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五輪ロゴ盗用疑惑

2015年08月14日 | 時事
五輪ロゴ渦中…佐野研二郎氏、賞品バッグを取り下げ
何やらパクリの常習犯だったようですね。ということは・・・?

五輪ロゴの発表はニュースで見ていましたが、アナウンサーが「さあいよいよ発表です!」みたいに盛大な前フリをしていたので期待して見てしまい、発表直後は正直ガッカリ感が否めませんでした(笑)しかし、まあ主役はエンブレムや競技場などでなく選手達ですし、ロンドンや北京のロゴも最早どんなのだったか覚えていないので、別にどうでもいいかと思っていました。ただ、説明の中で「東京のTをモチーフにしました。」と言われた時は、どこがTになっているか全く分かりませんでした。
そのうちベルギーの劇場ロゴに酷似していると話題になり、盗用疑惑が浮上しました。そのデザインは劇場名の一部のTとLを象っており、言われてみれば確かにそのように見えます。左上と右下の曲がり三角は、明朝体のハネの特徴をモチーフにしていると言うことも分かりました。まあ、もしTにしようとして右上にもつけるとちょっとごちゃごちゃしすぎますから、そこはわざと省いたのでしょう。色もなく必要十分かつシンプルで分かりやすいデザインです。
と、その認識で五輪ロゴを見ると、今度はもうそのマークに日の丸がついただけのようにしか見えませんよね。まあ○△□のみを使ったシンプルなデザインならどうしてもある程度の重なりと言うか、似てしまうことはあるでしょうが、それならそれでそのデザインを用いた理由を簡潔明瞭に説明する必要があると思います。まだ右下のハネがなければ別物だと思ったかもしれませんけど、左上と日の丸の右上がTのハネを象っているとして、問題の右下の三角については発表会を見た限り明確な説明はなく、ただオマケくっついていることになります。普通こういうシンプルイズベストのシンボルに意味のない形を付加するのは蛇足以外の何物にもなりません。Tをモチーフにしたのなら右下の三角と日の丸の位置が逆ですし、逆に円をモチーフにしたのなら左下にも曲がり三角がないと説明がつきません。しかし、もし仮にベルギー劇場のロゴをベースにして考えたと捉えると、全てが簡単に説明がついてしまうのです。これは真偽は別にして盗用だと疑われても仕方がないでしょう。
その後、「佐野氏がもし盗用したのなら、他のデザインにもそういう痕跡があるはずだ。」という仮説の下、過去のデザインとネット上の作品や画像等と比べる作業が有志により行われたところ、何と大量に盗用疑惑のあるデザインが出てきてしまった模様です。それまでは似てるけど本人は否定してるし、まあイチャモンレベルかな?と思い敢えて記事にしませんでしたが、今回企業が疑惑のデザインを取り下げたことは盗用の事実があったと本人が認めたとも取れるので、単なる言いがかりでなくかなり疑いが濃くなったと言えるでしょう。テレビでもこれをきっかけに取り上げるようになりましたからね。そしてこちらを認めたということは、芋づる式に五輪ロゴにも疑惑が向けられるのは当然です。これは五輪ロゴも再考の余地が生まれたのかもしれません。

ちなみに教育現場でもこうしたコピペ問題は他人事ではありません。夏休みによく募集される絵画作品や読書感想文、標語、作文などにもネット上で様々なアイデアが出回っていますし、はたまた学生のレポートや論文、教員の学習指導案(笑)までもコピペで済ませる人が多くなっていますからね。以前にも指摘しましたが、夏休みの校内作品展を見て回ると結構同じアイデアで作られたと思われる作品が溢れ返っています。作品を作る際に参考作品があるのとないのでは大違いですし、一度楽を覚えると人間はそうそう戻れないので、常習的に行ってしまうものです。そのうち何か一つがばれると、その他全ての関連作品が疑われ、大きく信用を失うことになります。
とは言いつつ、一般的に「創作活動は模倣から始まる」とも言われます。例えば図工では、酒井式と言うみんなで一緒に目を描いて鼻を描いて・・・と順番に指示を出し、同じ構図の作品を仕上げることがありますが、どの子も失敗なく皆ほぼ一定の水準の作品になるものの、やはり廊下に並べて飾った時に変わり映えがなく面白くないと思ってしまいます。まあ、描き方の練習だと割り切って、次の作品から自由に描かせるならアリだと思っていますが、高学年でも繰り返しこれをやらせるのはどうかと思っています。市展などに集まってくる作品を見ても、学校が違うのに皆同じ構図になってしまうので、賞のあげようがありません。模倣は練習作品であり、発表すべきではないのです。
もちろん新しいものを生み出すにしても、これまでの人類の英知の蓄積を積極的に利用しないでは進歩もままならず、ここまでの文化的発展もなかったでしょう。三平方の定理を使って簡単に証明できる問題を、いちいち三平方の証明から書く人はいません。もしピタゴラスが証明の著作権を主張したら、人類はずいぶんと遠回りを強いられることになります。論文や出版されている本だって、終末に参考にした文献の列記がありますし、特許にも実用新案というカテゴリーがあるように、このご時勢100%完全オリジナルと言うものは滅多にないのかもしれません。それがシンプルなものなら尚更です。まあ学校ではある程度の模倣や先人の知恵を吸収し、プラスアルファ程度の作品で良しとなることは多いです。夏休みの校内作品展程度なら、それこそ苦笑いを浮かべる程度で法的手段に出ることはないでしょう(笑)しかし外部の作品展に出す場合や、社会に出て自らの表現やデザインで食べている人は、しっかりオリジナル部分を強調して勝負するのが筋ですし、少なくともモチーフや参考にしたものがあればそれらはちゃんと明確にしておくべきでしょう。素材を探してきて、一部を改変しただけの簡単なお仕事でオリジナルと称するのは仮に法的な問題はなくても少々乱暴ですし、自ら苦心して創作したのに簡単に盗用された方が怒るのも無理はない話です。

安部総理が夕方に70年談話談話を発表するそうですが、返す刀で「五輪ロゴも白紙に戻す」という発表もあるかも!?