日々雑感「点ノ記」

備忘録(心の軌跡)

東本願寺の瓦

2005年09月26日 | インポート
24日に、102歳で亡くなった親類のおばあちゃんの葬儀が、瑞穂町の「まごころ会館」で午後1時より執り行われた。

身近な親類縁者と、亡くなるまでお世話になっていた「秀峰荘」という諫早市森山町の老人介護施設の関係者の方だけが参列した静かな葬儀だった。

昨日のお通夜から本日の葬儀まで、「まごころ会館」の職員の方々の細やかな心遣いを感じる事が出来、同業他社との競争に勝ち残るためとはいえ、地域でもきちんとした企業努力をしている集団の人達がいることが頼もしく思えた。

どのような商売でも、自分たちで工夫して努力しなければ客は集まらない。
行政を頼りにして、愚痴を言っていても何も良くはならない。

良い印象の施設は、そこを利用した人達の口コミによる宣伝で、利用者が増える事になるはずだ。

まごころ会館での好印象の葬儀が終わった後、愛野町の光西寺へお参りに行った。

光西寺の本堂に、大きな平瓦と棟瓦が展示してあった。
京都の東本願寺の本廟の屋根に葺いてあった瓦だという事で、平瓦の方は1枚の重さが7kg以上の重さで、大きさは普通の家の瓦の4倍近くもある。

100年以上も前に葺せられていた瓦だそうで、今回その大部分を葺き替えるということになったので、東本願寺系列のお寺に記念として配布されたものだそうだ。

京都には、瓦洗い専門の業者がいるということで、その瓦洗いにより、展示されている瓦は磨かれていて、新品の瓦のように見える。

新品の瓦のように見える瓦を、なぜ葺き替えなければならないのかというように、一庶民であり門徒の一人である身としては思いもする。

しかし、寺社の建物や木造の太鼓橋、さらには一般家庭では使わないような大瓦などの特殊な技能を要するような制作技術を、確実に伝承していくためには、ある程度の期間における改修工事や架け替え工事あるいは葺き替え工事などを実施する事が必要になって来る。

要するに、需要を創出しなければ実務の実践ができない。

お寺の改修工事の際には、門徒には寄付金の依頼があるが、伝統的な特殊技術の伝承のための一翼を担っているのだと思うと納得できる面もある。

光西寺の本堂に展示してある東本願寺本廟の大瓦を見て、その様に思った。

いにしえよりの建立技術が、門徒の総力の結集により、連綿として受け継がれて行く。


豊田かずき