ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

天狗の話 (13)

2005-11-10 08:45:30 | 四方山話
古い本をパラパラめくっていて、こんな物を見つけました。



(東)横綱・富士太郎、大関・飯綱三郎、関脇・相模大山伯耆坊、
小結・羽黒山三光坊、前頭筆頭・立山縄乗坊、二枚目以下は
秋葉山三天坊、筑波法印、高尾山供奉、道了薩捶、小御嶽正真坊、
御嶽山六尺坊と続きます。張出前頭というのがあって、(最上川)
水天狗円光坊、張出小結は上野妙義坊となっています。

一方、西は張出横綱・鞍馬山僧正坊、張出小結・(讃岐)白峰相模
坊、横綱・愛宕山太郎坊、大関・大峰前鬼、関脇・比良山次郎坊、
小結・彦山豊前坊、前頭筆頭・葛城山高天坊、以下は石鎚山法起坊、
大峰菊大坊、伯耆大仙清光坊、比叡山法性坊、肥後阿闍梨、高野山
高林坊、伊吹山飛行上人…とこれまた錚々たる顔ぶれです。

西の特徴は下の図のように、番付下位に同門?の天狗がずらりと
居並んでいることです。いわゆる木っ端天狗でしょうか?
そして前頭上位には「何とか坊」が多い中に、阿闍梨や上人が
おわします。しかも「天狗の番付」では下の方ですが、伊勢に二人
の「神」が並んでいることに気付きました。なんとかっての「狗」
は遂に人間を飛び越えて「神」に昇格したのでしょうか?




この奇妙な番付を作成したのは「狗賓堂光蔵」という人です。
面白いことに、番付の行事役に平田篤胤、哲学堂円了(お化け学者
として有名な井上円了)、役行者などと並んで、ちゃんと自分の名前
を出しています。「狗賓」というのは「天狗」の異名で、地方によって
他にも呼び方がたくさんあります。