漁業権に次いで『資本論』、その後ですからマルクスと続いても、? とは
思ってもじぇじぇじぇじぇにはならないでしょう。
漁業権についてつぶやきながら、マルクスの話のなかで似たような言葉
があったな、と思っていたのですが、それは入会権(いりあいけん)です。もち
ろん法律上の相違を論じる能力はありませんが、一方が漁民の生業・営業を
支える権利であり、もう一方は「一定地域の村落住民が、その共有地にたいし、
共同体規制のもとで協同の権利を行使する慣習上の権利」(『社会科学総合
辞典』)ということです。
まあ、難しいことは抜きにして、言葉が似ているな位に考えて下さい。
マルクスが生涯をかけて『資本論』に取り組む直接の元になった事件が、
入会権(という言葉は別にして)の問題でした。1842年10月の『ライン新
聞』に「木材窃盗取締法にかんする討論」という論文が出ました。
これが長い、『全集』で50㌻位、どうせつぶやくなら読んでから、と考えた
のですが、後日に、今は次のことだけ。
「枯枝あつめも取締り収監」しようという論議のなか――「木をくすねること
を窃盗とみなさないから、こういう行為が頻繁に起こるのだ」――と。
これに対しマルクスは「この理屈でいけば、人がほっぺたをたたくことを殺
人とみなさないできたから、頻繁におきるのだ。だからほっぺたをたたくこと
を殺人と宣言すべきである」と。(マルクスの論文は論理の展開という点でか
なり面白いのです)
マルクスは、この事件に直面して「はじめて私は、いわゆる物質的利害関
係に口だしせざるをえないという困惑状態におちいった。……(これが)私に、
経済問題にたずさわる最初のきっかけをあたえた」と後で語っています。