本画仙 色紙
紅梅の墨彩画に、「人生七十古来稀」と書き加えてみました。
年が明け、私は古希を迎えることとなりました。数え七十歳です。
古希は、唐の詩人杜甫の詩の一節、「人生七十古来稀なり」に由来するといいます。昔々の七十歳と言えば今の百歳にも相当するでしょうか。
そもそも杜甫はこの詩の中で「自分の往くところ酒代のツケはどこにでもあるから珍しくもない。人が百歳まで生きるのは古くから甚だ稀なことだ。だから、せめて生きている間は酒など飲んで楽しく暮らしたい。」と言うのが本来の趣旨だそうですから、長寿を祝す古希(古稀)とはやや異なるようです。
さて、よく「私は昨日古希になりました」とか「今月古希を迎えます」という言う方をされる方がいます。多分に満70歳の誕生日のことを指しているのですが、それでいいではないかと言ってしまえばそれまでですが、ちょっと違う気がします。
実際にお祝いするのは誕生日でも一向にかまいませんし、その方が多いかもしれませんが、古来からの古希、喜寿、傘寿、米寿といった言い回しをする場合は、数え年でないとおかしいのではないでしょうか。そうでなければ、満○○歳という言い方をするのが正しいと思います。
ところで、私には古希について。少々の思いがあります。
というのは、父がまさに古希に亡くなったことです。その年を迎えた時には、すでに余命何ヶ月という病床にありましたから、祝うという状況にはありませんでした。そして、満69歳の誕生日が過ぎて程なく逝ったのです。それから丸24年が経過し、私自身が同年になったのですから多少の感慨があります。
ちなみに。祖父は私が物心つく前に亡くなり、古希を迎えることはありませんでした。
そんなわけで、かなり前から古希をなんとなく意識し、それを超すのが目標の一つになっていました。幸い、今のところ致命的な病は抱えていないので、不慮のことがなければ乗り越えられそうです。
穏やかだった3が日のような日々が1年間続いてくれることを祈りたいものです。