1月14日~15日はいわゆる小正月です。15日を小正月とすることが多いかもしれませんが、行事的な感覚でいうと、この辺りでは14~15日です。
1月14日の夕方に行われるのが「鳥追い」。「鳥追い」とは、文字通り、鳥を追い払うこと。農村では害鳥に荒らされ農作物が被害を受けるのは困ったことなので、「鳥追い」でもって豊作の祈願をしたわけです。
といっても、今や、実際に行っている家はわずかでしょう。我が家はそのわずかなうちの一軒です。
正月の松飾りをはずし、しめ縄で家の裏山の御神木とおぼしき杉の木に括り付け、納めます。そして、松飾りを納めに行くときに、大声で「ヤー、ホイ、ホイ、ホイ」と繰り返し叫び、鳥を追い払うのです。子供の頃、父に連れられて「おまえも叫べ」と言われ、必死に叫んだのが懐かしく思い出されます。しかし、松飾りを納めるのは同じですが、いつからか大声で叫ぶのはやらなくなりました。
当地方で、一般的に行われているのは「どんと祭」です。神社の境内や広場で松飾りなどを燃やす風習で、方々で行われています。私もほんの一時期ですが、それに参加したことがあります。たまたまですが、あまり良くないことがあったりして精神的にも落ち着かず、もとの「鳥追い」に戻りました。
今日は、午後も早いうちに松飾りを納めました。
まず、松飾りをすべて下ろします。昨年の古い神棚の飾りものは、大晦日に山の神のほこらに納めているので、たいした量ではありません。
御神木役の杉の木は、以前の木が太くなりすぎて括り付けるのが困難になり、しばらく前から今の木に変わりました。
古い松飾りはすっかり朽ちていますが、昨年のはしめ縄がまだ残っています。
その上に今年の松飾りを括り付けます。
「鳥追い」の「ヤー、ホイ、ホイ、ホイ」は誰にも聞こえないような小さな声で言います。これを大声で言ったりしたら、気が触れたと思われてしまいますから。
これでは鳥を追い払うことにはなりませんが、心の中では色んなことを念じているのです。
床の間の掛け軸も通常のものに掛け替えました。生け花はそのまま残しておきます。多分、梅が開花するまで持ってくれると思います。