著者は50代くらいの人でしょうか。初め文筆業、現在はアニメ、映画、ゲーム、J-popなどのコンテンツ制作にかかわるそうです。
どう呼べばいいのでしょうか。メディアクリエーター・・・アイデアを作って売る?
地方のばあちゃんは想像するだけです。
世界遺産とは、1972年にユネスコ総会で決められた条約に基づき、人類が共有すべき普遍的な価値を持つ文化遺産、自然遺産、複合遺産を指定したもの。先月末までで1,121件が指定されているそうです。
海外旅行のパッケージツアーは、その世界遺産を何か所周るかが売りだった。だったと過去形で言わなければならないのが悲しい。
世界遺産と言われれば、せっかく高いお金と時間を割いて見に来たのだから、無理やりにでも感動しなければと自分に言い聞かす。ガイドブックも人の旅心に水を差すようなことは書いていない。
なあんだ、こんなものと思っても旅の同行者の手前、感動した振りする。それでちょっとは感動するけれど、やっぱりなんか釈然としない。
分かる、分かる。そのもやもやした気持ち、私もそうだったからと力づけてくれる本です。
私の旅行の数など大したことないけれど、がっかりするのも体験のうち。そうそう、そうだったと旅仲間と語り合うように、楽しく読みました。
この中で、スペイン、バレンシアのラ・ロンハ・デ・ラ・セダは見応えを求めて行ってはいけないそうで。確かにこの本読むまで、世界遺産だってことも忘れていた。
15世紀から16世紀にかけて建てられた絹の取引所だそうですが、狭いのですぐ見終わります。
そのあと搭、そして海の領事の広間、オレンジの中庭と世界遺産はこれだけだそうです。
領事の広間から中庭を見る。全部で10分くらいの見学。あまりにあっけない。これのどこが世界遺産って・・・でも申請しないことには指定されないので、指定の要件充たした価値ある建造物とは思いますが。私にその価値を受け止めるだけの能力がないということで。
オレンジは日よけで実は酸っぱすぎて食べないそうです。
世界遺産より、隣接するスペイン最大級の市場「メルカード」。こちらに感動した。品数の多さと安さ。オレンジのジュースが1ユーロ。
ここでいろいろ買い物しました。
このブログの自己紹介の写真、バレンシアの旧市街に入る手前の門、セラーノスの搭の前で。2016年6月、朝の9時頃でこの陽射し。
モンサンミッシェルの名物は卵を泡立てて焼いたオムレツ。歯ごたえも味もないそうで、ご当地グルメを期待してはいけないそうで。
確かに、そうおいしいものではありませんでした。ものすごく人が多くて、ツアーの男性が一人いなくなって、添乗員さんが大変でしたが、見つけてもらった本人は全然悪びれてなくてと、関係なことが印象に残っています。
全体の印象は金毘羅さんみたいだなと。見学場所まで狭い石段を上がる。両側は土産物屋とレストランがぎっしり。
夕方、対岸のホテル前から。
フランス北西部、ノルマンディーの地の果て。遠くにポツンと三角の島が。次第に大きくなる。どこまでも広がる牧草地。。。。
その他に印象的な話として、私は行ってませんが、ナスカの地上絵。
セスナ機に乗って上空から。
ほらあそこ、あそこに鳥の形がと言われても砂漠になんかもやもやしたものが見えるだけで、全然分らない。見やすいように飛行機は右に左に傾きつつ旋回、気分悪くて戻す人複数。そのためのビニール袋も前もって渡されるそうです。
だから行かない方がいいなんて、ガイドブックには書いてない。これは行った人だけが分かる迫真の報告。
他のどの場所の紹介も、臨場感あふれ、本当に行った気分になれる素晴らしい本と思いました。世界遺産だというだけでありがたがらずに、自分の五感を駆使していいことも悪いことも体験しよう。旅の醍醐味はそこにあり。著者はそう言いたそうです。
写真もきれいでおすすめ。
著者が選んだ、世界遺産で行くべき5件は、ペトラ(ヨルダン)、サンクト・ペテルブルク、カナイマ国立公園(ベネズエラの奥地のテーブルマウンテン)、九塞溝、バチカン市国だそうです。
あなたは何か所行かれましたか。私は2か所です。そして2か所で終わりそうな予感。もう体力が続かない。
その他に世界遺産級の5つとして、死海、マンハッタン、クアラルンプールのペトロナスツインタワー、フランス南西部のルルド、クリスタルの洞窟(メキシコ)があげられています。
ルルドはこんなところです。
2014年6月、フランス、ルルドの蝋燭行列1 - YouTube
この行列がやがて教会前の広場に集まり、春から秋の終わりまで毎夜のミサがあります。
貧しい少女の前にマリアが何度も現れ、その場所から沸く水で病気が治ったということで、世界中からご利益にあずかろうと巡礼者が集まってきます。街はホテルだらけ、教会は比較的新しく、雨除けの為か、巨大な地下空間もあり、一大ビジネスになっているのかなあと、罰当たりな私は考えました。
参加者は手に手にろうそくを持ち、前の大きなたいまつの動きに合わせて、聖歌を歌いながら左右に振るのです。
これはツアーのコースにはなくて、夜、希望者だけ添乗員さんが連れて行ってくれました。参加者はご夫婦一組、あとは全員女性で全体で8人くらい。あとは各自でホテルへ帰ってくださいと言われ、初めはみんなでテラスから見下ろしていたけど、私だけ前に移動して写真撮って戻ると誰もいません。
あの時は焦った~
今ならスマホがあるけど、あの時は添乗員さんに貰った絵図だけが頼り。もう暗くなっているし、ホテルはどれも同じ造りだし、何よりも道には物乞いがいっぱい座って通行人を見上げているのが怖かった。
ホテルから石段を下りて左へ曲がったから、今度は逆に戻って右側に石段を見たらそこから上がる。。。。と必死でした。何とかホテルに戻れましたが、10分くらいがとても長く感じました。
翌朝、「あの人なら大丈夫」と他の方たちは一緒にホテルへ帰ったそうです。そうです、旅はすべて自己責任。今思い出しても胸がバクバクする。
ルルドのろうそく行列、ビジュアル的には面白いけど、何となく新興宗教じみてるかなあと。しかし、聖水を飲んで体が治るという教えに縋りつきたい人の気持ちもわからないといけませんね。列の最初は車椅子の人たち、迷信というのは遠慮したいのですが、思い込みの強い少女とピレネー山脈麓のいい水とが合わさっての一大観光地。
いろいろあったけど、今振り返れば、行ってよかったと思っています。
もう海外旅行に行くこともないかもしれませんが、旅行はいいこと悪いこといろいろあっても、見聞が広まり、心はリフレッシュしていいものだなあと思いました。