この万華鏡映像から、どんなオブジェクトを思い浮かべますか? 色の粒が色を変え、姿を変えて映り込んでいます。
今日ご紹介するのは、若林寛さんの作品です。
金属の筒と部品で組み立てられ、台座は蒔絵風に金彩をほどこし、黒く塗ったアクリルと組み合わせています。 この渋い雰囲気の万華鏡ですが、上のアイホールから覗くと、鮮やかな色の粒が曼荼羅模様となって見えています。
この作品はオルゴールが台座の中に組み込まれ、ネジを巻くと音楽が流れ、円盤状の金属が回転します。 オルゴールタイプでトレイが回転し,トレイの上に載せられたオブジェクトが映り込む万華鏡が一般的なのですが、この作品は違っています。
円盤には小さな穴がたくさんあり、それぞれに裏側から色ガラスの粒がはめ込まれています。 スイッチを入れると、円盤の下からLEDが当たる部分(万華鏡の筒の真下に当たる部分)には色の粒が見えてきます。 でもこの光の粒がそのまま映像になっているのではありません。
円盤の上、ミラーシステムの先端部にあるものが、オブジェクトです。 それが光ファイバーの束なのだそうです。 外からは見えませんが、その光ファイバーがとらえたのが、小さな穴を通して色がついて届くLEDの光です。 ご存じの通り、光ファイバーはガラス繊維の先端に光が届き、光ります。 それが円盤の穴のガラス色を、光の点と変え、オブジェクトになっているのです。 すごいアイディアですね。
もっとすごいのは、映像の形を変える工夫です。色だけの変化ではなく、映像の形も変化させることができます。 映像を創っているのは光ファイバーの束ですが、その束をねじることで形を変えます。 円盤の上に見える8本の腕があるハンドルを回すと、筒の中の光ファイバーの束がねじられて粒の浮き出る模様が変わってくるのです。
ねじ巻きのオルゴール、スイッチで電源の入るLED、そして手動のハンドル・・・いろいろな仕掛けを組み合わせて、万華鏡模様のイルミネーションを楽しむ作品です。