佐藤元洋さんの作品 2点をご紹介します。 大きい方が「二重奏」、小さい方が「白妙」です。
筒の形もすっきりとラインが美しい造形作品となっています。 流れるようなガラスの色合いがきれいで、静かに華やかさを醸し出しています。
「二重奏」というタイトルの由来は、映像にあります。2つのオブジェクトセルを内蔵していて、ミラーシステムに近い方のオブジェクトが生み出す模様の背景に、外側のオブジェクトセルの生み出す映像が重なることが、その名前の由来です。
ソフトな色模様は、覗き口から見て奥のセルから生み出されるもの、よりはっきりと見えるのが手前のオブジェクトセルに含まれるガラスオブジェクトです。
頂点の角度の狭い二等辺三角形に組んだミラーシステムで、大きな中心のマンダラ模様は11ポイント。 360度を22で割った角度ですが、計算上は16.363636・・・・度です。 ミラー組みは万華鏡の製作でも最も難しいところだと思いますが、作家さんは割り切れないはずの角度を自分の目と手加減で決めるのですね。 すごいです。
ソフトな色合いと繊細な模様の組み合わせが魅力の万華鏡です。 先端のオブジェクトセルの滑らかな回転にしたがって、ガラスオブジェクトのぶつかりう音がしゃらしゃらと心地よく聞こえ、次から次へと万の華が咲き誇ります。 一つ一つのオブジェクトが音符のようで、生み出されるメロディーとハーモニーが心地よく響く万華鏡です。
小さい方の作品「白妙」ですが、今回ご紹介するのは高台付きのものです。オブジェクトセルは下側にあり、トップの部分に覗き口があります。筒全体を回して映像の変化を楽しみます。
こちらはオブジェクトセルはひとつで、ミラーシステムに近いところにあるので、くっきりとガラスオブジェクトのひとつひとつが見えています。同じく、二等辺三角形のミラーシステムで、7ポイントの中心映像の周りにも細かい模様が囲みますが、上の作品とはミラーの長さがかなり違うので、見え方も違っています。 鏡の長さと幅のバランス、焦点距離との兼ね合い、覗き口のレンズなど、小さい作品ほど、きれいにみせる工夫が込められています。
一つ一つのオブジェクトの表情がよく見えて、作家さんのこだわり、熟練の技が感じられますね。