川本ちょっとメモ

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09衆院選、この閉塞感はなんだろう (※転載記事)

2009-08-11 18:52:00 | Weblog


毎日新聞朝刊に『09衆院選 問われるもの 選択を前に』という企画記事があります。その第4回(7月31日付け)は、ノンフィクション作家の佐野眞一さんが書いています。これを転載します。


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今回の選挙では、自民党が惨敗し民主党は議席を伸ばすだろう。そうなれば、半世紀以上続いた自民党政治が終わり、民主党政権に代わる。本来であれば、そこにわくわく感があるはずだ。でも僕にはない。国民みんなも持っていないんじゃないか。そこが一番のポイントだ。

なぜわくわく感がないのか。新しい時代が始まる、と感じていないんだと思う。例えば、鳩山由紀夫代表の虚偽献金問題。僕の調査ではすさまじい問題で、自民党以上の金権体質がある。そんなことをみんなが知っているわけじゃないだろうが、「変わらない」「また見た風景」と感じ取る力はあると思う。

前回の総選挙があった4年前に比べれば、未曽有の変化がある。リーマン・ショックだけでなく、自殺者は一向に減らないし、給料は上がらない。麻生太郎首相ご自慢の景気対策だって、カンフルは効いていない。自分の職業に照らし合わせて考えても、昨年暮れから今年にかけ、バタバタと雑誌がつぶれた。

これは政権が代わったからといって、もちろん変わるもんではない。政権交代で景気が急速に拡大するとは到底思えない。

選挙後の新聞には「政権交代」の大見出しが躍るんだろう。でも、選挙でドカーンと穴を開けてみたところで、何かが開けるほど簡単じゃない。今、日本を覆う閉塞(へいそく)感っていうのは、そんな甘いもんじゃない。

閉塞感の根本にあるのはたぶん、決定的な流動性のなさだ。40年前は、学校もろくに出ていないようなオヤジ、田中角栄が、雪国からブルドーザーのような勢いで出てきて首相になった。しかし、このところ、首相は世襲が続いている。

鳩山氏もそうだ。清新さは感じない。4代続けて政治家を出した鳩山家はいずれも東大卒の「サラブレッド」の家系。そこにブリヂストン創業者、石橋家のすごい財力がくっついた。金を持つのは悪いことではないが、高偏差値と財力さえあれば、天下が取れるのか、となってしまう。

――後略――。


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