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■【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】6-02 死中求活 背水の陣であたる~生き延びる方策や道を求める~
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四字熟語というのは、漢字四文字で構成された熟語であることはよく知られています。お恥ずかしいながら、その四字熟語というのは、すべてが中国の故事に基づくものとばかり思っていましたが、実はそうではないことを発見しました。
経営コンサルタントという仕事をしていますが、その立場や経営という視点で四字熟語を”診る”と、今までとは異なった点で示唆を得られることが多のです。「目から鱗が落ちる」という言葉がありますが、四字熟語を講演や研修の場で用いたり、自分の仕事や日常会話に活かしたりするようにしましたら、他の人が私を尊敬といいますとオーバーですが、自分を見てくれる目が変わってきたように思えたことがあります。
四字熟語の含蓄を、またそこから得られる意味合いを噛みしめますと、示唆が多いですので、企業経営に活かせるのではないかと考えるようにもなりました。これを「目鱗経営」と勝手に造語し、命名しました。
以前にも四字熟語をご紹介していましたが、一般的な意味合いを中心にお話しました。このシリーズでは、四字熟語を経営の視点で診て、つぶやいてみます。以前の四字熟語ブログもよろしくお願いします。
■ 第6章 仕事上手になる法
論理思考で現状分析をキチンとし、方向性を明確にしてからPDCAサイクルを回し始めても、実際に行動に移したときに旨くいかないことがあります。やりたいという気持ちはあっても、いざ行動に移そうとしたときに、動けないこともあります。
相手の人を説得したり、納得させたりしても、必ずしも相手は期待通りに動いてくれないことがあります。日常生活においてだけではなく、経営者・管理職にとっては、社員や部下が動いてくれないというのは深刻な問題です。
人の価値観というのは、多様性に富んでいます。論理思考で相手を説得したからといって、相手は納得したわけではありません。一つの価値観だけでは、相手は納得してくれません。人は、理屈だけで動いているわけでもなく、感情もあります。
うまくいかない原因として、やろうとしていることにコツやカンというものがあったり、それを行うための技術が必要であったりして、その習得ができていないことでうまく行かないことがあります。コツの飲み込み方が上手な人もいれば、そうでない人もいます。
このような時に、役立つ四字熟語がありますので、ご紹介します。ここでは、四字熟語の中から、相手を理解し、一方、相手にその気になってもらうには、どうしたらよいのか、心に訴えるヒントを感じ取っていただきたいです。
*
■6-02 死中求活 背水の陣であたる
~ 生き延びる方策や道を求める ~
「死中求活(しちゅうきゅうかつ)」とは、訓読しますと「死中に活を求める」となります。「死中」とは、死を待つしかない切羽詰まった状況を指します。一方「求活」というのは、「活」すなわち活路のことで、「求」は、字のごとく「求める」ですので、「求活」は、問題・課題の解決策や生き延びる方策や道を求めるということになります。
私たちに馴染みがあり、史記に出てきます「背水之陣(はいすいのじん)」という四字熟語と同じような意味です。中国・漢の韓信(かんしん)が、川を背にした陣形をとるというそれまでの常識的な陣取りを覆した陣形をとり、敵国・趙の軍勢に勝利を収めたという故事を基にこの四字熟語が生まれました。
後ろに川や絶壁を控え、自分自身の退路を断つことにより、一歩も後に引けない困難な状況を作ったおかげで、全員が必死になり、全力を尽くした結果事を成せるという戒めです。すなわち、「火事場のバカ力」、絶体絶命的な状況を作ることにより、人間は持てる力以上の力を発揮出るものであるというのです。
吉田松陰が、「至誠にして動かざる者は、未だ之れ有らざるなり」と塾生に言っていたと言われますが、一所懸命に努力してもなしえないのは、まだその努力が十分でないからであるという教えです。自分は、背水の陣と思って懸命に努力したつもりでいることが多くありますので、松蔭はそれを戒めたかったのでしょう。
もともとの出典は「孟子 離婁」です。
是故誠者、天之道也。思誠者、人之道也。
至誠而不動者、未之有也。不誠、未有能動者也。
思想家である孟子は、孔子の教えを形而上学にまで昇華した天才として知られています。「性善説」を唱えていることからも、孟子から学びたいと考える人が多いのではないでしょうか。
企業の命は三〇年と言われますが、経済環境による影響を受けたり、内部の諸事情に拠ったり、商品のライフサイクルなどいろいろな要因で、経営には波があります。時には、わずかの資金の工面ができずに黒字倒産する企業もあります。
何とかやりくりができるうちはよいのですが、「絶体絶命(ぜったいぜつめい)」、背後は断崖絶壁という状況に陥り、ヤミ金融を頼りにしなければならない窮地に追い込まれることもあります。
このように絶体絶命的な状況の中で、何とかしようと必死に活路を求め、解決していこうと模索することを「死中求活」と言います。
そのような状態になってから、コンサルタントに力を求めてくる経営者もいますが、そこまで追い詰められた状態では、さすがの辣腕コンサルタントでもほとんど解決することはできないでしょう。
最後の最後に至る前に、専門家に相談することが大切です。
しかし、さらに大切なことは、「勝って兜の緒を締めよ」すなわち、自分の会社がうまく行っているときに、甲冑のひもを締め直すことが大切です。また、そのようなときには多少なりともゆとりがありますので、いつ襲われるかわからない経営者の敵に対して備えをするだけのゆとりがあるはずです。
社員研修を実施して、社員のレベルを高めておき、いざ敵が攻めてきた時でも上手に対処できれば痛手も少なくて済みます。場合によると予見ができて、困った状況を回避できるかもしれません。
企業が土壇場で生き延びることができるかどうか、それが経営の基礎体力により結果が異なるのでしょう。基礎体力は「当たり前のことが当たり前にできる」ように平素から体力作りをしておくことが肝要です。それには自己流でやるのではなく、外部の経営のプロに依頼することによりホンモノの基礎体力を身につけることができることを、私は経験上、多くを見てきています。
「風前之灯(ふうぜんのともしび)」というのは、人生のはかなさのたとえとしてしばしば用いられますが、猫にネズミが追い詰められた状態から「窮鼠噛猫(きゅうそごうびょう)」という四字熟語もあります。前述の火事場の馬鹿力ではないですが、私自身も経営コンサルタントとして、初めて営業管理職を相手に研修講師を担当したときのことです。演壇の前に立つのがあまりにも恐ろしく、身体が硬直し、口は渇き、完全に上がりきっていました。かといって、上がってしまっていても、初めての研修講師体験などと言ってしまっては、受講者からなめられてしまいかねません。
そこで「営業のベテランの皆様に、いろいろと知恵を学んでいただくための研修準備にあたりまして、目的を絞りました。現場のことは皆さんの方が多くを体験してきています。私が下手な準備をするよりは、いろいろな企業を見て、体験してきましたので、それを基に、お話させていただきます。他社の事例を疑似体験していただくことにより、何かを感じ取っていただければ幸いです」と切り出しました。
続いて「夜も寝ないで、昼間うつらうつらしながら準備を進めたおかげで、体重も減らすことができました。これもひとえにこの研修のおかげです」と繋げました。これで、会場の雰囲気も和み、私の気持ちも落ち着くのがよくわかり、半日の初研修は、まずまずの体験となりました。
人の前で話をする機会が、私も仕事柄多いですが、多くの読者もその様な機会があると思います。中には、そのようなときに上手に対応できる人もいると思いますが、大半の人は上がりながらやっていると思います。赤面症で上がるのが当たり前のような私の体験がお役に立つかどうかは解りませんが、ご紹介しておきます。
まずは、事前準備です。私の場合には、パワーポイントを利用することがほとんどです。その時に、話す順序に従って、アニメーション機能を使います。画面に新たに表示されたことを基に話せばストーリー展開を気にしないで講演をすることができます。これが自分自身に安心感を与えてくれます。
アニメーション機能を使って準備をするのには時間がかかりますが、安心して講演できるというメリットの方が遙かに大きいと考えています。それをもとにリハーサルを繰り返します。画面を印刷しておき、このフレーズや図版が出てきたら、このことを話すというメモを大きめの字で書き込んでおきます。このときに自分が話す言葉を書くのではなき、キーワードを大きく書いておきます。それを話す順番が来たときには、キーワードで話す内容を思い出せますので、心強いのです。準備を充分にしておきますと「準備万端、後はリハーサルにあわせて、肩の力を抜いて話せば良い」という気持ちで臨みます。
上がり防止に王道はありません。準備することが死中求活に繋がります。
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論理思考で現状分析をキチンとし、方向性を明確にしてからPDCAサイクルを回し始めても、実際に行動に移したときに旨くいかないことがあります。やりたいという気持ちはあっても、いざ行動に移そうとしたときに、動けないこともあります。
相手の人を説得したり、納得させたりしても、必ずしも相手は期待通りに動いてくれないことがあります。日常生活においてだけではなく、経営者・管理職にとっては、社員や部下が動いてくれないというのは深刻な問題です。
人の価値観というのは、多様性に富んでいます。論理思考で相手を説得したからといって、相手は納得したわけではありません。一つの価値観だけでは、相手は納得してくれません。人は、理屈だけで動いているわけでもなく、感情もあります。
うまくいかない原因として、やろうとしていることにコツやカンというものがあったり、それを行うための技術が必要であったりして、その習得ができていないことでうまく行かないことがあります。コツの飲み込み方が上手な人もいれば、そうでない人もいます。
このような時に、役立つ四字熟語がありますので、ご紹介します。ここでは、四字熟語の中から、相手を理解し、一方、相手にその気になってもらうには、どうしたらよいのか、心に訴えるヒントを感じ取っていただきたいです。
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■6-02 死中求活 背水の陣であたる
~ 生き延びる方策や道を求める ~
「死中求活(しちゅうきゅうかつ)」とは、訓読しますと「死中に活を求める」となります。「死中」とは、死を待つしかない切羽詰まった状況を指します。一方「求活」というのは、「活」すなわち活路のことで、「求」は、字のごとく「求める」ですので、「求活」は、問題・課題の解決策や生き延びる方策や道を求めるということになります。
私たちに馴染みがあり、史記に出てきます「背水之陣(はいすいのじん)」という四字熟語と同じような意味です。中国・漢の韓信(かんしん)が、川を背にした陣形をとるというそれまでの常識的な陣取りを覆した陣形をとり、敵国・趙の軍勢に勝利を収めたという故事を基にこの四字熟語が生まれました。
後ろに川や絶壁を控え、自分自身の退路を断つことにより、一歩も後に引けない困難な状況を作ったおかげで、全員が必死になり、全力を尽くした結果事を成せるという戒めです。すなわち、「火事場のバカ力」、絶体絶命的な状況を作ることにより、人間は持てる力以上の力を発揮出るものであるというのです。
吉田松陰が、「至誠にして動かざる者は、未だ之れ有らざるなり」と塾生に言っていたと言われますが、一所懸命に努力してもなしえないのは、まだその努力が十分でないからであるという教えです。自分は、背水の陣と思って懸命に努力したつもりでいることが多くありますので、松蔭はそれを戒めたかったのでしょう。
もともとの出典は「孟子 離婁」です。
是故誠者、天之道也。思誠者、人之道也。
至誠而不動者、未之有也。不誠、未有能動者也。
思想家である孟子は、孔子の教えを形而上学にまで昇華した天才として知られています。「性善説」を唱えていることからも、孟子から学びたいと考える人が多いのではないでしょうか。
企業の命は三〇年と言われますが、経済環境による影響を受けたり、内部の諸事情に拠ったり、商品のライフサイクルなどいろいろな要因で、経営には波があります。時には、わずかの資金の工面ができずに黒字倒産する企業もあります。
何とかやりくりができるうちはよいのですが、「絶体絶命(ぜったいぜつめい)」、背後は断崖絶壁という状況に陥り、ヤミ金融を頼りにしなければならない窮地に追い込まれることもあります。
このように絶体絶命的な状況の中で、何とかしようと必死に活路を求め、解決していこうと模索することを「死中求活」と言います。
そのような状態になってから、コンサルタントに力を求めてくる経営者もいますが、そこまで追い詰められた状態では、さすがの辣腕コンサルタントでもほとんど解決することはできないでしょう。
最後の最後に至る前に、専門家に相談することが大切です。
しかし、さらに大切なことは、「勝って兜の緒を締めよ」すなわち、自分の会社がうまく行っているときに、甲冑のひもを締め直すことが大切です。また、そのようなときには多少なりともゆとりがありますので、いつ襲われるかわからない経営者の敵に対して備えをするだけのゆとりがあるはずです。
社員研修を実施して、社員のレベルを高めておき、いざ敵が攻めてきた時でも上手に対処できれば痛手も少なくて済みます。場合によると予見ができて、困った状況を回避できるかもしれません。
企業が土壇場で生き延びることができるかどうか、それが経営の基礎体力により結果が異なるのでしょう。基礎体力は「当たり前のことが当たり前にできる」ように平素から体力作りをしておくことが肝要です。それには自己流でやるのではなく、外部の経営のプロに依頼することによりホンモノの基礎体力を身につけることができることを、私は経験上、多くを見てきています。
「風前之灯(ふうぜんのともしび)」というのは、人生のはかなさのたとえとしてしばしば用いられますが、猫にネズミが追い詰められた状態から「窮鼠噛猫(きゅうそごうびょう)」という四字熟語もあります。前述の火事場の馬鹿力ではないですが、私自身も経営コンサルタントとして、初めて営業管理職を相手に研修講師を担当したときのことです。演壇の前に立つのがあまりにも恐ろしく、身体が硬直し、口は渇き、完全に上がりきっていました。かといって、上がってしまっていても、初めての研修講師体験などと言ってしまっては、受講者からなめられてしまいかねません。
そこで「営業のベテランの皆様に、いろいろと知恵を学んでいただくための研修準備にあたりまして、目的を絞りました。現場のことは皆さんの方が多くを体験してきています。私が下手な準備をするよりは、いろいろな企業を見て、体験してきましたので、それを基に、お話させていただきます。他社の事例を疑似体験していただくことにより、何かを感じ取っていただければ幸いです」と切り出しました。
続いて「夜も寝ないで、昼間うつらうつらしながら準備を進めたおかげで、体重も減らすことができました。これもひとえにこの研修のおかげです」と繋げました。これで、会場の雰囲気も和み、私の気持ちも落ち着くのがよくわかり、半日の初研修は、まずまずの体験となりました。
人の前で話をする機会が、私も仕事柄多いですが、多くの読者もその様な機会があると思います。中には、そのようなときに上手に対応できる人もいると思いますが、大半の人は上がりながらやっていると思います。赤面症で上がるのが当たり前のような私の体験がお役に立つかどうかは解りませんが、ご紹介しておきます。
まずは、事前準備です。私の場合には、パワーポイントを利用することがほとんどです。その時に、話す順序に従って、アニメーション機能を使います。画面に新たに表示されたことを基に話せばストーリー展開を気にしないで講演をすることができます。これが自分自身に安心感を与えてくれます。
アニメーション機能を使って準備をするのには時間がかかりますが、安心して講演できるというメリットの方が遙かに大きいと考えています。それをもとにリハーサルを繰り返します。画面を印刷しておき、このフレーズや図版が出てきたら、このことを話すというメモを大きめの字で書き込んでおきます。このときに自分が話す言葉を書くのではなき、キーワードを大きく書いておきます。それを話す順番が来たときには、キーワードで話す内容を思い出せますので、心強いのです。準備を充分にしておきますと「準備万端、後はリハーサルにあわせて、肩の力を抜いて話せば良い」という気持ちで臨みます。
上がり防止に王道はありません。準備することが死中求活に繋がります。
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