川本ちょっとメモ

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<加計学園問題> 今になってわかる安倍官邸の怖さ (1) ――文科省天下り摘発の動機は獣医学部特区の厄払いだったのかもしれない

2017-07-26 23:38:05 | Weblog

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2017-07-26
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<加計学園> 今になってわかる安倍官邸の怖さ(3)――文科省を懲らしめ、前川次官を貶め、官邸関係有識者群で追い打ち




天下り慣行は全国で続いている

天下りは、行政権力を持っているグループ、あるいは行政権力を利用し得るグループに所属する者だけに与えられた特権です。国家公務員から地方公務員に至るまで、そして日本の端々に至るまで昔から行われている慣行であって、天下りは今も続いています。

天下り再就職が問題視されるのは、役所の業務職掌と関連のある所に再就職が保証されているからです。再就職先の中には素人目にもこんなのいらないだろうと思える役所関連団体があります。役所の業務管掌と関連のある民間企業も天下り再就職先の常連であります。

過去のことになりますが、奈良県内のある業界団体では事務局長職が定年県職員の再就職指定席でした。確か3年ごとに交代していたと思いますした。もう一つ、同様に過去のことですが、県PTAの事務局長も定年県教委職員が務めていたことを知っています。


国家公務員の天下り抑制は積極的に成されてこなかった

国家公務員については、監督する役割の官庁と再就職先が癒着する温床になるなどとして、官僚の天下りを規制。職員が他の職員やOBに営利企業などへの再就職をあっせんする行為を国家公務員法が禁止しています。

天下りを根本的に抑制するには、65歳年金受給開始までの公務員の生活収入に関する制度づくりが必要になるでしょう。65歳年金支給年齢に接続できるところまで定年を延長するか、あるいは年金支給開始を早めて60歳定年に接続できるようにするか…。とりわけ、早期退職勧奨を含む人事体系の改革を急がねばなりません。これは時の総理大臣がいつでも着手することができます。

ところが、地方と国とを問わず、そのような天下り防止の基本的な対策は成されておりません。国家公務員の天下りを取り締まり監視するための組織として政府の再就職等監視委員会が2008年に発足しましたが、発足後にその存在意義を発揮しておりません。


1月18日「文部科学省の天下り摘発」報道

2017年1月18日、政府の再就職等監視委員会が文部科学省の天下り調査を始めたことを、毎日新聞は下のように報道しています。

<毎日新聞2017.1.18.>
 文部科学省が2015年、元幹部を早稲田大に再就職させる「天下り」をあっせんしていた疑いがあり、政府の再就職等監視委員会が文科省幹部らから事情を聴くなど調査をしていることが18日、関係者の話で分かった。人事課が関与した組織的なあっせんとみられるという。あっせんを禁じた国家公務員法に違反する可能性があり、同委は関与した幹部の厳正処分を求める「勧告」を行うことも検討している。

 勧告が行われれば、08年の同委発足以来、初めて。

 菅義偉官房長官は18日の記者会見で、同委が調査していることを認め、「(あっせんが)実際に行われていたとすれば、極めて遺憾なことだ」と述べた。

天下りが今も行われていることは東京の政官界では周知のことです。官房長官が個別の天下り案件を知らないことはあるでしょう。しかし省庁の天下り慣行が連綿としてつづいていることを菅官房長官が知らないということはあり得ません。


1月19日「前川事務次官が引責辞任を表明」報道

文部科学省の天下り問題が公になった1月18日報道の翌日、1月19日。前川喜平文部科学省事務次官が、早くも引責辞任を表明します。天下り問題初報道翌日の事務次官辞任表明で、その余りの速さにわたしは驚きました。同時に、このたびの文科省天下り問題がそれほどに深刻なんだという印象を受けました。

<毎日新聞2017.1.19.>
 文部科学省が幹部の再就職を組織的にあっせんした疑いが浮上した問題で、文科省の前川喜平事務次官 (62) が責任を取って辞任する意向を固めたことが関係者への取材で分かった。問題を調査している政府の再就職等監視委員会は19日中にも調査結果をまとめ、関与した文科省の幹部職員らの処分を求める方針。官僚の天下りを巡る一連の問題は事務方トップの事務次官辞任に発展する見通しになった。



天下り批判高まる 鳩山政権で半減 今倍増

<東京新聞2017.1.20.>
 文部科学省が元高等教育局長に早稲田大教授への天下りをあっせんしたとして国家公務員法違反の疑いがもたれている問題を受け、政府内に全府省庁で天下り調査を実施すべきだという認識が広がっている。国家公務員の一般職で管理職(課長、企画官相当職以上)の再就職は2011年度以降、5年連続で増加。2010年度の733件から、2015年度は1668件で2・3倍に増えた。

 省庁と密接な関係がある企業などへの再就職、いわゆる「天下り」は、監督官庁との癒着の温床になるとして、批判を浴びてきた。規制の動きは2006年ごろ、防衛施設庁(当時)や日本道路公団(同)などで談合事件が続き本格化した。2009年9月、政権に就いた当時の民主党・鳩山由紀夫首相は「天下りのあっせん根絶を図る」と表明。翌2010年度の再就職は、2009年度の1413件から半減した。

 しかし、2011年度からは増加に転じた。天下りに人を押し出す要因の早期退職の慣行は依然として残り、根絶に向けた機運が後退した可能性がある。2015年度の再就職が省庁別で最も多かったのは財務省の416件。国土交通省の346件が次ぎ、文科省は47件だった。

最多の財務省、次の国土交通省に手をつけず、なぜ最少の文部科学省だけ摘発したのか?

財務省では、森友学園国有地格安払下げ事件と安倍昭恵首相夫人の仲介疑惑を国会答弁で拒絶しきった佐川理財局長が、7月5日付で国税庁長官に栄転しました。

加計学園獣医学部新設について官邸の意向に抵抗しつづけた文部科学省では、天下り案件の徹底的な摘発を受け、事務次官が引責辞任しました。

安倍首相は天下りについて2月6日、全省庁の徹底的調査を明言しました。しかしその後の進展はゼロ。財務省と文部科学省の差は明らかです。


1月20日、前川事務次官引責辞任を閣議承認・新事務次官就任
 2月6日、安倍首相が全省庁で「天下り」徹底調査を明言

1月19日辞任表明の翌日、1月20日、政府は前川次官の辞職を閣議で認め、戸谷一夫文部科学審議官が新しい次官に就任しました。

1月18日新聞報道からわずか3日目のことです。官邸は前川次官の迅速な辞任表明がなければ早期辞任をさせる準備をしていたのではないか。

1日目、天下り報道―2日目、前川事務次官の辞任表明―3日目、辞任承認と新事務次官任命。驚くほどのこのスピードは、官邸側が予測して準備していたことをうかがわせます。

安倍首相は2月6日の政府・与党連絡会議の席上、全省庁での「天下り」徹底調査を明言しました。時事通信が簡潔に伝えています。

<時事通信2017/02/06-13:06> 天下り、全省庁で徹底調査=安倍首相
 安倍晋三首相は6日の政府・与党連絡会議で、文部科学省が天下りあっせんに関する調査結果を公表したことに関し、「全省庁でも同様の事案がないか徹底的に調査していく。必要なことは何でもやるとの考え方で、国民の信頼を確保していきたい」と述べた。

 公明党の山口那津男代表も「政府・与党としても国会論議を通じて実態解明と信頼確立に努める決意だ」と語った。

安倍首相の「全省庁で天下り徹底調査」は、その後どうなっているのか? 半年近く過ぎた今、政府発表ゼロ。報道ニュース、ゼロ。天下り摘発は、「文部科学省狩り」だけで終わっているのです。


森友学園問題報道

一方で2月9日、「大阪の国有地 隣地の1割で払下げか? 『森友学園』理事長は日本会議役員、 名誉校長に安倍首相夫人」という朝日新聞報道が伝えられました。これが、森友学園問題のメジャー報道の初出だと思います。

森友学園問題は大阪府豊中市の国有地をなぜ通常価格の1~2割で売払い譲渡したのかという問題です。国との橋渡し役が安倍昭恵夫人で役所側の主役は財務省です。安倍昭恵首相夫人がどういう役を果たしたのか? 財務省はなぜ格安で売払い譲渡したのか? 格安の根拠は何か? 5月終わりまで、国有地不正問題に関わるニュースをふんだんに読むことができました。

6月に入ると、森友学園の不正行為に関わるニュースが主流になり、安倍昭恵夫人と財務省に関わる国有地格安払下げニュースが姿を消していきます。

(次回につづきます)

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