■■【経済の読み方】何が起こった2016年3月を時系列に見る
世の中の動向は、アラカルト的に見ることも大切ですが、時系列的に見ると、また異なった面が見えてきます。
ここでは、これまでブログ掲載してきました内容を、月単位に、コンパクトにまとめてご紹介します。
※ 月により文字数が多くなりますと、分割掲載することがあります。
◆ 地球温暖化対策への政府計画 2016/03/25
歴史的合意とも言われました地球温暖化防止のための「パリ協定」が採択されてから2016年3月末で3か月が経過したことになります。これを受けて政府が、温暖化対策の計画案をまとめました。NHKの土屋敏之解説委員の番組を核にまとめてみました。
パリ協定の結論は「今世紀後半に温室効果ガスの実質・排出ゼロを目ざす」とう厳しい目標です。中期目標は、2030年までに温室効果ガスを26%削減することです。さらに注目されるのが、長期目標といえます、2050年に80%削減をめざすという内容です。
この目標を達成するために、「家庭部門」、すなわち私たちは日々の暮らしの中で、4割近くを減らさなければなりません。これは、相当に省エネ意識を持たないと実現できませんが、残念ながらその目標を認識している人がどれ程いるでしょうか?
「業務部門」すなわちオフィスやお店といった事務系・サービス業といった分野で39.7%、「運輸部門」で27.4%、すでに対策が進んでいる製造業・工場など「産業部門」では6.6%の削減が求められています。
それを実現するために、政府計画では、次のように述べられています。
1)省エネ機器の普及(2030年までの達成率)
・ LEDなど効率照明(100%)
・ 家庭用燃料電池(530万台)
・ 次世代自動車(50~70%)
2)ライフスタイルの見直し
・宅配の再配達を減らして輸送面のCO2削減
・電源構成により削減
いずれも本当に実現できるのか、非常に難しいことで、まずは一人一人の意識改革を早急に行う必要があります。それには、公知を徹底すること、学校等での教育などから子供を通して親の意識変革に繋げるなど、地道な活動から初めて行くべきではないのでしょうか。
◆ 全人代に見る中国のこれから 2016/03/22
今年の全人代につきましてNHKの加藤青延解説委員がわかりやすく解説していました。それを基に整理してみました。
毎年3月に開催されます「全人代」全国人民代表大会は、一院制議会制度の中国におけます憲法上、国家の最高権力機関および立法機関として位置づけられています。
代表の定数は3000人を超えてはならないと憲法に記載されています。各省・自治区・直轄市・特別行政区の代表および軍の代表から構成されています。その約70%が共産党員です。もちろん、一般国民が選挙によって選べるわけではありません。
開幕初日には、政府代表の李克強首相が、日本で言います施政方針演説にあたる「政府活動報告」を行いました。
今年の全人代は大きく2つのテーマが中心であると言っても過言ではありません。5カ年計画と今年の政策です。
2020年までの5カ年計画では、中期的視点におけます経済体質改革で、当然痛みを伴います。今年の政策は、現在直面しています経済減速にいかに対処するかです。当然のことながら、この両者を推進するための具体策となれば、両者相容れない面が出てきます。
「2020年のGDP・国内総生産などを、10年前の2010年の2倍にする」というかつての池田総理の所得倍増計画を掲げました。しかし、これを実現するために最低でも6.5%という高い成長を維持しなければなりません。
一方で、「ゾンビ企業対策」といわれます国営赤字企業の対策が吃緊の課題です。ところが、これを実施すれば180万人の失業者が生まれてしまいます。並行して、サービス部門やイノベーション送信のための投資中心の政策、環境問題への取り組み、都市と農村の格差解消等々を、経済減速化で実施しなければならず、1000万人の人への影響が出るという予測もあります。
しかも「海洋強国」をめざすと明言していることから軍事費の増大は必定です。
日本をはじめとする近隣諸国との摩擦はさらに増すでしょう。その結果、近隣諸国は、アメリカに接近して対抗せざるを得なくなり、それは決して中国にとっても好ましいことではないはずです。
中国は、いずれ経済面でもアメリカを抜いて世界最大の経済大国になるでしょうが、大国意識が、リーダーとしての責任を無視しますと、世界から孤立しかねません。インドに追い抜かれる時期が早く来ることになるという危機意識を持つべきでしょう。
◆ 一週間を見るpoint 2016/03/21
マイナス金利時代とか、人口減少により地方過疎化問題とか、マイナス面が取りだたされています。後者におきましては、東京一極集中による弊害が懸念され、主管庁業務の地方移転の試みがなされ始めています。
一方で、地方は地方なりに自助努力を始めていますが、その一つとして富山市が好例でしょう。新幹線が開通して単に浮かれているだけではなく、これまでも注目を浴びていました路面電車のさらなる整備、その沿線での開発などで観光客誘致のみならず、インフラ整備による企業進出を目論んでいます。このような地道な努力をすることで、人口減少に歯止めをかけるという消極策だけではない積極性ある自治体は、残っていけると考えます。
アメリカでは大統領予備選が終盤を迎え、次第に構図が見えてきたようです。
中国では、全人代を受けて、今後どの様な政策が展開されるのでしょうか?その一環として、「ゾンビ企業対策」があります。ゾンビ企業とは、国営赤字企業のことで、売れないのに生産を続けるなど、国営企業でなければできないことが行われています。
習近平主席も、自分の支持基盤であります、1,000万人を超えるという労働者に関わる問題だけに、大なたを振るうことができません。下手をすると反乱が起こるかもしれませんが、経済への影響は大きく、GDP目標も6.5~7%と下方修正しています。
投資や消費者購買に回復力が弱く、経済政策面では李首相との意見の相違が噂をされるようになってきています。習主席が大なたを振るうのかどうか、三年経った現体制の正念場ともいえます。
◆ テロ対策への国際的貢献 2016/03/07
このほど、日本政府は、相次ぐテロ事件対策として、過去最高の18億円を拠出することを決めました。国際的な組織犯罪について調査や分析を行っている国連機関に対し、テロリストの捜査の研修や国境管理の能力向上などで支援することになります。
G7開催国としてリーダーシップを取ることが背景に見え隠れしますが、テロ防止に貢献できるのであれば好ましいことです。ただし、日本は、「お金を出すが何もしない」という見方をされるだけではなく、貢献度を低く見られています。せっかくの支援ですので、もっとアッピールしても良いのではないでしょうか。 <映像>
◆ 一週間を見るpoint 2016/03/07
先週は、スーパー・チューズデーや中国全人代の開催など、マスコミが賑わいました。
アメリカで雇用関連統計データが好調でしたが、賃金水準がやや下降したりしてまだ不安定要因が混在しています。インフレ気味に触れ始めているので、FRBの金利上げが話題になり始めてきました。
今週は、東日本大震災5周年にあたり、各種の行事が予定されていますが、11日には政府主催でも開催されます。その震災を契機に再生可能エネルギーがにわかにクローズアップされ、日本でも太陽光発電を中心に設備投資が行われました。固定価格買い取り制度で企業を中心に行われてきましたが、太陽光に偏重気味で、買い取り価格が引き下げられるなど、この分野からの撤退も起こっています。
天候に左右されるなど、需要と供給のバランスをとらなければならず、管理面でも大変です。バイオマスや水素発電や蓄電池利用などの重要性が脚光を浴びる反面、コストや技術面でそれも難しいです。
ドイツなど、この方面での先進諸国に学ぶべきところがまだ多いと思いますし、一方で日本的な強味としての地熱発電や波浪発電などがまだ遅れています。メタンハイドレート採掘技術への投資などもまだまだ打つ手があるにも関わりませず、コストや技術が障害になっています。
脱原子力の動きが強くならない限り、危険との同居が余儀なくされます
■ 中性子線を使った癌治療が効果的 2016/03/03
がんに罹病しますと、癌に冒された部分を切除するとか、いろいろな治療法があります。その一つが放射線治療ですが、時間がかかるなどで罹病者の負担が大きいという欠点がありました。
このほど、国立がん研究センター中央病院は、がん細胞を破壊する力が通常の放射線治療の10倍以上あり、副作用も少ないとされる中性子線を使ったがん治療の装置を設置しました。
この装置は、すべての癌に効果があるというわけではないですが、これまでの治療法では難しかったがんへの効果が期待されます。また、保険適用への治験も進められるようで、その恩恵にあずかれる日は遠くなさそうです。 <映像>
■ 「民泊」が日本でも始まる 2016/03/02
もう30年も以前の話ですが、ドイツで開催されます大きな展示会に行くことになりました。しかし、ホテルの予約は容易ではなく、民泊をすることにしました。イギリスのB&Bは有名ですが、こちらは日本の民宿のようなモノです。
「民泊」というのは、自宅一室などを旅行社に有料で貸す方法です。私が泊まったお宅では、お嬢さんの部屋を貸してくれました。以後、その家のご主人とは個人的な付き合いをするようになりました。
日本でも外国からの訪問者が年間2000万人を超えようとし、ホテル不足が深刻になってきました。その対策の一環として民泊が始まります。旅館業法がありますので、申請をして承認されないと実施できませんし、何処でも民泊申請を受け付けるわけではありません。
羽田空港が近い東京・大田区が、民泊制度を導入しています。しかし制度開始後1か月がたちましたが、申請したのは3件だけだそうです。まだまだ認知度が低いのでしょう。 <映像>
■ このようにすれば食品ロスをなくせる 2016/03/01
名古屋の食品メーカーの期限切れ食品の横流しが話題になりました。その背景には、食べ残しや売れ残りによる食品が捨てられる「食品ロス」があるからです。食糧不足でなやむ人達がたくさんいる中、各国が食料援助をしています。しかし、食品ロスは、その量の2倍にあたると言われています。
ICT(IT)時代、知恵を絞れば解決策があるはずです。それに取り組んでいる企業もあるのが嬉しいですね。 <映像>
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