「しんぶん赤旗」 きょうの潮流
観客席で涙をぬぐう姿も。スピルバーグ監督の最新作映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」。報道の使命とは何か。実在の人物たちのドラマを軸に力強いメッセージを放ちます▼舞台は1971年のアメリカ。ベトナム戦争が泥沼化する中、4代にわたる歴代政権のウソを暴く報道機関と権力とのたたかいを描きます。スクープのもとになったのが、邦題にある機密文書。ベトナム戦争について、「勝てない」と知りながら若者を戦場に送り続けた事実が7000ページにわたって記されていました▼最初に報じたのはニューヨーク・タイムズ。ニクソン政権によって同紙が記事差し止め命令を受けたことで、今度はワシントン・ポストが公表に踏み切ります。巨大な代償を払うことを覚悟の上の決断。メリル・ストリープ演じる女性社主の葛藤が見どころです▼「報道の自由を守るのは報道」「報道機関は国民に仕えるものであり、統治者に仕えるものではない」。珠玉のせりふが現代の日本を突き刺します▼森友学園をめぐる公文書改ざん事件をスクープしたのは3月2日付「朝日」。8日付「毎日」が後に続きましたが、共産党の小池晃参院議員が国会で取り上げた当初は、「朝日」に立証責任を求めるコメンテーターすらいました。NHK・「読売」・「日経」が“改ざん”に表現を改めたのは27日。「改ざん指摘やむをえない」との安倍晋三首相の答弁後です▼権力の監視にはメディアの連帯が必須。本作をぜひご覧いただきたい。