川本ちょっとメモ

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普天間――結果的に国外・県外移設は選挙目当ての甘言だった(東京新聞社説5月5日)

2010-05-10 03:13:07 | Weblog


普天間――各紙論調の抜書きです。


首相、県内移設を初めて表明 沖縄知事に「負担願う」(共同通信 2010/05/04 22:14)
 鳩山由紀夫首相は4日、沖縄県を訪れ、米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設問題をめぐり仲井真弘多県知事、稲嶺進名護市長らと相次いで会談し、キャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)を埋め立てる現行計画を修正し、辺野古沖への移設案を事実上初めて提示した。


首相沖縄初訪問 今さら『県内移設』とは(東京新聞社説5月5日)
 鳩山由紀夫首相が沖縄県を初めて訪問し、米軍普天間飛行場の県内移設の意向を明言した。公約破りは明白だ。「国外・県外移設」を託した沖縄県民をはじめ国民を裏切るもので到底看過できない。

 結果的に国外・県外移設は選挙目当ての甘言だった。国民を欺いた首相の政治責任は極めて重い。


首相沖縄訪問 遅すぎた方針転換(読売新聞社説5月5日)
 ここに至る政府の迷走ぶりは目を覆うばかりだ。 国外移転を主張する社民党の顔を立ててグアムなどを視察し、貴重な時間を浪費する。過去に否定されたシュワブ陸上部案やホワイトビーチ沖合案が浮上しては消える。杭打ち桟橋方式も、14年前にも検討されたことがある。

 現行計画を否定しているのもおかしい。首相は最近、埋め立てを「自然への冒涜(ぼうとく)」と言い出した。本当にそう考えるなら、最初にそう言うべきだろう。単に自らのメンツを守るため、現行計画の修正を図っているとしか見えない。


首相沖縄訪問―月末までに何ができるか(朝日新聞社説5月5日)
 条件の合いそうな自治体に協力を求めるなど、万策尽きて県内に戻ったというのならまだしも、政権内では早くから、名護市の米軍キャンプ・シュワブ陸上案や、うるま市の勝連半島沖の埋め立て案が検討されていた。5月末の決着期限まで1カ月を切り、ようやく「本音」を表に出した。


首相の沖縄訪問 今さら「県内移設」では(毎日新聞社説5月5日)
 「すべて県外に(移設)というのは現実問題として難しい。沖縄の皆さんにご負担をお願いしなければならない」「沖縄にも、徳之島にも、普天間移設で負担をお願いできないかとおわびしてまわっている」。これが、県外移設を求める沖縄県民への首相の回答だった。昨年の衆院選で「最低でも県外」と主張し、国会などで「県外」を繰り返したのとは大きな違いだ。

 「移設先は辺野古以外に」という昨年12月の首相の言葉もほごになった。

 5月末決着に「職を賭す」と明言した首相の言葉は重い。実現できなければ、首相の政治責任が厳しく問われることは免れない。


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鳩山首相「5月末決着期限に変わりない」(毎日jp 毎日新聞 5月6日20時39分配信)
鳩山由紀夫首相は6日、米軍普天間飛行場移設問題の決着期限を「5月末」とした自身の方針について「変えるつもりはまったくない」と改めて強調した。米国、移設先の地元自治体、連立与党の3者の合意を得る、としていた「決着」の中身についても「変えない」と明言した。官邸で記者団に答えた。


首相、徳之島に普天間で協力要請 3町長は受け入れ拒否(共同通信 2010/05/07 20:06)
 鳩山由紀夫首相は7日午後、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐり、鹿児島県・徳之島の地元3町長と官邸で会談し「普天間の機能の一部をお引き受けいただければ、大変ありがたい」と要請した。沖縄の米海兵隊ヘリコプター部隊の移設ではなく訓練の一部移転を念頭に置いた発言とみられる。3町長は拒否し、物別れに終わった。


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首相の言葉―公約でないとは恐れ入る(朝日新聞社説5月7日) 
政治家にとって言葉は命、という。ましてや、一国の最高指導者となればなおさらだ。鳩山由紀夫首相はその重みをわかっていない。首相は昨年の総選挙前、沖縄県の米海兵隊普天間飛行場を「最低でも県外」に移すと訴えた。ところが、県外断念に追い込まれた途端、あれは「党代表としての発言」であって「党の公約」ではないと言い出した。

>いまさら、マニフェストには書いていないからと責任逃れをするような発言には、恐れ入るほかない。

実行力を伴わない言葉の軽さも困りものだが、それが思慮の浅さに起因しているのではないかと疑われる点が、より深刻である。

 首相は県外断念の理由について、海兵隊の「抑止力」維持をあげた。

 首相は総選挙時には、海兵隊が沖縄にいなければならない理由はないと考えていたという。しかし首相就任後、「学べば学ぶにつけ」海兵隊の必要性を理解したと説明した。

 海兵隊の抑止力について、首相なりの認識を得るための勉強に8カ月も要したというのが本当なら衝撃である。移設問題とは、「抑止力」と沖縄の負担軽減という困難な二正面作戦に他ならない。そのことは初歩の初歩のはずではなかったか。


普天間問題 徳之島の拒否は当然だ(東京新聞社説5月8日)
首相は昨年の衆院選で、普天間移設について「県外が望ましい」と明言した。徳之島への一部機能の移設で、「公約」を果たそうと考えたのであろう。

 在日米軍基地の約75%が集中する沖縄県民は、重い基地負担に苦しむ。米軍駐留が日本とアジア・太平洋地域の安全保障に不可欠なら、その基地負担は国民ができる限り等しく負うことが望ましい。

 しかし、徳之島への移設案と打診の仕方は妥当性を欠き、公約を果たしたように見せ掛けるアリバイづくりとの疑いが拭(ぬぐ)えない。


普天間移設 首相は「結果」に責任を持て(読売新聞社説5月8日)
 さらに問題なのは、鳩山首相が最近、首相としての資質を一層疑わせる発言をしていることだ。「最低でも県外移設」との発言は「党の公約でなく、党首としての発言」だった、と弁明する。

 海兵隊について、昨夏には、沖縄に存在しなくてもいいと考えていたが、首相になって「学べば学ぶほど、(沖縄で)パッケージとして抑止力が維持できるという思いに至った」と、安全保障に関する知識・理解不足を認める。

 いずれの発言にも唖然(あぜん)とさせられる。党の公約と党首の発言を区別すること自体がナンセンスで、そんな言い訳が通るなら、だれも党首の発言を信用しなくなる。海兵隊の抑止力についても、首相に就任した後、徐々に重要性を認識しているようでは困る。


普天間問題 透ける「政治主導」の実体(毎日新聞社説5月9日)
 「移設案」を別の言葉にすると鳩山政権の「政治主導」の実体が透けて見える。年金や医療制度の改革も、財源がないまま政治家のにわか勉強では解を得られないだろう。まぶしいマニフェストに比べ、政権の現実は痛ましく不安が募るばかりだ。


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