川本ちょっとメモ

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<学術会議 任命拒否> 甘利明自民党税制調査会長「国会リポート第410号」の学術会議ガセネタ批判

2020-10-26 22:53:15 | Weblog



2012年12月第二次安倍政権に入ってからというもの、政権批判や政権非難が起こるや否や、反射的に政権擁護にスイッチが入る人たちが増えました。このたびの菅新政権による日本学術会議の新会員推薦のうち6人任命拒否についても、菅首相側を批判するのでなくて逆に、日本学術会議側をさまざまな角度から批判する面々が目立ちます。

まず、甘利明自民党税制調査会長の 2020.8.6.付 国会リポート410号。そこには、日本学術会議が国内で軍事技術の研究を禁じているにもかかわらず、中国(千人計画)との軍事研究を容認していると受け取れる一節が書かれてありました。



      (朝日新聞2020.10.14.掲載写真をコピーしました) 


10月1日、日本学術会議新会員候補推薦105人のうち6人が菅首相に拒否されたことが明らかになりました。菅首相非難の声が巻き起こり、世論調査では菅首相支持率が下がりました。

この動きに応じて、菅首相擁護派のネット民から、日本学術会議が中国に情報を流している、反日だ、中国の軍事研究に参加している、などと非難が多発しました。

そしてまた、このネット民からの日本学術会議非難の根拠になった情報が甘利明自民党税制調査会長の「国会リポート410号」に発していることがわかりました。ところが国会リポート410号中の、中国との軍事研究協力を示唆する日本学術会議批判部分が〈ガセネタ〉でした。

こんどは、「菅首相任命拒否」非難派から甘利明自民党税制調査会長がガセネタを指摘され非難されて、「国会リポート410号」の焦点になる文章を修正しました。――ここのところを、以下に説明します。

上の甘利明自民党政調会長の 2020.8.6.付 国会リポート410号の写真は小さくて読みづらいので、関係部分を下に書き写しました。読みやすくするために改行を施している箇所があります。


  
(注) 甘利氏は安倍晋三前首相の腹心で経済再生担当大臣当時の 2013年11月14
    日、大臣室で現金50万円受領ほかの現金授受の罪に問われたが、不思議な
    ことに東京地検特捜部が不起訴にしたという経歴の持ち主です。
 
   (参照クリック)
   <政治とカネ > 安倍内閣 甘利明前大臣の大臣室現金授受事件を忘れない(1)
   <政治とカネ> 安倍内閣 甘利前大臣の大臣室現金授受を忘れない(2) 



  衆議院議員 甘利明 「国会リポート 第410号」 2020.8.6. 一部抜粋


 日本学術会議は防衛省予算を使った研究開発には参加を禁じていますが、中国の「外国人研究者ヘッドハンティングプラン」である「千人計画」には積極的に協力しています。

 他国の研究者を高額な年俸(報道によれば生活費と併せ年収8,000万円!)で招聘し、研究者の経験知識を含めた研究成果を全て吐き出させるプランでその外国人研究者の本国のラボまでそっくり再現させているようです。そして研究者には千人計画への参加を厳秘にする事を条件付けています。

 中国はかつての、研究の「軍民共同」から現在の「軍民融合」へと関係を深化させています。つまり民間学者の研究は人民解放軍の軍事研究と一体であると云う宣言です。 

 軍事研究には与しないという学術会議の方針は一国二制度なんでしょうか。
そもそも民生を豊かにしたインターネットが軍事研究からの出自に象徴されるように、機微技術は現在では民生と軍事の線引きは不可能です。(引用終わり)

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上の青字部分は2020年8月6日初出時の上の青字部分が10月13日に次のように訂正されました。

①〈初出〉「千人計画」には積極的に協力しています。
 〈現在〉「千人計画」には間接的に協力しているように映ります。

②〈初出〉軍事研究には与しないという学術会議の方針は一国二制度なんで

     しょうか。
 〈現在〉軍事研究には与しないという学術会議の方針は日本限定なんでし
     ょうか。


このように甘利明氏は、あたかも日本学術会議が中国の軍事研究に協力しているかのような「国会リポート第410号」の言説を改めたわけではありません。

2020.10.12.付「国会リポート第413号」では「『積極的に協力』と云う表現が適切でないとしたら『間接的に協力していることになりはしないか』と改めさせて頂きます」と居直って、相変わらず学術会議批判の文章を連ねています。 これを牽強付会と言います。

事実でないことを事実として書いたことへの反省はまったくありません。



一人前の社会人であれば、自分の考えを発表する前に、発表しようとしている内容にまちがいがないかどうか、自分でチェックをします。甘利明氏はなぜ日本学術会議と中国との関係について発言前チェックをしなかったのでしょうか? 思い込みによる発言をしてしまう軽い輩が騒々しい時代です。

菅首相の学術会議会員候補任命拒否は日本学術会議法違反になります。このことの追及や議論なくして、学術会議を俎上に載せる輩が勢いづくとは‥‥。

なお、甘利明自民党税制調査会長が日本会議批判をしている学術会議と中国との関係について、BuzzFeedNews ← クリック)毎日新聞( ← クリック)がファクトチェック記事を掲載しています。ご覧ください。


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