2019・7参院選で、山本太郎が風を起こしています。
わたしは山本太郎というタレントが反原発運動をしていることを知っていただけで、彼に興味はなかった。2013・7参院選で、彼がたった一人の力で当選したときも興味はなかった。
山本太郎に興味を持ったのは、政党要件を失っていた「生活の党」に入党したときからです。党名はすぐに「生活の党と山本太郎となかまたち」に変わりました。彼は小沢一郎と共同代表になりました。
それは2014年12月のことでした。小沢さんの薫陶を受ければ、やがてしっかりした議員になるだろう。わたしの見方はそんなものでした。
次に、2015年9月18日、安倍内閣総理大臣問責決議案の参院本会議採決のとき。山本太郎ひとり牛歩戦術をして、そのうえ三段を上がって登壇すると議場に向きを変えて、神妙に葬儀の焼香のしぐさをしました。たいへんな勇気を見せました。
このときからわたしは山本太郎に注目し、彼の国会質疑も見るようになりました。小沢一郎の指南・助言を傾聴したうえの蛮勇だろうと思って、彼は買いだとみておりました。
今回の参院選では、「れいわ新選組」という政治団体を立ち上げたのですが、わたしのような年配者にとってはアニメのタイトルのようでなじめません。
しかしながら、山本太郎の過激な演説は「反緊縮策」という経済観に裏打ちされています。反緊縮策の理論家としては松尾匡立命館大学経済学部教授が知られていて、読みやすい著作がいくつも出版されています。
松尾匡教授の反緊縮策には賛同者が増えつつあります。とはいえ、松尾教授の反緊縮策は、MMT(Modern Monetary Theory)に似て同じではありません。松尾教授の緊縮策は財界・大企業・富裕層のための経済政策ではありません。中低所得層の人々のための経済政策です。
山本太郎は経済政策の基本ベースに松尾教授の反緊縮策理論を取り入れているようです。
反緊縮策が抑制的慎重さを要求されるのは、デフレが止まってインフレの流れに入ったときに、インフレの増長段階のどこかでインフレ抑制のための増税策に転じることです。このタイミングを捉えるのに失敗してハイパーインフレになってしまえばたいへんなのです。
さらにこんどの参院選比例名簿に入っている大西恒樹氏は国際金融の実務家です。一見、選挙用の暴走政策に見えても、山本太郎には経済政策論の裏打ちとブレーンがそろっているのではないかと思います。
先年の米大統領選では、民主党大統領候補バーニー・サンダースが人気を得ました。アメリカでこのタイプの政治家が台頭したことを喜ぶとともに、日本ではサンダースのような人がいないと嘆いておりました。山本太郎がサンダースタイプの政治家に成長してくれないか。
もちろんほかの有力野党が伸長してくれないと、焦眉の課題、安倍政治を押しとどめることができません。安倍政治ストップという目前の優先度では既存野党頼みです。