小池晃書記局長の代表質問 2020.10.30
#小池晃 書記局長の代表質問 参院本会議
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2020年10月31日(土)
学術会議 コロナ 温暖化 新基地 核兵器禁止条約
首相の姿勢 根本から問う
小池書記局長が代表質問
任命拒否 逃げずに答えよ
参院本会議
日本共産党の小池晃書記局長は30日、参院本会議で代表質問に立ち、日本学術会議の会員任命拒否問題や新型コロナウイルス対策など直面する重大問題について菅義偉首相の姿勢をただしました。小池氏は、学術会議の任命拒否について「民主主義と法治国家のあり方に対する菅首相の基本姿勢を根本から問うものになっている」として「菅首相には任命拒否の理由を誠実に説明する責任がある。逃げずに答えよ」と厳しく迫りました。(質問全文)(関連記事)
(写真)代表質問に立つ小池晃書記局長。その奥は菅義偉首相=30日、参院本会議
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小池氏は、菅首相が任命拒否の新たな理由として「民間出身者や若手が少ない。出身や大学にも偏りがみられる」などと言いだしたことをあげ、具体的な根拠をあげるよう追及。菅首相が多様性を重視したといいながら50代前半、女性、その大学からただ一人という研究者の任命を拒否し、総合的・俯瞰(ふかん)的な観点をいいながら人文科学系の研究者だけを任命拒否するなど、矛盾した説明を繰り返している点をただしました。
菅首相は「個別の会員の任命との関係は答えを差し控える」としつつ、「現在の会員は所属別にみると、旧帝国大学といわれる七つの国立大学に所属する会員が45%を占めている」「特定分野の研究者であることをもって任命を判断したことはない」などと弁明。議場からは「理由になっていない」「うそをつくな」などのやじが飛び、怒号に包まれました。小池氏は「日本学術会議法に反し、憲法で保障された『学問の自由』を脅かす任命拒否は撤回すべきだ」と強調しました。
新型コロナへの対応で小池氏は、深刻な経営危機に直面する医療機関全体に対する減収補てんを行うよう主張。コロナ禍から誰ひとり取り残さないという姿勢を示すことが最大の経済対策だとして「大企業に対し『リストラに走るな』『今こそ内部留保を吐き出し、雇用を守る責任を果たせ』というべきだ」と迫り、「暮らしと中小企業の営業の危機に対処するためにも、緊急に消費税を5%に減税し、財源はアベノミクスで潤った富裕層や大企業に応分の負担を求める税財政の改革が必要だ」と述べました。
さらに、菅首相が所信表明演説で触れた「2050年温室効果ガス・ゼロ」について「『空手形』に終わらせないために、いま何をなすかが鋭く問われている」と指摘。(1)石炭火力発電所の新規建設を中止し、既存石炭火力の計画的な停止・廃止に踏み切ること(2)30年の発電に占める再生可能エネルギーの目標を少なくとも4割以上にすること―を提案しました。そのうえで、原発依存から抜け出そうとしない菅首相の姿勢を「言語道断、時代錯誤の極みだ」と批判しました。菅首相は質問に答えず、「エネルギー政策について集中的に議論し、結論を出す」と繰り返しました。
小池氏は、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設での軟弱地盤改良工事に伴い、政府試算でも完成まで12年、費用1兆円に拡大することが明らかなことなどをあげ、「沖縄の苦難の歴史に向き合い、辺野古新基地建設の断念と、普天間基地の閉鎖・撤去に正面から取り組むことこそ、政府の責任だ」と指摘。女性差別撤廃条約の選択議定書や核兵器禁止条約を、日本政府も速やかに批准するよう訴えました。
(質問全文)
小池書記局長の代表質問 参院本会議
日本共産党の小池晃書記局長が30日の参院本会議で行った菅義偉首相に対する代表質問は次の通りです。
(写真)代表質問に立つ小池晃書記局長=30日、参院本会議
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日本共産党の小池晃です。会派を代表して質問します。
学術会議任命拒否
すべての国民にとっての重大問題、撤回すべきだ
日本学術会議が推薦した会員候補6人の任命拒否は、民主主義と法治国家のあり方に対する総理の基本姿勢を根本から問うものとなっています。
中曽根元首相をはじめとして、これまで政府は、総理大臣による任命は「形式的任命にすぎない」と答弁してきました。実際、委員が任命制になって以来37年間、学術会議が推薦した委員が任命されなかったことは一度もありませんでした。それが総理に拒否されたのですから、学術会議の事務局長も「驚がくした」と答弁したのであります。理由の説明を学術会議側が求めるのは当然ではありませんか。
任命拒否された6人の方も説明を求めており、「個別の人事」をたてに拒否する理由はなりたちません。総理には、任命拒否の理由を誠実に説明する責任があります。逃げずにお答えください。
総理は、「必ず推薦の通りに任命しなければならないわけではないという点について、内閣法制局の了解を得た」と言いますが、そのことは当時の学術会議会長にも、意思決定機関である幹事会にも伝えられていませんでした。これでどうして首相の新たな権限行使が正当化できるのか。そもそも、国会でくりかえし答弁されてきたこととは異なる首相の任命の法的意義について、国会にはからず政府が勝手に判断できるというなら、国会審議の意味などないではありませんか。納得のいく答弁を求めます。
総理は任命拒否の新たな理由として、「民間出身者や若手が少ない、出身や大学にも偏りがみられる」としましたが、それぞれ具体的な根拠をお示しください。
この間の学術会議の改革努力によって、男女比も、会員の地域分布も、特定大学への集中も是正されてきています。総理の発言は虚偽ではありませんか。
しかも、拒否された6人の研究者の中には、50代前半の方も、女性も、その大学からただ一人だけという方も含まれています。「多様性を大事にした」という総理の説明と矛盾していませんか。
だいたい、「総合的、俯瞰(ふかん)的な観点で判断した」と言いながら、人文科学系の研究者だけを任命拒否したのは、「総合的、俯瞰的な観点」に反するのではありませんか。
総理は、「学術会議のあり方を見直す」といいますが、安倍政権下の有識者会議が15年3月に、「現在の制度は…期待される機能に照らしてふさわしい」と報告したのに、今になって「見直し」を言いだすのは、支離滅裂ではありませんか。この5年間に有識者会議の結論をくつがえすような事実があったのですか。具体的に示していただきたい。
学問と科学は、政治権力に従属するものであってはなりません。学問が弾圧され、戦争に突き進んだ過去の教訓から、憲法23条は「学問の自由」を保障したのです。
学問も科学も国民のためのものです。この問題は、任命を拒否された6人だけの問題でも、学者・研究者だけの問題でもありません。すべての国民にとっての重大問題です。
日本学術会議法に反し、憲法で保障された「学問の自由」を脅かす任命拒否は、撤回すべきです。以上、総理の答弁を求めます。
コロナ感染危機打開
医療機関全体への減収補てんが不可欠
新型コロナ感染症が、ヨーロッパで猛威を振るい、わが国でも感染者が広がっています。徹底したPCR検査で陽性者を保護し、感染拡大を抑えなければなりません。
今後、季節性インフルエンザの流行も予想され、医療現場には大きな負担となります。しかし所信表明演説で総理は、医療現場や保健所に対する「敬意」と「感謝」を述べただけで、具体的な支援策は一言もありませんでした。そこで総理にお聞きします。
日本医師会が、全国の診療所を対象に行った経営影響調査で、4~6月期の医業収入は対前年比で平均13・3%のマイナスとなり、給与費も軒なみダウンしました。感染拡大による「医療崩壊」が起こる前に、国の政策の不備による「医療崩壊」が起こるような事態は、決してあってはなりません。
政府は、新型コロナ患者を受け入れた医療機関に支援の対象を絞っていますが、どの医療機関でもコロナ感染者の受診があり得る緊張状態の中で診療しています。そして受診抑制による患者減は、コロナ患者を受け入れていない病院や診療所でも深刻です。
この危機を打開するためには、日本医師会や日本病院会などが要望しているように、医療機関全体に対する減収補てんが不可欠です。自民党の医療系議員団本部は、コロナ非対応病院も、3割の減収だとして3兆円を超える減収補てんを提案しています。
与党からも上がる声に、政府は応えるべきではありませんか。
くらしと経済の危機打開
中小企業と雇用を守る 政府は直接支援を
新型コロナ感染の影響が長期化するなかで、くらしと経済の危機も進行しています。小口倒産が急増し、過去の借金が返せない個人事業主の自己破産も増加しています。コロナ禍のもとで、小さいところからつぶれていく状況はきわめて深刻です。
総理の地元に本社を置く日産自動車には、焦げ付けば国が借金の肩代わりをする1300億円もの政府保証がつけられました。一方、日産の下請け企業では経営が悪化し、早期退職者募集などリストラが横行しています。
いま、政府が真っ先にやるべきは、4兆円もの内部留保を抱える巨大企業ではなく、立場の弱い中小企業を直接支援することではありませんか。
雇用者の数は、リーマン・ショック時を上回る勢いで、非正規雇用を中心に100万人以上減っており、なかでも、女性の減少が目立ちます。東京商工リサーチの調査によれば、上場企業60社が1万人以上の早期・希望退職者を募集しています。これから、年末に向けてリストラが急加速する危険性があり、事態はきわめて深刻です。
総理には、コロナ禍からだれ一人取り残さないという姿勢を明確に示していただきたい。
誰も路頭に迷わせない、どんな業者もつぶさない。これがいま求められる最大の経済対策ではありませんか。
政府として、大企業に対し、リストラに走るな、いまこそ内部留保をはきだし、雇用を守る責任を果たせというべきではありませんか。
雇用調整助成金は単に延長するだけではなく、給付内容の拡充と手続きのさらなる簡素化を進め、活用の拡大を図るべきではありませんか。
持続化給付金は一回限りとせず、支給要件を改善するとともに、コロナ収束まで事業を維持できるよう、複数回支給すべきではありませんか。
休業支援金は、事業主が休業を「指示していない」などの理由で、申請に協力しない例が後を絶たず、必要な人に支援が届いていません。行政が事業所に強力に働きかけ、是正すべきではありませんか。
総理は、所信表明で「新型コロナウイルスの中にあっても、マーケットは安定し」ていると胸を張りました。しかし、コロナ危機のもとで史上最高にふくれ上がっているのは、富裕層の資産です。1000億円以上の「ビリオネア」の資産は、コロナ前の14兆円から19兆円に膨らんでいます。
多くの国民がコロナ禍で仕事を失い、賃金が下がり、売り上げが消え、事業の継続に四苦八苦しているときにも、株式市場には公的マネーがつぎ込まれ、株価を買い支え、大資産家の資産はどんどん増えていく。こんな経済のあり方でいいのか、巨大な格差を生み出す経済社会が長続きするのかが、根本から問われているのではありませんか。
くらしと中小企業の危機に対処するためにも、緊急に消費税を5%に減税し、財源は、アベノミクスで潤った富裕層や大企業に応分の負担を求める、税財政の改革が必要です。
以上、総理の答弁を求めます。
温室効果ガス「ゼロ」
石炭火力廃止へ転換 再生エネ本格導入を
総理は、所信表明で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」としました。これを30年先の「空手形」に終わらせないために、いま、何をなすべきかが鋭く問われています。
第一に、国連事務総長が「石炭中毒」とまで非難した、日本の石炭火力発電所の新規建設をどうするのか。現在建設中、あるいは計画中の17基の石炭火力は、2050年にも温室効果ガスを出し続け、このままでは「ゼロ宣言」は絵に描いた餅で終わります。総理が、「石炭火力発電に対する政策を抜本的に転換する」とした以上、新規建設を中止し、既存石炭火力の計画的な停止・廃止に踏み切ることを明言していただきたい。
第二に、温室効果ガスゼロのためには、省エネ、効率化の徹底とともに、日本がすでに後れを取っている、再生可能エネルギーの本格的な導入が必要です。これは、国際的なビジネスの面からも、地域経済の再生のためにも迫られています。
経済同友会や34道府県を正会員とする自然エネルギー協議会も求めているように、2030年の発電に占める再生可能エネルギーの目標を、少なくとも4割以上にするべきではありませんか。
東京電力・福島第1原発事故により発生している汚染水の海洋放出の動きに、福島と全国の漁業者をはじめとする方々から怒りの声が上がり、県議会をはじめ県内の7割の議会が反対や慎重な対応を求める意見書をあげています。新地町の漁師は、「来春からようやく本格操業になるという時にトリチウムを流し、またマイナスから始めろというのか」と、悲痛な叫びをあげています。
総理は、「福島の復興なくして、東北の復興なし。東北の復興なくして、日本の再生なし」と述べましたが、復興の妨げとなる海洋放出の強行が許されると思いますか。当面は陸上保管を継続し、国内外の英知を結集し解決すべきではありませんか。
総理は温室効果ガスゼロについて、「原子力をふくめてあらゆる選択肢を追求」すると述べましたが、原発はこのように今もなお、筆舌に尽くしがたい苦しみを与え続けているではありませんか。
「地球環境のために脱炭素を」といいながら、放射能による生命の危機を引き起こす原発に頼るなど、言語道断、時代錯誤の極みではありませんか。
沖縄新基地建設
破たんの辺野古断念し普天間基地閉鎖・撤去を
総理は所信表明で、「普天間飛行場の危険性を一日も早く除去するため、辺野古移設の工事を着実に進め」ると述べました。しかし、軟弱地盤の改良工事に伴い、政府の試算によっても、完成までにあと12年、費用も1兆円近くに拡大することが明らかになっています。
そもそも日米両政府が普天間基地の全面返還に合意したのは、1996年の橋本・モンデール会談です。あれから来年4月で25年、そのうえ12年以上もかかる計画のどこが「一日も早い危険性除去」なのですか。県民の民意に背く辺野古新基地建設の破たんは、明白ではありませんか。
政府が4月に、沖縄県に提出した設計変更申請書は、これまでの沖縄本島北部だけでなく、沖縄県全域から埋め立て土砂を採取する計画を明記しています。そのうちの7割を占めるのが、沖縄戦の激戦地である本島南部の糸満市と八重瀬町。戦後75年をへた今なお、戦没者の遺骨が発見され、遺族のもとに送り届ける活動が続けられている地域です。沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表は、「戦争で亡くなった人の遺骨を岩ズリと一緒に軍事基地の埋め立てに使うなど、戦没者への冒涜(ぼうとく)だ」と厳しい批判の声を上げています。総理はこの声をどう受け止めるのですか。
総理が官房長官当時の2015年の国との協議で、当時の翁長雄志知事は、沖縄戦での悲惨な体験と、戦後の米軍統治下で基地がつくられた経緯について、「県民には魂の飢餓感」があると述べ、新基地建設の中止を訴えました。これに対し、当時、官房長官だった総理は「私は戦後生まれなので、沖縄の歴史はわからない。日米合意の辺野古が唯一というのがすべてだ」と述べたといいます。このような姿勢が、県民に寄り添うものだと言えるのでしょうか。
沖縄の苦難の歴史に向き合い、辺野古新基地建設の断念と普天間基地の閉鎖・撤去に正面から取り組むことこそ、政府の責任ではありませんか。
女性差別撤廃条約
日本はジェンダー121位 選択議定書批准直ちに
杉田水脈・自民党衆議院議員による、「女性はいくらでもウソをつけますから」という暴言は、性暴力被害者をふたたび深く傷つけるものです。
被害者は「被害に遭う方にも問題がある」などといわれ、誰にも相談できず苦しんできました。そして今、全国に広がるフラワーデモで、「誰にも話せなかった被害」が語られ始めています。
杉田発言は、こうした動きに冷や水を浴びせるものであります。断じて許すことはできません。
総理は、この議員のたび重なる暴言を、今回も容認するのですか。形だけの謝罪で良しとするのですか。自民党の比例代表選出議員であり、総理は自民党総裁として、議員辞職させるべきではありませんか。
日本が国連の女性差別撤廃条約を批准して今年で35年ですが、ジェンダーギャップ指数は121位と年々後退し、世界の流れから大きく取り残されています。条約の実効性を強化するための選択議定書は、すでに114カ国が批准しています。もはや先送りは許されません。
「全ての女性が輝ける社会の構築」というなら、年内に閣議決定される第5次男女共同参画基本計画で、これまでのように「真剣な検討」などにとどめるのではなく、ただちに批准すべきではありませんか。
総理と男女共同参画担当大臣の答弁を求めます。
核兵器禁止条約
背を向ける態度改め すみやかに署名・批准を
核兵器禁止条約の批准国が50に達し、発効が確定しました。核兵器の開発、実験、生産、保有から使用と威嚇まで違法化し、核兵器に「悪の烙印(らくいん)」を押す画期的な国際条約です。
日本共産党は、被爆者をはじめとする「核なき世界」を求める世界の声が結実した巨大な一歩を、心から歓迎するものです。
しかし政府が、これに背を向けていることは、唯一の戦争被爆国としてきわめて恥ずべきことといわねばなりません。ノーベル平和賞を受賞した、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長は、「日本が(核兵器禁止条約に)加われば、世界にとてつもない衝撃を与える。その決断は、核保有国の姿勢を擁護している他の国々が核兵器を拒絶する引き金になる」と述べています。総理はこの声にどうこたえますか。
核兵器廃絶に向けた「国際社会の取り組みをリードする」などというなら、すみやかに条約に署名し、批准すべきではありませんか。
そのことを強く求めて、質問を終わります。
(関連記事)
国民の願い実現する政治を
国政の焦点課題 首相に迫る
小池書記局長の代表質問
参院本会議
(写真)代表質問に立つ小池晃書記局長=30日、参院本会議
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日本共産党の小池晃書記局長は30日の参院本会議の代表質問で、菅義偉首相が日本学術会議の会員候補6人を任命拒否した問題や、新型コロナウイルス感染症対策、温室効果ガスの排出削減、沖縄の米軍辺野古新基地建設、ジェンダー平等、核兵器禁止条約など多岐にわたる国政の課題を取り上げ、菅首相の姿勢をただしました。
学術会議人事介入
「学問の自由」脅かす任命拒否の撤回迫る
「会員候補6人の任命拒否は、民主主義と法治国家のあり方に対する総理の基本姿勢を根本から問うものだ」―。小池氏は、日本学術会議法に反し、憲法が保障する「学問の自由」を脅かす任命拒否の撤回を迫りました。
会員が任命制になって37年間、学術会議推薦の会員が任命されなかったことはありません。小池氏は「任命拒否の理由を誠実に説明する責任がある」と追及しましたが、菅首相は一切答えませんでした。
小池氏は、「推薦の通り任命しなければならないわけではないと内閣法制局の了解を得た」という首相の主張について、「当時の学術会議会長にも、意思決定機関の幹事会にも伝わっていなかった」と指摘。「これでどうして首相の新たな権限行使が正当化できるのか」とただし、従来の国会答弁と異なる法解釈を政府が勝手に判断できるなら「国会審議の意味がなくなる」と追及しました。
菅首相は、「推薦の通り任命しなければならないわけではない」というのが政府の一貫した考えだと強弁しました。
小池氏は、任命拒否の理由として「民間出身者や若手が少ない。出身や大学に偏りがみられる」と首相が述べている根拠をただしました。菅首相は「旧帝国大学といわれる七つの国立大学に所属する会員が45%を占めている」などと新たな理由を持ち出して任命拒否を正当化。この間、学術会議が男女比や地域、特定大学への集中を是正させてきた努力には触れず、50代前半や女性、私立大学の研究者を任命拒否したこととの矛盾には答えませんでした。
コロナ対策
医療現場支援、暮らし・営業の危機打開を急げ
小池氏は、新型コロナウイルスの感染者が広がる中、国の政策の不備による「医療崩壊」が起こる事態はあってはならないと主張。政府は新型コロナ患者を受け入れた医療機関に支援の対象を絞っているが、コロナ患者を受け入れていない病院や診療所の受診抑制による深刻な経営危機の打開のため、全ての医療機関への減収補てんを求めました。菅首相は1次・2次補正予算での支援を述べただけで、減収補てんには一言も触れませんでした。
小池氏は、コロナの影響が長期化するなか、小口倒産、個人事業主の自己破産が増加しているとして「政府がやるべきは内部留保を抱える大企業ではなく、中小企業へ直接支援をすることだ」と指摘。年末に向けリストラが加速する可能性があるとして、「誰も路頭に迷わせない、どんな業者もつぶさないことが最大の経済対策だ」と迫りました。菅首相は事業継続、雇用維持に全力で取り組むと答えました。
小池氏は、中小企業への具体的支援として▽雇用調整助成金の特例措置の延長と拡充・手続きの簡素化▽持続化給付金の要件改善と複数回支給▽休業支援金の是正―を求めました。
また、多くの国民が失業や収入減などに苦しむ中、大資産家の資産は増加しているとして「巨大な格差を生み出す経済社会が長続きするのか、根本から問われている」と指摘。消費税の5%減税、財源は富裕層や大企業に応分の負担を求めました。しかし、菅首相は「消費税は社会保障に必要な財源」として減税を拒否し、国民の実態を見ない冷たい姿勢をあらわにしました。
温室効果ガス削減
石炭火発・原発ゼロに 再生可能エネ推進こそ
小池氏は、菅首相が「2050年までの温室効果ガス排出ゼロ」を述べたことについて、「30年先の『空手形』に終わらせないために今何をするかが重要だ」と強調しました。
小池氏は、建設中・計画中の石炭火力発電所が17基ある事実を示し、「50年まで稼働し続ければ、『ゼロ宣言』は絵に描いた餅で終わる」と指摘。「『石炭火力発電の政策を抜本的に転換する』というのであれば、建設の中止、既存発電所の計画的な停止・廃止の明言を」と迫りました。
同時に、先進国の中で遅れている再生可能エネルギーの本格的な導入が必要だと指摘。経済同友会や34道府県を正会員とする自然エネルギー協議会も求めるように、30年の発電に占める目標を少なくとも4割以上にするよう求めました。
菅首相は再エネを最大限導入するとし、石炭火力は「イノベーションを追求」と述べただけ。「将来像について集中的に議論する」との答弁にとどまりました。
小池氏は、東京電力の福島第1原発事故で発生した放射能汚染水の海洋放出について、「漁業者らから怒りの声が上がり、県内7割の議会が反対・慎重な対応を求めている」と指摘。菅首相が温室効果ガスゼロに原子力を含めていることについて、「生命の危機を引き起こす原発に頼るなど言語道断、時代錯誤の極みだ」と批判しました。
菅首相は汚染水問題について「先送りできない」と福島県民らの訴えに背を向け、原発に依存する姿勢を示しました。
辺野古新基地
沖縄の歴史に向き合い断念と「普天間」撤去を
(写真)工事が強行される辺野古・大浦湾=8月30日、沖縄県名護市(小型無人機で撮影)
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米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の「一日も早い危険性除去」を口実に、名護市辺野古の新基地建設を「着実に進める」という菅首相。しかし、軟弱地盤の改良工事に伴い、政府の試算でも完成まで12年かかります。
小池氏は、日米両政府の普天間基地全面返還合意から来年4月で25年だとし、「そのうえ12年以上もかかる計画のどこが『一日も早い危険性除去』なのか。破綻は明白だ」と迫りました。菅首相は「辺野古が唯一の解決策」と、硬直した考えに固執しました。
小池氏は、政府の埋め立て土砂採取計画で、沖縄戦の激戦地だった本島南部の糸満市と八重瀬町が土砂調達可能量の7割を占めることについて、戦後75年を経ても戦没者の遺骨が発見され、遺族に送り届ける活動が続いている地域だと指摘。沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表の「戦争で亡くなった人の遺骨を岩ズリと一緒に軍事基地の埋め立てに使うなど戦没者への冒涜(ぼうとく)だ」との声をぶつけましたが、菅首相は「法令で認められた採石場から調達される」と冷たく言い放ちました。
小池氏は、戦後の米軍統治下で基地が造られた経緯を語り、新基地中止を訴えた翁長雄志前知事に当時官房長官だった菅首相が「戦後生まれで沖縄の歴史はわからない」と述べたことにふれ、「この姿勢が県民に寄り添うと言えるのか」と追及。「沖縄の苦難の歴史に向き合い、新基地断念と普天間基地の閉鎖・撤去に正面から取り組むことこそ政府の責任だ」と主張しました。
核兵器禁止条約
唯一の被爆国として速やかに署名・批准を
批准国が50に達し、発効が確定した核兵器禁止条約。小池氏は、核兵器の開発・実験・生産・保有から使用と威嚇まで違法化し、核兵器に「悪の烙印(らくいん)」を押す画期的な国際条約だとして、「日本共産党は、被爆者をはじめとする『核なき世界』を求める世界の声が結実した巨大な一歩を心から歓迎する」と表明しました。
一方、政府が同条約に背を向けていることは「唯一の戦争被爆国としてきわめて恥ずべきこと」と批判。ノーベル平和賞を受賞した、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長が「日本が(この条約に)加われば、世界にとてつもない衝撃を与える。その決断は、核保有国の姿勢を擁護している他の国々が核兵器を拒絶する引き金になる」と述べていることを紹介し、「この声にどうこたえるか」とただしました。
菅首相は、核保有国・非保有国の「支持が得られていない」などと主張し、「抑止力」を強調して「同条約に署名する考えはない」と述べました。
小池氏は、日本が核兵器廃絶に向けた「国際社会の取り組みをリードする」というなら、すみやかに条約に署名し批准すべきだと求めました。
杉田水脈議員暴言
自民党の総裁として議員辞職させるべき
小池氏は、性暴力被害に関わって自民党の杉田水脈衆院議員の「女性はいくらでもうそをつけますから」との暴言を批判。性暴力被害者を再び深く傷つけ、性暴力根絶を求めるフラワーデモなどの運動に冷や水を浴びせるものであり「断じて許されない」と訴えました。
杉田氏は何度も暴言を繰り返しているとして、「度重なる暴言を今回も容認するのか。自民党総裁として議員辞職させるべきだ」とただしましたが、菅首相は「コメントは差し控える」と述べるだけでした。
小池氏は、日本が国連の「女性差別撤廃条約」に批准して35年たつのに、世界の男女格差の度合いを示すジェンダーギャップ指数は121位と年々後退していると告発。条約の実効性を強化するための選択議定書について、「もはや先送りは許されない。年内に閣議決定される第5次男女共同参画基本計画で、これまでのように『真剣な検討』などではなく、ただちに批准すべきだ」と迫りました。
菅首相は、日本の司法制度や立法政策との関係で対応を検討すべき論点があり、「早期締結について真剣に検討している」と答弁しました。
首相は逃げまくっていた 持続化給付金要求ありがとう
小池書記局長の代表質問に反響
日本共産党の小池晃書記局長が30日の参院本会議で行った代表質問に対し、「素晴らしかった」などの多くの反響が党本部に電話などで寄せられました。
◇
学術会議問題での質問について東京都の男性は「小池さんの質問は鋭いところをついており、大変分かりやすかった。菅首相は都合の悪いことには答えず、まったく答弁不能だった。来週の予算委員会でも引き続き徹底的に追及してほしい」と述べました。
東京の別の男性は「小池さんの代表質問は大変良かった。菅首相は憲法15条を繰り返すだけで、必死に逃げまくっていた。よほど痛いところを突かれたのでしょう。これからも頑張ってください」と話しました。
また、神奈川県の男性は「コロナ禍が続く中、小池さんが持続化給付金を複数回出すよう迫ったのが、非常に良かった。ありがとうございます」と述べました。