その記事はこちら、
二面 一面
まず、一面から本文部分です、
「自民党が公明党、日本維新の会と合意した政治資金規正法の修正案は裏金づくりの対策に意味をなさず、事件の本質から目をそらすだけパフォーマンスにすぎない」
5月31日に自民が公明、維新の各党と行った政治資金規正法改定案の修正合意についてこう指摘をするのは神戸学院大学の上脇博之教授(憲法学)です。
「裏金事件の発端となった『赤旗』日曜版のスクープと私の告発は、自民党の派閥が20万円を超える政治資金パーティー収入の明細を書いていないことだった。ところが安倍派(清和政策研究会)でみると、キックバック(還流)を含む裏金の総額は5億円を超え、このうち政治団体分で明細を書いていなかったのは3000万円程度。とすれば企業が買った分が圧倒的に多く、それが裏金になっている。ところが企業には収支報告制度がないので、企業がどれだけ買っているか調べようがなく、『赤旗』も私も企業分の不記載を見つけることはできなかった」
上脇氏は「だから公明党の要求に従ってパーティー券購入先の公開基準を下げても、そもそも企業分の裏金づくりを防ぐにはほとんど意味がない」と語ります。政治資金パーティーを禁止するか、収支報告制度のない企業や任意団体のパーティー券の購入を禁止するしかありません。公開基準引き下げ論議は論点そらしの大謀略です。
維新が、「企業によるパーティー券購入禁止」を言いながら自民案に賛成したのも、自身の案が本音ではなくてパフォーマンスであることを示すものです。実際、維新は従来、政治資金パーティーに依存し続けています。
1944年の「政治改革」論議のとき、わいろ性の強い企業献金の禁止が課題とされながら政治資金パーティー、政党への献金という二つの抜け穴が残されました。
裏金事件となった政治資金パーティーの利益率はおおむね8割超。キックバックの場合は100%の利益率で「寄付(献金)」そのものです。しかもパーティ券の購入先は「7~8割は企業だ」(自民党関係者)というのですから、まさに「形を変え企業団体献金」です。
上脇氏は「質疑は参院に移るが、自公維の修正案が改革に値しないこと、企業・団体献金の禁止という本来の改革をあきらめずに言い続けることが大事」と語ります。(2面につづく)
2面の文字写し始めます、こちらから
公明新聞1日付は1面で「自民再修正案 公明の主張盛り込む」「パーティー券公開『5万円超』」の大見出しで、まさに〝パフォーマンス〟をやっています。しかし、自公の再修正合意に至る5月27~31日までの動きは迷走を重ねたも ↓
↓
のでした。参院で自民党は単独で過半数を持たず、公明党との協力が無ければ法案を成立させられません。公開基準を巡る両党の隔たりをどう埋めるかは、岸田政権にとって死活的な問題となっていました。
28、29両日に各紙が「公明党が自民案に同意へ」と報ずると、30日には山口那津男代表が、改めて公開基準の引き下げ、自民党案の修正を要求。31日には両党は水面下調整を投げ出し、岸田文雄首相と山口代表の党首会談で、パーティー券購入者の公開基準を5万円に引き下げることで合意し
ました。
公明に批判の声
二転三転の背景に何があったのかー。28、29日の報道とともに、メディアは公明の自民への同調を一斉に批判。支持基盤の創価学会や公明元議員らからも批判の声が中央に押し寄せ、それが30日の山口代表の表明につながりました。
自民党関係者の一人は「公明は『自民党と同じ穴のむじなにみられたくな
い』と言っていたが、連立の維持、会期延長の回避、都知事選への結束を意識して、一度は自民案をのむ姿勢を示していた。27日には立憲民主の蓮舫氏が都知事選への出馬表明も行った」「しかし、世論の失望と批を買うと一転せざるを得なかった。それで自民党も逆転せざるを得なくなった
が、岸田首相のトップダウンのやり方には党内で不満が広がっている」と迷走の内実を解説。「公明党も、創価学会の力の低下の中で、選挙を自民党に頼らざるを得なくなっている」と語ります。
しかしこうした迷走劇も、〝企業・団体献金、政治資金パーティー温存〟という枠組みの「コップの中の迷走」にすぎません。そもそも「同じ穴のむじな」なのです。動揺と迷走の根底には、裏金づくりへの国民の激しい怒りがあります。
自民党関係者の一人は「世論は厳しいが、企業献金禁止で大きな収入減になるわれわれには死活問題だ。政党助成金だけになれば100%使途公開が迫られ、政治活動の自由が狭まる。企業献金と政治資金パティーの禁止は受け入れられない」と本音を吐露。一方で、ある自民党議員は「自民党としては企業・団体献金には手を付けられないが、それで国民の納得が得られるかというと、国民が求めているのは公開基準の引き下げなどではない。何より真相解明とそれを踏まえての対策だ。行く手は厳しい」と語ります。
1日付各紙は「改革に程遠く」(「東京」)、「遠い抜本改革」(「朝日」)、「改革に背を向ける茶番劇」(毎日)など公開基準の引き下げが
改革に値するのかという強い疑問と批判を投げかけています。
第二自民党の姿
「維新案の丸のみでなければ到底納得できない」などと息巻いて見せていた維新も、政務活動費の禁止ではなく「公開」への論点すり替えに乗った挙げ句、10年後に領収書などの公開を求め、それが受け入れられたことで合意。しかし、政治資金の流れはすぐに公開して、チェックを受けるためにこそあるはずで、自民を助ける「修正」でしかありません。「第二自民党」の本領がギリギリの局面で見えました。自民党からは「維新が乗ってくれた。自公VS野党という構図にならずに済んだ」との声があがっています。(中祖寅一)
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