今回の「てんがらもん」を聴いて「人はパンのみに生きるにあらず」
という言葉をメモしていました。文化運動の一つである演劇鑑賞を運動
として進められているゲストの宮脇さんから、大きな刺激を受けたから
です。
この言葉は聖書によるもので、だから趣味などを持ちなさい、という
風に使われているようです。しかし、聖書ではこの後「神はそのお口か
ら出た言葉のひとつひとつで、人を生かしてくださる」とつながるので
すから、趣味の必要性を強調するため引用するのは場違いでしょう。
岩波文庫の『福音書』の訳者はこの部分に「(パンが無ければ)神はパ
ンを造って」という文を補足して、ここは「徹頭徹尾食物の問題で霊魂
の問題ではない」、だから「人はパンだけでは生きられない、霊の食物
としての神の言葉がいる、という意味に訳することは誤っている」と述
べています。私にはこの当否を判断する力はありません、しかし宮脇さ
んの話に心動かされたのは、神の言葉の必要性ではなかったことは言え
ます。私の頭に浮かんだのは、パンを右手に左手は犂(すき)に掛けて、
今日のパンを口にし、明日のパンをつくる農夫の姿です。
犂(すき)は家畜を使って耕す道具を意味し、耕すという英語の
カルチャーは文化という意味でそのままカルチャーセンターなどと使われています。
人の暮らしのなかでパンと同じ様に重要な文化、その意味で「人はパン
のみに生きるにあらず」とメモしたのかと思い至りました。
そして、「てんがらもんラジオ」にしても関係するブログにしても
文化現象であり文化活動です。演劇鑑賞運動に若い日の情熱をそのま
ま燃やし続けている宮脇さんに学び、「てんがらもんラジオ」とブロ
グという文化を運動として発展させたいと思います。
もうひとつ、そういう文化運動に意識的に関わっている人々は、常
に精神の若さを保てるということです。それは毎回の「てんがらもん
ラジオ」が見せてくれています。