章   どうして生じるのか?
●「2-01p066」遺伝子変異で何が起こるのか

●「2-02p069」ひとつの遺伝子変異ではがんにはならない

●「2-03p073」もっと大きな変化 : 染色体異常

●「2-04p075」「遺伝子の使われ方」も関係

●「2-05p078」細胞がDNA複製時の間違いを減らすための機構

●「2-06p080」細胞は全力でDNAの傷を治す

●「2-07p083」化学物質による発がん

●「2-08p086」化学発がんと突然変異の関係

●「2-09p088」カビ毒の成分ががんを引き起こす

●「2-10p091」放射線は2通りのしくみでDNAを傷つける

●「2-11p092」細菌、ウイルス、寄生虫もがんを引き起こす

●「2-12p094」再び遺伝的要因について

●「2-13p096」1日でヒトゲノムを全解読できる次世代シーケンサー

●「2-14p097」がん細胞には驚くほどたくさんの変異が蓄積されている

●「2-15p100」多型とは何か?

●「2-16p101」がんの原因が違うとゲノムの変異のパターンも異なる

●「2-17p103」ゲノムの変異シグネチャーから化学発がんに迫る

●「2-18p104」がんに共通する遺伝子変異はあるか

●「2-19p107」ゲノムの観点からみたがんの生成過程

●「2-20p108」がん細胞は進化する

●「2-21p111」ゲノム解析でがん研究は新たな時代へ


「がん」を読む ー14ー がん年齢としての高齢期

2019-02-25 16:23:31 | 「がん」を読む

今まで、少なくて昨年12月10日頃まで「がん」という病気については「最も命にとって危険な病気」というくらいの受け止めしかなかったのです。

その頃でしたら『「がん」はなぜできるのか』とか

『「奇跡の治療薬」への挑戦』などという本が本屋の棚にあっても手にしなかったでしょう。これらの本は本屋では「健康コーナー」的な棚に並んでいるでしょうし、そういう棚には関心がなかったので見ることもなかったのです。

自分の健康問題では心臓のことが心配のタネになってもいいのですが、2年ほど前の検査の結果、医師が「特に問題無し、2年後にもう一度検査」と言われた2年後の検査の結果もOKになったのでした。毎朝薬を飲むという日常にはなってはいますが、それ以外には心臓のことには「無関心」という日々でした。ところが今回書店の「健康コーナー」に行ったら「がん」と合わせ「心臓」という文字にも目がいきます。

こんな本がありました、

同姓でもあり天皇陛下の執刀医としても記憶にあった人ですが、「100年を生きる」という書名からいつか手にとって目を通さねば、と思ったのです。病気が心配だから本を読むのではないと、我が心臓にあと20年間ほど脈打たせるために「心臓との付き合い方」を知っておくべきだと思ったのです。

人生の最晩年と言っていい80歳代でがん関係の本を「読む」のは言うまでもなく娘の置かれている状況を理解するためです。同時にこの年齢だからこそ必読なのだと気付きだしたからです。

『「がん」はなぜできるのか』にこう書かれています。

p70 現在では、「遺伝子変異が次第に積み重ねられた結果、がんが発生する」という「多段階発がん説」が、広く受け入れられています。この説は、がんの発生率または罹患率が年齢とともに上がることとも符合しています。もし、ひとつの遺伝子変異でがんが起こり、遺伝子変異の確率が年齢で変化しないなら、どの年齢でも、がんの発生率または罹患率は同じはずだからです。

 これは第2章の第2ひとつの遺伝子変異ではがんにはならない」に書かれていることです。明日から第2章に入ります。


「がん」を読む ー13ー 免疫チェックポイント阻害薬

2019-02-24 21:46:17 | 「がん」を読む

昨日 ー12ー 免疫チェックポイント阻害薬について触れましたが、この種の新薬についてこちらの本

の「はじめに」のなかで高橋医師が「第4の治療法」として紹介し、本文中にも詳細に述べておられます。

最初に高橋医師のはじめに」から、

p3「がんの標準治療である手術、放射線、抗がん剤の精度も技術も向上しており、以前には助からなかった病態の人でも命が救われているのは確かです。

   最近は第4の治療法として、人体に備わっている免疫機構を利用してがんを退治するチェックポイント阻害薬が登場し、世界中で注目されています」

 

次にこの本での該当部分を紹介しておきます。

p63〜64〝 ごく最近、脚光を浴びるようになった薬として、「免疫チェックポイント阻害薬」があります。がん細胞はもともと宿主の体のなかの細胞ですが、遺伝子が変異するとそれをもとにできるタンパク質が異物とみなされることがあります。そうなると、体に備わった免疫系ががん細胞を攻撃して排除しようとしますが、がん細胞はその攻撃から逃れるためのしくみをもっているのです。そのしくみを壊し、免疫ががん細胞をやっつけるようにするのが、この薬です。

   免疫が働きすぎると、自分の体を攻撃してしまうので、体にはそれを防ぐためのチェックポイントが備わっています。がんはこのチェックポイント機能を利用することにより、免疫の働きを抑えています。そこで、チェックポイント機能を無効化する薬を使えば、がん細胞を排除することができると考えられます。免疫チェックポイント阻害薬はこのコンセプトで開発された薬で、やはり抗体医薬の一種です。この薬は、分子標的薬と違って、効く人は限られますが長く効くという特徴があります。ただし、チェックポイント機能を無効化すると、免疫反応が過剰になるので、甲状腺機能不全などの副作用が起こることがあります。〟

 

そして高橋医師の本文から、ここでは「免疫チェックポイント阻害薬」についてご自分の経験も踏まえて紹介されています。 


p55   標準治療以外治療法の可能


    標準治療を受けても効果を得られず、がんが進行してしまった患者さんの多くが次に選択するのが、標準治療以外の方法です。

   中でも最近は、がんの3大療法に次いで「第4の治療法」として注目されている「がん免疫療法」を受けている患者さんが増えています。特に「免疫チェックポイント阻害剤」は世界中で期待が高まっており、有望視されています。

   免疫療法はその名の通り、私たちの体に本来備わっている免疫システムを利用して体内の異物(がんやウイルス、細菌など)を排除する療法です。
   免疫に関わる細胞は白血球と樹状細胞ですが、白血球には単球、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球があります。特にリンパ球には T細胞や B細胞、 NK細胞などいろいろな種類があります。これらのどの細胞を活性化してがんを撃退するかで作用は異なります。代表的なところでは、CTL 療法(細胞障害性 リンパ球療法)、 TIL 療法(腫瘍浸潤リンパ球療法)、DC療法(樹状細胞療法)、NK細胞療法などがあります。
   これらの多くは患者さんの体内からいずれかの免疫細胞を採取し、それを体外で活性化した後、培養して数を増やして再び体内に戻すという方法がとられています。
   私自身も大学院時代には免疫療法の研究に関わっていた経験があります。当時は、「活性化リンパ球移入療法」という免疫療法を日本大学医学部附属板橋病院で行っており、その治療に携わっていました。
   対象疾患は、主として癌ではなく肉腫でした。これは標準治療の確立が難しい疾患で、中には免疫療法の効果で延命できていると考えられる症例がいくつかあったものの、なかなか良好な結果を得ることは困難な状況でした。

   この経験から私は、やはりエビデンスのある標準治療が最も効果的な治療法であると信じていました。
   あれから免疫療法の研究も進んでおり、個々の医療機関では効果を上げているようですがエビデンスは確立されておらず、標準治療に並ぶものは登場していませんでした。
   それが近年、エビデンスのある免疫療法として、一部のがん種では保険適用されたほど成果を上げているのが、免疫チェックポイント阻害剤です。
   これでの免疫療法は、がんになるのは免疫力が低下しているからで、免疫力を強化すればがんを排除することができると考え、ここを強化する研究が行われてきました。つまり、アクセルを踏み込むほうに注力していたわけです。
   ところが、がん細胞を直接攻撃する能力の高い T細胞に対し、がん細胞がブレーキをかけることで攻撃を逃れていることが、最近の研究で明らかになってきました。

   そこで発想を変え、がん細胞がかけているブレーキを解除すれば、T細胞が活性化してがんを攻撃するようになるのではないかという、新たな理論から誕生したのが免疫チェックポイント阻害剤です。つまり、アクセルを踏むのではなく、がん細胞のブレーキを解除するわけです。
   これによって実際に、皮膚がんの一種であるメラノーマ(悪性黒色腫)でステージⅣと診断された患者さんが完治し、10年経過しても生存していることが臨床試験により明らかとなりました。
   メラノーマは手術で切除できない進行期になると、1年後の生存率は40パーセント未満といわれるほど予後が悪いことで知られていました。そこで、対応が急がれていたため、2014年7月には世界に先駆けて日本が承認しています。その後、肺がんの8割を占める非小細胞肺がんで保険適用が認められました。

   しかし、現在のところ進行がんでも劇的な効果が認められた患者さんは20〜30パーセントにとどまり、ほとんどの患者さんが恩恵を受けられるとは言い難い状況にあるといわれています。やはり患者さんの免疫細胞の状態にかなり左右されるようで、単独での使用ではなく、アクセルを踏みつつブレーキを利かせたり、抗がん剤や分子標的薬との併用療法で効果を上げる研究が進められています。
   また、従来の免疫療法とは異なり、文字通り「薬」であることは言うまでもありません。それまでの免疫療法のほとんどに副作用が少ないことが特徴として挙げられていました。この免疫チェックポイント阻害剤には化学療法と同様の激しい副作用を伴うことが明らかにされています。
   さらに、医療費の問題が批判にさらされています。免疫チェックポイント阻害剤は、従来の抗がん剤と比較してはるかに高額なのです。保険適用対象であれば、高額医療費制度もあるので患者さんの負担は軽減されるといわれていますが、それでもかなりの治療費となり、継続するとなれば経済的に厳しいと思われます。しかも、対象者が増えれば、それだけ医療財政を圧迫することとなり、これもまた大きな問題になっています。
   それでも、効果があってがんの進行を食い止め、完治の可能性があるなら試してみるのも一つの方法です。しかし、治る確率が20〜30パーセントとなると、受けるかどうかの決断に悩むところではないでしょうか。


「がん」を読む ー12ー 目を見張る新薬二種。

2019-02-23 22:03:07 | 「がん」を読む

この本p61〜64

なぜがんで死ぬのか

大きく分けて3つ。

1つ目、がん細胞がどんどん増殖して腫瘍が大きくなり、その場所をふさぎ、場合によっては出血を起こしたり、消化管や気管をふさいでしまい、切除もできないと致命的です。

2つ目、腫瘍によって臓器の本来の機能がブッロクされてしまうからです。

3つ目、がんによって悪液質に陥り、体力が消耗して免疫機能も弱くなってしまうからです。

【悪液質については12日のブログで触れています、

 https://blog.goo.ne.jp/kaeru-23/e/1ff15f1449601fd51e9a6d8e1ac2a6da  】

【がんという病が死と直結しやすいのが現実ですから、その治療法治療薬に関心が集まるのは当然です。「ヒトとがんの関係史」のまとめは最新のがん治療薬についてです】 

がんのメカニズムの解明で治療が進歩した

がんの治療成績について、5年生存率は約69%で10年前に比べて5〜6%上昇している(2016年1公表)とのことです。外科手術、放射線治療、薬物療法の組み合わせによる治療法の進歩が貢献しています。

そのなかで特に薬の進歩について。

分子標的薬 免疫チェックポイント阻害薬

分子標的薬について。

がん遺伝子、がん抑制遺伝子の発見で細胞の異常な増殖を引き起こすタンパク質の働きを抑えれば、がんを治療できる可能性が明らかになりました。そうしたタンパク質を標的としてピンポイントに結合し、その働きを阻害する薬が次々に開発されるようになりました。

分子標的薬には、標的に結合する低分子化合物と標的に対する抗体の2通りがありますが、その説明はこの本のp 61、62に図解付きで説明されています。

免疫チェックポイント阻害薬について。

がん細胞はもともと宿主の体のなかの細胞ですが、遺伝子が変異するとそれをもとにできるタンパク質が異物とみなされることがあります。そうなると、体に備わった免疫系ががん細胞を攻撃しようとしますが、がん細胞はその攻撃から逃れるためのしくみをもっているのです。そのしくみを壊し、免疫ががん細胞をやっつけるようにするのが、この薬です。

分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬については第3章で詳しく述べられるとのことです。

以上、「第1章  がんとは何か?」は終わりです。


「がん」を読む ー11ー がん遺伝子とがん抑制遺伝子

2019-02-22 22:04:10 | 「がん」を読む

p40    がん遺伝子の発見

1775年  煙突清掃員に陰のうがんが多いことから「ススに含まれる何かががんを引き起こすのではないか」とイギリスの外科医ポットが報告。

1858年  ドイツの病理学者ウィルヒョウが環境中の刺激によってがんは発生する=刺激説。ウィルヒョウは「すべての細胞は細胞から生じる」と言い、がん細胞が正常細胞から生じることを明らかにしました。

20世紀前半の化学発がん説、ウィルス発がん説、遺伝説などを経て現在では「がんは遺伝子の病気である」と考えられています。1950年代になって、遺伝子の本体はDNAであるという概念が確立し、がんと遺伝子の関係に目が向けられ、1976年に「がん遺伝子」が発見され、がん治療史に大転換を記しました。

p46   がん抑制遺伝子の発見

1970年代に、がん抑制遺伝子の存在を理論的に予測したのは、米国のクメッドソンで、彼が示唆した遺伝子が染色体のどこにあるかを突き止めたられたのが1986年でした。

p47  がんになった細胞ではたいてい、何らかのがん遺伝子がオンになっていて、同時に、それを抑えるようながん抑制遺伝子がオフになっています。細胞が増えるメカニズムをエンジンだと考えると、がん遺伝子はアクセルで、がん抑制遺伝子はブレーキにあたります。がんになったところでは、アクセルが踏みっぱなしで、ブレーキが壊れているので、細胞の増殖はコントロールされず、基本的には無限に増殖するのです。

がん遺伝子に続いて、がん抑制遺伝子が発見されたことで、がんを遺伝子という観点で捉える際の基本的なパラダイムができあがりました。


「がん」を読む ー10ー 「一条の光」

2019-02-21 21:29:47 | 「がん」を読む

昨日の「つぶやき」部分ということになります。

まずこちらの本

 

の「はじめに」の部分引用です。

 はじめに

   不治の病とされてきた〝がん〟も、医療技術の進歩によって治る病気といわれるようになってきました。しかし、がんが治る病気とは未だ言い難く、命を落とす人が後を絶たないという現実を突きつけられます。

  もちろん、がんの標準治療である手術、放射線、抗がん剤の精度も技術も向上しており、以前には助からなかった病態の人でも命が救われているのは確かです。

   最近は第4の治療法として、人体に備わっている免疫機構を利用してがんを退治するチェックポイント阻害薬が登場し、世界中で注目されています。

   (とはいえ)がんはまだまだ治すのが難しい病気と言わざるを得ません。ところが、この恐ろしい〝がん〟という病気に対抗する新たな治療薬が、長い年月を経て誕生しようとしているのです。

   それが、 本書のテーマである「ベンズアルデヒド」による治療薬です。

   このベンズアルデヒドには、がん化している細胞に見られる悪玉のタンパク質の活性を抑制する作用があることが、研究によって明らかとなりました。これによってがんの増殖を抑え、死滅に追い込むことができる可能性が見えてきたのです。

   それほど効果があるものなら、この情報化社会で話题にならないはずがありません。なぜマスコミにも取り上げられないのか、疑問に感じるはずです。

   この抗がん効果のある治療薬が一般に広まっていないのには、50年にわたる苦い歴史的背景があります。ベンズアルデヒドの存在自体は昔から知られていましたが、これにがんを抑制する作用があることを約50年前に世界で初めで発見したのは、東風睦之博士でした。それ以来、東風博士は治療薬にするべく研究に没頭し、1985年には米国国立スローン・ケタリングがん研究所の機関誌にその成果を論文にまとめて発表しました。

   その内容に多くの研究者が驚き、当時はがんに苦しむ患者が治療を求めて全国から東風博士のもとを訪れたほど脚光を浴びました。しかし、その後はさまざまな利権をめぐる妨害に遭い、憂き目を見ることとなったのです。

    こうして、ベンズアルデヒドは世間から忘れ去られ、「幻の治療薬」となりました。それでも、東風博士と奥様は二人三脚で研究を続け、それが今ではご息女に引き継がれ、がんを抑制するメカニズムの解明に迫りつつあります。

  このように説明しても、にわかには信じられないかもしれません。

   私自身も、東風博士のご子息である、東風貢医師から話を聞くまでは信じていませんでした。しかし東風博士が地道に積み上げてこられた研究や多くの症例と現在までの研究報告を見ると、この治療薬が近い将来、がん患者を救う新たな道を切り拓く可能性のあることを確信しています。

   そこで本書では多くの方にベンズアルデヒドの存在を知っていただくべく、これまで世に出ることがなかった経緯や、がん治療薬としての可能性を解説していきます。

   本書が、がんで苦しんでいる方々と、そのご家族にとりまして一条の光となれば幸いです。

(以上「はじめに」部分引用)

 

この引用文の最後に記されています「一条の光」は一条クリニック・病院の名前の由来であると同時に、昨年の1210日に当病院を訪れた私達夫婦の「一条の光」を求める思いでもありました。

その頃、娘とメール等でやり取りをしていた妻が、娘が信頼し診てもらいたいと思っている医師がいる、その病院が千葉にあると言うのです。ネットで探しているなかで松戸の一条会病院の高橋亨医師ではないか、そして書かれた『「奇跡の治療薬」への挑戦』にいきつきました。

本が近くの書店には無く横浜で入手、夫婦で一読しとにかく病院へと10日に訪れたわけです。そして、葉山に娘を迎え12月中に一度高橋医師の診察を受け、ベンズアルデヒドの服用をはじめました。