ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

天狗の話 (11)

2005-11-02 08:25:00 | 四方山話
今年、何回かに分けた「大峰奥駈道」を無事に歩き終えました。
日本百名山(深田久弥氏)では「大峰山」を最高峰の八経ヶ岳に
あてていますが、本来の「大峯」はこの奥駈道の通る山脈一帯を
含んでいます。
その中心は言うまでもなく山上ヶ岳であり、大峯修験の根本道場
として今も女人禁制を守り、「大峰山」といえば山上ヶ岳を指す
ようになっています。
山中には険しい岩場をめぐる行場が点在し、ここで行を終えて
初めて一人前の男として認められるのが、私たちの若い頃まで
近畿一円での習わしでした。



上の写真は山上ヶ岳の修行中でも白眉の「西の覗き」です。

 『和州吉野郡群山記』という本には、山上ヶ岳には鷲が多く
住み、旅人の笠をつかみ取ったり、衣服を破って人を傷つける
ことがある。
「世にこれを天狗といひて恐るるなり」と記されています。
これは一見、科学的な記述に見えますが、ワシは大峰山系には
いない筈で、御勢久右衛門氏は復刻本の校注で「ここでの鷲は
クマタカであろうか」と考察されています。