ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

陽春の音羽三山(2015.04.23)

2015-04-24 19:38:11 | 山日記

【メンバー】芳村嘉一郎、芳村和子

【コースタイム】不動滝08:40 … 南音羽09:08 … 観音寺 09:45~10:07 … 万葉展望台 10:40~10:45 … 音羽山(851.7m)11:10~11:15 … 経ヶ塚山(889m)11:40~12:05(昼食)… 熊ヶ岳(904m)… 大峠13:30 … 不動滝 14:30

好天気に誘われて多武峰街道(県道37号線)を南へ走る。昨年も鹿路の鹿華苑に行くなど何度も走った道だが、音羽三山を訪ねるのは1979年以来、実に36年ぶりになる。下居で観音寺への標識を見て集落の中の細い道を登り、参拝者用の駐車場に来る。狭い場所に砂利が積んである上に、帰りにここまで登ってくる苦労も考えて、少し上の水道施設の建物のある処から引き返す。

37号線をさらに南へ、八井内の不動滝前のスペースに車を置かせて貰ってスタート。少し引き返して百市の集落に入り、地図を確かめて南音羽へ向う。広い舗装の林道を緩く登っていくと、20分ほどで見覚えのある水道施設の建物が見えた。ここが峠のようで少し下ると先ほどの参拝者用車置き場で「百市1.2km」の標識がある。

車止めがあり寺までは約1kmの登りになる。

舗装はしてあるがかなりの急坂で、一丁ごとに立つ丁石や、

ところどころで可愛い動物たちを描いた標識が励ましてくれる。ちょうど半分ほど登った祓堂でチョッキを脱ぎ、水を飲む。こんなに長かったかと嫌になる頃、無常橋を渡り、階段を登って寺の境内に入る。

遠くから手伝いに見えている若い女性が本堂に上げて下さって、十一面千手千眼観音を拝んだ上に住職手作りのお菓子を添えたお茶まで頂いた。お寺の来歴などのお話を聞き、ゆっくり休ませて頂いて出発。

境内には天然記念物のお葉付き銀杏、その右手に不動堂がある。

山道に入ると本来の道が左に別れ、

桜など植樹中の山肌を直登する道で万葉展望台に出る。

正面に金剛・葛城から二上山を見晴らし「大阪まで眺望できる」として奈良県景観資産に指定されている。ここでも道が左に分かれ、「近道」と書かれた檜林の中の踏み跡を取る。

かなりの急登で稜線に出て、先ほどの道に合流すると急に歩きやすくなり、しばらくで新しいベンチの置いてある音羽山(851.7m)山頂に着いた。樹林の中で全く無展望である。

すぐに腰を上げて経ヶ塚山に向う。少し急な下りで鞍部に出る。登り返す途中の笹原の中に大宇陀の方に下る分岐があり、ここで右に折れると間もなく笹原の中に大きく開けた経ヶ塚山(889m)だった。

古事記で国見山と言われた展望の山も、今は植林帯の中で何も見えない。多武峰の鬼門に当たるので経を埋めたという山名の由来の塚も、以前の山日記には「案外に新しい」と記しているが、かなり破損が進んだようで針金が何重も巻かれて補強してあった。この山頂が三つの山で一番広いようなので昼食にする。咲き残った山ザクラが舞う雲一つない青い空に、ジェット機が白い航跡を残していった。

熊ヶ岳へはササの中の急な下りで始まるが、幸いに刈られてよく手入れされている。岩がむき出しのところもあり注意しながら下る途中、行く手の熊ヶ岳の姿が整った形を見せる場所があった。

美しい鋭三角形で、登り返しの厳しさが思いやられる。鞍部からは大きな岩の横や、滑りやすい急な道、笹原の間の道と次第に高度を上げて行く。

何度か急登を繰り返すと思ったよりも楽に、三山では一番高い熊ヶ岳904mに着いた。ここも林に囲まれて無展望である。

ここから稜線の道は緩やかになり、高度を下げながら小さなピークを越えて行く。前の記憶では倒木帯で景色が良いところがあった筈だが、曽爾の古光山らしい辺りが見えただけで、近鉄の無電反射板の立つピークに来る。塔の横の三角点標は見過ごした。ここで右に折れてさらに植林帯の急下りで大峠に降り立つ。稜線は三津峠を経てさらに竜門ヶ岳に続いている。

峠は神武東征の時、女軍を配備してヤソタケルと戦ったと日本書記に記された「女坂」伝承地で、その石碑と小さなお地蔵さんが立っている。

右に折れて暗い谷間の道を下る。勾配が弱まり左に折れると、目の前に美しい滑滝が現れた。近づくと林道が行き止まりになったところで、舗装路の上を水が流れ落ちているのだった。ここからはこの沢沿いの林道を下る。ところどころ水に覆われ、緑色の苔が生えている上を歩くので滑りやすく、二度ほど足をすくわれかけた。ここまであまり休憩もせず、順調に歩いてきたが初めて少し疲れを感じた。しかし休む場所もなく30分ほど下ったところで、すぐ右手に広い車道が見えた。道はその下を通ってさらに続いているが、そこを登ってきた地元の人らしい三人の中年男性に出会った。今日、歩き始めて初めての人たちである。「ここは通れん。何べん頭打つか分からんぞ。遠回りやけど広い道行った方がええ」とその一人に言われて、仕方なく右の二車線の車道に登る。すぐ右に大峠トンネルの入口が見えた。しばらく歩いてどこに続くのか不安になり、次の集落(針道だった)で道を聞き先の林道に降りる。さらに心配になるほど沢沿いに歩くと、朝置いた愛車が見えた。最後はちょっと疲れたが、妻は「80歳にしては、よう歩いた」と冷やかすように言った。