里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

遅くなった原木シイタケの本伏せ

2024年06月29日 | 山菜

今年1月末に植菌し、仮伏せ していた原木シイタケを本伏せしました。
6月半ばくらいを想定していましたが、大分遅くなりました。
それは、一向に梅雨入りする気配がなかったからです。本伏せするには湿度の確保が必要なのです。
当地はこの時期としてはおそらく過去最少と思われる降水量。まさに日照りでした。
湿気を好むシイタケにとっては災難とも言える天候でしょう。
これが植菌した後、仮伏せしておいたものです。


ようやく梅雨入りしたものの依然空梅雨の様相ですが、何時までもこのままにも出来ないので本伏せすることにしました。
仮伏せする際には散水し、こもとビニールで覆いをしました。さらに途中一度チェックし再び軽く散水。
その後は放置したままだったので少々不安でした。
ビニールを剥ぎました。こもはまだ湿気っています。


今年植菌したのは21本と僅かです。こもを剥ぎました。


太い原木に白い菌糸が見えたのでホッと一安心。


切断面は白くなり、シイタケ菌はそれなりに繁殖しているようです。


一方で、乾いて菌糸があまり出ていない原木もあります。
途中、再度散水しておけばと今さら思っても無駄というもの。
雑菌が出ているものも若干。


ほだ場は古いほだ木を整理し、この植菌した原木を本伏せするため大分前から準備していました。


運搬車に積み込み運びます。


この年代物の運搬車は一昨年中古エンジンに付け替え、昨年再び修理し、現在の調子はまずまず。
無理せずゆっくりとしたスピードでほだ木の置き場まで運搬しました。
この場所は半日陰で雨も適度に当たるためほだ木置き場にしています。
伏せ込みの方法は何時ものように合掌式です。


原木の切り口がこのように菌が吹き出ているものはまずは大丈夫だと思います。


一部、菌の吹き出しがイマイチのものがありますが、何はともあれこれで本伏せは完了です。


今年、来年と二夏を越し、植菌3年目の春から本格的に穫ることが目標です。
全体ではこのような配置になりました。


左の列手前が植菌2年目の原木、左奥が植菌3年目になる原木。右の列手前が今回本伏せした植菌1年目の原木、そして植菌4年目の原木、右奥が整理して残した植菌6年目の原木です。
右の外れに僅か見えるのは整理した原木のうちまだ穫れそうな原木を寄せたもの。
今年の異常乾燥がどれほどの影響があるのか小生には分りません。
灌水できる環境にない半放任なので、ほだ木には何より染み渡る雨が欲しいところです。


ハチクが盛り今年は表年か

2024年06月11日 | 山菜

ハチクが盛りになってきました。
孟宗竹のタケノコが終わるとほどなくハチクが出てきます。
5月20日過ぎから出始めたので昨年並、例年よりは数日から1週間早い。
出始めは竹藪の中ではなく、このような日当たりの良い周囲の竹の生えていないところから出てきます。


ハチクは地下茎が浅く遠くまで伸びるため、思いがけない所に出ることもあります。
育苗ハウスの中にまで根が伸び面倒になったことがありました。
但し、これらの早く出るハチクは太りが十分でないものが多い。
竹藪の中に出るようになれば盛りで良いものが採れます。
しかし、今年は出方が緩慢でした。雨が極端に少なく異常乾燥だったからです。
ようやく5月末になり多少纏まった雨が降ったのでよく出るようになりました。


昨年裏年だったので順番から言うと今年は表年に当たります。
普通、筍と言えばそれだけで孟宗竹のタケノコのことを指します。
ハチクの場合は敢えてハチクの子とは言わず、タケノコでもハチクです。
これは当地だけでなく多くの所がそうかもしれません。
昔はハチクとどのように書くのか知らず、葉竹、破竹など勝手に想像していました。
淡竹と知ってからもやはり馴染みがなくハチクと表記しています。
採るのは孟宗竹のように土を掘る必要はなく、地上部を切るだけなので非常に簡単です。
このハチクを採ってみます。


落ち葉などを少しどけて鎌で根元から刈り取ります。


ハチクは孟宗竹のタケノコに比べ細く皮も滑らかです。


皮は赤みを帯び孟宗竹のような産毛が少なくするっとしています。採ってみます。


良いハチクはやはり孟宗竹と同様にこのように元が太いもの。


採り遅れて丈が伸びれば硬くなってきます。伸びすぎたものは倒してしまいます。


細いものも採らずに早めに倒してしまいます。
伸びないうちは軟らかいのですが、短すぎればボリュームがなく、これでは勿体ない。


穫り頃はやはり30~40㎝くらいの時。
専ら助っ人が採っていますが、小生も少し採ってみました。まずまずのハチクです。


ハチクはえぐみが少なく、そのまま料理に使う方もいます。
但し、一旦は茹でてしまうのが一般的。
孟宗竹の筍のように米ぬかなどを用いなくともそのまま茹でるだけで大丈夫です。
これは助っ人が茹で我が家の分と置いていったもの。


タッパーなどに入れ水に漬けて冷蔵保存すれば暫く持ちます。
汁物、煮物、炒め物など用途も広く、孟宗竹よりこちらを好む方もいます。もちろん小生はどちらも好きです。

ウルイに続いて山ウドを採る

2024年05月10日 | 山菜

春の山菜が次々に採れていますが、これはウルイ。


これは天然のウルイではなく栽培しているウルイです。
ウルイは通称で、正式名はオオバギボウシ。但し鑑賞用ギボウシは食用には向きません。
今年はほぼ例年並の4月末から採り始めました。ウルイは2カ所にあります。
大きな葉が目立ちますが、食べるのは主に茎と葉柄。


葉を食べる場合は、このように葉が展開する前の軟らかいうちです。


こちらは別の場所のウルイ。


葉が開いたものは、葉の部分は大方除いてほぼ葉柄だけにし食用にします。


当地の野山にはこのような天然のウルイも生えています。


天然のウルイは栽培ウルイのように伸びないので、今は採ることは殆どありません。
ウルイは味に癖がなく、僅かにぬめりが感じられる程度です。
お浸し、炒め物、和え物、汁物など様々に利用できます。
こちらは山ウド。


ウルイより1週間ほど遅れて採り始めました。こちらもほぼ例年並です。
山ウドも2カ所にあります。


このウドは、昔知人から株を分けていただいたもので、30数年になるでしょうか。
その方はもともと軟化ウドを栽培していた方で、この時期になると懐かしく思い出されます。
その後、このウドの株を何人かに分けてあげたので、近隣にも大分増えました。
これは「坊主」といういわゆる山ウドの栽培に使われる系統で、天然のウドより茎が太い。
茎を伸ばすにはもみ殻などを掛けることが多いのですが、小生は昔ながらの土盛りです。
こちらは別の場所。日陰になる関係でやや遅れて出てきます。


このくらいになったところで採っています。

葉が少し伸び出したら採ってよいのですが、小生は葉が完全に展開したくらいが好みです。
土をよけて、根元から切り取ります。


近くの山には天然のウドも出ます。時期は少し遅く茎は細くて真っ青です。
早くから山ウドとして店に出ているものはハウスに伏せ込み茎を長く伸ばしたものです。
我が家の山ウドはほぼ天然に近いので香りははるかに強く、人によっては好まないかもしれません。
小生は香り大好き人間なので葉が展開し青味のある香りの強いくらいが好ましい。
一番は味噌漬けです。
皮を薄く剥きスライスしてから水にさらしてアクを取り、その後味噌をまぶします。
短時間でもすぐ食べられ、一晩さらに数日置いてもそれぞれの味が楽しめます。
これは数時間経ったばかりの味噌漬け。これで一盃頂ければ至極。


山ウドは茎だけでなく葉の天ぷらも美味しい。味噌汁にも合います。
おまけでこれは木の芽。即ち山椒の若葉。


我が家の近くにある天然のサンショウです。
里山では春には様々な木の芽が吹き出してきます。しかし、不思議なことに木の芽と言えば山椒の芽のこと。
しゃぶれば舌が痺れるような感覚と強い香り。
なかなか利用するのが難しいのですが、近年は冷や奴の薬味にし晩酌の摘まみにしています。
助っ人がニシンの山椒漬けに挑戦したいと言っていましたがどうなったか。






タケノコ今年は表年か

2024年05月07日 | 山菜

孟宗竹のタケノコの収穫が続いています。


今年は4月20日頃から出始めました。
異常に早かった昨年ほどではないものの例年より1週間ほど早いようです。
但し、採れ始めのタケノコは竹藪から外れて出ることが多く品質的にはイマイチなので、4月25日過ぎからが本番。
ピークは過ぎたようですが、タケノコも出る場所によって早晩あるため、20日間以上採れ続けます。
4月中旬以降気温が高く雨が少ない天候ながら順調に採れています。
今年は表年と言われていますが、確かに当たっているように思えます。
小生がまともに田んぼの作業とかち合っているため専ら助っ人が採っています。
それでも、早朝に竹林を少し見回ってみました。結構良いものが出ています。


良いタケノコはこのように根元がどっしりと太く軟らかそうなもの。


タケノコ掘りも力任せに掘れば良いというものではなく、要領があります。
タケノコの根元には僅かながら反りがあるので、表面の土を少しどけ反りの内側から鍬を入れます。このタケノコなら左手前。


反対側から鍬を入れたのでは一発で綺麗には掘れません。
当地にもイノシシが出没するようになって以来、被害が甚だしくなりました。
タケノコが出る前から食い散らかし、人間がタケノコを掘る頃はイノシシのお零れ頂戴と言った有様に。
ところが状況が変わったのは3年前あたり。
イノシシの侵入が無くなったわけではないもののはっきりと被害が少なくなりました。
今年はより少ないようです。
野生のイノシシが少なくなったのは豚熱(豚コレラ)が発生したからではないかと言われています。
タケノコに限らず他の田畑への侵入も減少しました。
真偽のほどは分りませんが、この程度で推移するならやむを得ないかもしれません。
我が家で一番良いタケノコが出る辺りから採れてきました。


地力があるためか見えている部分よりはるかに深くから伸びています。


しかし、タケノコが沢山採れれば処理しなければなりません。
昔は、親戚、知人に多数配ったものです。遠方には宅配で送りました。
しかし、今は生のタケノコを下手には配れません。手間が掛かりゴミが出ると嫌がられます。
したがって、採るのは良いタケノコだけ。このような悪いものはその場で踏み倒します。


伸びすぎたものも同様。これくらいが限度でしょう。


もっとも掘ったタケノコは時間が経てば鮮度が落ち味も落ちてきます。直ちに茹でるのが一番です。
助っ人も採ったタケノコは即茹でるようにしています。


親しい方に配るのは専らボイル済みのタケノコ。
これなら手間いらずで美味しいタケノコが味わえるので喜ばれます。




水辺の山菜ワサビ、野ゼリ、クレソンを採る

2024年04月29日 | 山菜

かつて、この時期にはわさび漬けを心ゆくまで楽しみました。
我が家の原木シイタケのほだ場にしている所にワサビが生えています。
今月半ばから花が咲いてきました。


これは沢ワサビを移植し畑ワサビにしようとしたもので、わずか定着しました。
しかし、なかなか増えてはくれません。ただし、このワサビを見て生育の進み具合が分ります。
本命の我が家の沢ワサビは遠くにあるため日常的には行けません。
そこでこのワサビの花が盛りになった頃を見計らって沢ワサビの所に行ってみることにしています。
花が咲いている頃がワサビの旬だからです。ほぼ例年並と言ったところでしょうか。
残念ながら殆ど増えていませんでした。


これは天然のものではなく50年ほど前に植えたもので、かつて今の時期は一面が花で覆われました。
ここは北向きで小さな沢からは澄んだ湧き水が流れており、ワサビが育つのに適した環境です。
春にここを訪れるのが楽しみでもありました。
それが10数年前から当地にまでイノシシが侵入するようになり、ワサビ周辺を荒らし回りました。
さらに台風による豪雨被害で壊滅状態に陥りました。
僅かに生き残ったワサビが復活する兆しは見えてはいたものの、昨年から殆ど増えていないようです。


ただ、新たにイノシシが侵入した様子もなく、除草をする程度にしてそっとしておこうと思います。


可哀想なので株ごと採るのは止め、少しだけ採って味見程度のわさび漬けにしました。
かつてのように好きなだけわさび漬けにするのはもう難しいかもしれません。
一方、ワサビの生育に適した場所には他の水辺の山菜も生えます。
これは野ゼリ。


セリは春の七草で正月料理に使われますが、天然の野ゼリを採るのは4月から5月。とりわけ、当地では今が旬です。
野ゼリは水路や湿地などにごく普通に生えてはいるものの、やはり水の澄んだ所の野ゼリが好ましい。
ここはワサビのある小さな沢の下方のなだらかになる所です。野ゼリが纏まって生えています。


こちらは採るには十分過ぎるほど育っています。
天然の野ゼリは栽培セリのようには伸びません。その代わり香りが強い。


栽培セリに慣れた人は野ゼリは香りが強すぎ嫌うかもしれません。
小生も幼少の頃は苦手でした。今は香り大好き人間なので大いに楽しめます。
これはクレソン。


クレソンは通称で、和名はオランダミズガラシ、英名はウォータークレス。
湧き水が流れる所にあるワサビや野ゼリの側には大概クレソンも生えています。
クレソンの花もワサビの花が咲く頃に咲きます。


独特の辛味や苦味があり、料理の付け合わせによく使われます。
しかし、あまり積極的に食されることは少ないかもしれません。
このように、ワサビ、野ゼリ、クレソンが同時に生えている様子が見られました。


大ぶりの葉のワサビの周りに野ゼリ、中に小さな白い花を咲かせているのがクレソン。