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「狭小邸宅」 新庄耕

2013-06-28 | 読書

大学を出て、僕は不動産会社に就職した。都内、城南地区で、建売住宅を売るのを専門とする会社。とても狭い土地に三階建て、でも東京なので七千万とか八千万とかする。

売りたい会社と迷う客との駆け引き、営業の一人一人に課せられた厳しいノルマ、などなど業界の過激な(えげつない)内幕がこれでもかと続き、僕は成果も出せず、上役からは暴力を伴う叱責も受けるが、あと少し頑張って仕事に見切りをつけるつもりのところで、売れ残っていた物件が偶然売れる。そこから自信がつき、気が付いたら前向きになってはいたが、人から、「金にたかって欲にまみれる人生」と指摘される。

それでも行くしかないじゃないか。行けるところまで。たとえその先には破滅しか待ってなくても。。。。

いゃあ、業界の内幕ものとてし読めば、参考になることもたくさん。相手の手の内を知っておくだけで、下手な買い物をしなくてすむ。不動産の売り買いは一生のうちに僅かの体験、縁のない人だっている。

そのわずかな体験から得た教訓を息子たちに教えてやるつもりだったのに、さっさと買ってしまった。値切ればよかったのにと今さらながら残念。先日ちょっと聞くことがあって担当者に電話したら、電話の応対だけで、格負けしそう。まして世間知らずの息子に置いておや。

素面じゃ家を買えない、客をのせてその気にさせる。押しの一手、いゃあ、相手は売るプロ、こちら買う素人、とても太刀打ちできないことがこの小説で分かった。恐ろしや。

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