毎日新聞2010-05-29朝刊記事「安保もてあそんだ罪」から後半部を転載します。
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首相の迷走を許したのは、民主党政権が持つ構造的な欠陥であることも見落としてはならない。
同党は政権奪取のために生活テーマを前面に出し、安保政策は寄り合い所帯の党内事情と、票にならないという選挙戦略上の理由から遠ざけられた。衆院選のマニフェストでも同分野の扱いは軽く、移設問題は触れられなかったことがそれを証明している。
国対委員長による「普天間は直接国民生活に影響しない。雲の上の話だ」との発言(抗議ですぐに撤回)が、同党における普天間問題の軽さを象徴的に表している。そこには政権党でありながら、日々の安定した生活は安全保障によって担保されているという認識のかけらもないのだ。
準備不足で戦略も覚悟もないため、岡田克也外相、北沢俊美防衛相、平野博文官房長官の連携は最後までとれなかった。脱官僚のスローガンのもとに経験豊かなプロの意見は無視された。―略―
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未熟な政権のゆえにもてあそばれた安保。政策の再構築がなければ、たとえ首相が代わっても同じことが繰り返されてしまう。